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正岡貞雄のブログ一覧

2015年02月15日 イイね!

1年ぶりの峠最強伝説「魔王決定戦」実況!

1年ぶりの峠最強伝説「魔王決定戦」実況!〜前菜役の「レクサスRCF」を本気でしゃぶり尽くす〜

「いまの日本で、こんなにも心揺さぶる凄い奴らがいるのか」という、ちょいと洒落た小見出しをつけてしまった実況レポート。

――ドク、ドク,ドクン! 戦士たちの心臓の鼓動が聴こえてこないか。
 あれは1年前の「Hot-version vol.126」のオープニングシーンだった。心の昂りを包み込むようなサウンドで、この号に対する本田俊也編集長たちの、「創り手」の情熱を予感させた。

 樹立ちのむこうから、早朝の陽光が眩しく昇って行く。戦士たちのマシンが集結する様子をシルエットで丁寧にカメラがとらえ、すぐにナレーションがかぶさる。
「雪によるコース閉鎖を目前にした群馬サイクル・スポーツセンター。この日を待ちわびた峠の猛者たち。はりつめた空気の中、静かに準備がすすめられていた。ついに、史上最高の闘いが、はじまる」






 そして、あの梅本J’s RACINGが、藤田FEED に「峠の魔王」の称号を毟(むし)りとられてしまった……それから1年、研鑽を重ね、牙を研いだ戦士たちが、再び群サイに集結した。もうすぐ雪に閉ざされるという、2014年11月最後の機会なのに、折から「聖地・群サイ」は降りしきる雨のなかにあった。路面に濡れた落ち葉が張り付く。それが妙に気がかりだった。

 そんな重苦しい空気を吹き飛ばすように、いつもの3人組が、陽気に登場する……。「カバーガール」、いや「Fresh SHIMOBE Girl」と、これまたいつものようにジャレ合ったあと、Vol.132はテンポよくスタートした。



織戸学「今回は、いつもよりも、本気の“本気スペシャル”!」
土屋圭市「おれはいつも本気だよ」
織戸「その上をいく本気です」
 同じやりとりを繰り返す二人……・
土屋「ということは、ヤバイってことじゃん」
織戸「そうです。ヤバイんです。したがって、今回はNewカーチェックと、お楽しみの“魔王決定戦”があるんですがァ、今日は趣旨を変更してチューナーによる魔王決定戦!」
土屋「あ、いいねぇ。俺らがやるときはドライ」
谷口信輝「雨はチューナーさんに……」





 傘を叩く無情の雨。さすがの3人も、群サイの怖さは身にしみて知悉している。果たして『魔王決定戦』は成立するのか、と観る側を不安にさせたところで、谷口がスマートに割って入った。
「そこで、New Carチェックです。出たばっかりのLEXUS RCF。ざあーっとこのクルマを説明すると、5ℓ、V8、477馬力、トルク54kg、電子制御8速トランスミッション、よく判りませんけど、だから凄いミッションなんでしょ、車重が1790kg、価格、882万4074円……」
 この谷口の説明に合わせて、このTOYOTA にこんな本気マシンがあったのか、と首を傾げる向きのために、その素性と氣になる数値部分を、カメラが追う。判りやすい。
土屋「ということは、35GTRにぶつけてるね、価格は」
谷口「ただ、ラグジュアリーなところもありつつ、スポーツも愉しめるという位置。GT-Rは完全なスポーツじゃないですか。そこらへんで、この群サイで乗ったらどんな感じなのか、と……」
織戸「やっぱり、ターゲットはBMWのM3、M4でしょう」
土屋「そうだよ。まずは乗ってみましょうかね」
谷口「これはチューナーさんじゃなくていいですか?」
土屋「これはわれわれ3人で……」
織戸「でも、雨ですよ」

 群サイの空気が一変した。名手3人のなかから2014スーパーGT350クラスの年間チャピオンが、先鋒役を務める。恐らく、RCFだってこの瞬間を待ち望んでいたに違いない。おのれの本当の姿を「群サイ」という特別のステージで惹き出してもらえる……それも落ち葉の貼り付いた超ウエットのもと、である。



 

  谷口信輝の声も弾んでいる。
「今回の新しいマシンには、オプション装備(40万円)のトルク・ヴェクトリング・デファレンシャル(通称TVD)という後輪左右の駆動力を電子制御する機能がついていて、それをチェックするというか、どのモードがいいのか、それを決めてから走りたい」
 というなりコースに出た、と思ったら、タイヤのウォームアップをかねて、いきなりリアのありあまるパワーを使って、同じ位置でクルクルと円を描く、あの勝者の舞いを連発してみせる。
 ナレーションも「TVD」について付言する。
――TVDは3つの制御モード(スタンダード・スラローム・サーキット)に切り替え可能。ドライブモードは5つ(ECO/NORMAL、SPORT S、SPORT S+、SXPERT、完全OFF)。
 
 このテの「モード切り替え装置」はGT-Rや新しいメルセデスベンツのスーパーウェポン級にもとりいれられていなかったっけ?





 谷口の注意深い走りっぷりは必見ものだ。われわれがFR車でウエット路面に出るときなどの「教科書」にしたい走りがそこにあった。まず、TDV のモードは一番ソフトなスタンダードモードから。ドライブモードはSPORT S+だった。
 
 野太いエクゾーストノートが快く響く。ディスプレイの左下では、取り付けた車載CCD のお陰で、視聴する側にはデフの生き生きと動く様子が、即座に確認できるのがいい。
「このTVCですけど、まずアクセルの踏みはじめで、外側が少し強く、多く回る。内側のタイヤの回転を少しだけ差を付けて、少し減らして、曲がりやすくしている」



つづけてTVDをCIRCUITに切り替えた谷口、すぐにデフの左右切り替え差を指摘する。その辺を見る側にも味わえる創りとなっていた。

「サーキット仕様の方が、左右差が少なめにしてある感じ。挙動にもそういう風にでますね。ちょっと踏みはじめたところで、すぐ両輪がトラクションをトレースするので、
少しフロントを押し気味な旋回姿勢になりますね」



 谷口から織戸へバトンタッチ。織戸の笑顔がいい。待ってました、とばかりに、親指を1本、立ててみせてから、コースへ飛び出す。
「こいつね、高級車ですね。ちょっと嬉しいです」
 織戸は8速のオートマティック・トラコンに惹かれる。
「ギア比が6速で1.000か、超ローギアーですね。この低速のアップは凄くつながりがよくって、まるでレーシング・ミッションみたいなもの」
 このような、雨の冷えた路面でも、安心したグリップ感がある、と手放しだった。もちろん、デバイスを入れたSPORT S+でも挑んだ。
「いやぁ、エンジン、ご機嫌だなぁ。1800キロありますからね」
 車重があるわりにはブレーキの安心感がもの凄く高い、と評価する。
「これいいよ。スポーツカーだよ、これ。見た目より大きさを感じない。思ったより走れるクルマで楽しい、走れる。凄い、感動した!」



 当然、トリはこの人。「走り屋」としてはレースの修羅場からは退いたものの、ここ群サイでは、まだ「現役」である。この若さはどこから来るのか。

「さあ、新車インプレッション、レクサスRCF。レース(スーパーGT500クラス)では結構がんばって、トップグループを走っていていますけどね、市販車はどうか、というところを見てみたい。まずはATモードで走って、次はMTで行ってみたい」

 一踏みしたところで、「パワー、あるなあ」と最初の印象を。つづけて「この落ち葉、いやだねぇ。多分、みんないやだろうね。おっ、脚の、ギャップの吸収がいいねぇ。素晴らしくいいよ」といいながら、最初のタイム計測区間へ入っていく……。タイトなコーナーを抜けながら、アクセルを踏む。
「お、結構、グリップする!」
 すでにドリキン土屋のドライビングに、見る側が同化しまったのを自覚する瞬間だ。

 ナレーションもそこを計算して、土屋のドライビングのツボを伝える。
――ドリドリのクルマの評価で重要なポイントの一つが、フロントのタイヤの接地感だが、どうか……おっ、かなり飛ばしているってことは、いいってことか!

「フロントのグリップ、いいねぇ」
 区間タイムが出る。ATモードで30”297。先に走った二人より1秒近く、速い!
「フロント、安心感があるね、このクルマ。フロントがちょっと浮いたり沈んだり、また、浮いたり沈んだりと。スピードが速いねぇ」
――(ナレーションがかぶさる)この症状は、ドライブモードの、その上のエキスパートにすることによって、解消するかも知れない。
 画面は一転、MTモードに切り換えたドリキンRCFが、最初のストレートで吼える。
――やっぱり、477馬力は凄い! あっという間に148km/hが出ています!


 
 コーナー毎に、3速のままがいいか、2速にシフトダウンした方がいいのか、探りを入れるドリドリ。下りのコーナーへ車速をあげながら、3速のまま飛び込む。
「オートマで乗るより、マニュアルで乗った方が穏やかだね、クルマが……」
 そして、次のストレートでは159km/hをマークしてしまう。機嫌が悪いはずはない。さらに周回を重ねるドリドリ。次はコーナーへのアプローチを2速で試している。
「ここを②に落としてみて、ここでちゃんと加速して……こう入っていけばね」
 ターンインの回頭性も、気に入ってしまう。タイム計測区間に入った。
「こんな感じだろうね」
 パワーのあり余るRCFを柔らかく包みこむようなステアリングワーク。そうなると前の周回でマークした30秒台を切るのではないかな。

――なんと、29”294をマーク。少しずつ、路面の状況がよくなってきたのだろうか。そう思ってしまうような、身の 引き締まるタイム短縮だった。

 タイム計測区間を抜けた後は、フィニッシュまでをRCFの行きたいままにまかせながら、ドリドリの独白がはじまる。
「凄く安心。これでもう、ホントに、サスペンションに車高調整なんかを入れてさぁ、ガンガン走ったら、割りとレベル高いんじゃないかなぁ。ただ35GT-Rと同じ重さがあるから、そこをどうこなすかだよね」
−−−車重はあっても、電子制御の介入も不快ではない。ちょっといいんじゃないか、それが世界最強TOUGEドライバー3人の、おおかたの結論であった。



 で、それぞれが評価を点数で……。
 土屋:94点、織戸:97点、谷口:96点。
「高いねえ」と、他の二人の採点に驚いてみせる土屋。
 織戸が応酬する。「高いです。なんで高いか。まずカッコいいから。そして(値段は)高いけど、このパッケージでは金額的には安いのかなって」
土屋「900万だよ」
織戸「高いですよ。でも、ボク的には凄く乗り易くって、安心感があった。このウェットのなかで……」
谷口「LEXUSでこの完成度、内容で1000万行かないのは、お安いんじゃないかな」
土屋「そこはエライよ。ノーマルカーとしてはよくできました、だよ。ただ……」

 ただ、と一区切りしたところで、土屋は自分の採点が他の二人より低くなった理由を、こう伝える。それが彼の独特の嗅覚なのだろう。
「乗ってみて、凄く乗り心地がいいし、パワーがあって直線番長的なんだけれど、ターンインも速い。そのあとアクセルを入れると、ストロークが多いせいもあるんだけども、クルマがアクセルに対して、ヘコヘコと無駄に動く。それが嫌だな。でもあの雨のなか、このタイムは立派なもんだよ。ドライだと?」
谷口「そう、雨で29秒2って、ドライで何秒まで行くのかな」
織戸「3秒短縮して26秒前半は考えられるかな……」



 座長の土屋が、この10分にもわたった前菜役のコーナーを締める。
「考えられるけど、このヘコヘコがドライになってどう動くかだよ。もっとグリップするわけじゃないか。それにしても、この参考タイムは立派よ、雨のなかで。さあ、続いては!」
織戸・谷口「遂に来ました、2014年魔王頂上決戦。でも、この雨!」
 そこで画面に、こんなテロップが流れる。――とっても危険なコンディションのため、とっても乗りたくない模様。



 こちらも都合がいい。今回はここで一旦、休息して次回に備えるとしよう。
 ところで今回は、出来るだけ「New carチェック」を忠実になぞってみた。理由は二つ。
① TOYOTA がベンツのAMG、BMWのMシリーズにならって、LEXUSブランドで本気の最強マシンをつくりあげていた驚き。
② HOT-VERSIONがお仕着せのステージでなく、群サイにまで持ち込んで、自由闊達にテストできる能力の持ち主たちの、貴重なテストぶり。
 これができるメディアは「HOT-VERSION」以外にない。そのことへの感謝からであった。                            (以下、次回更新まで)

Posted at 2015/02/15 17:36:47 | コメント(3) | トラックバック(0) | ホットバージョン | 日記
2015年02月05日 イイね!

『ガンさん』の究極のBeat走りを車載カメラで!!

『ガンさん』の究極のBeat走りを車載カメラで!!〜『クルマに首ったけ野郎』にバレンタイン・プレゼント〜

「中山サーキット」での「ベスモ同窓会」は3度目となる。開催告知をしてまだ1ヵ月も経たないのに、一応、参加者を40名限定で、すでに35名が名乗りをあげている。ことしは、関東圏や九州からの希望者も多いため、それぞれのスケジュールの都合もあるだろうから、例年よりひと月早めに告知したせいもあるだろう。

 しかし、それだけとは思えない。「ベスモ同窓会」がどんなイベントなのかが、だんだんと認知されたから、とも言えよう。そして、一度参加した「ベスモ」のDNAをもつ『カーガイ』たちが、みずからのBLOGを舞台に、その収穫を誇らかにレポートし、映像化してくれていることもあって、知る人ぞ知る、年に一度の「祭典」になりつつある。



 それでもやっぱり、行きたいけれど遠過ぎる。年度はじめとあって、休みも取れない……などと、参加できない「クルマ仲間」のために、バレンタイン・プレゼントかわりに、タイトルに謳っているお宝映像をプレゼントすることにした。

 受け取ったら、驚くなかれ。そこには懐かしい『ベスモ車載カメラ』の世界が再現されている。御年,74歳のガンさんが軽々と、あの和製ニュルと呼ばれる1周2kmの難コースを駆け抜けて行く直近のドキュメント。それも、コースのどこを走っているのかを告げるマーク、ブレーキングポイント、スピードメーター、タコメーター、Gメーターなどが合成されている。う〜ん。



●プレゼントはこちらから http://e-polaris.jp/


 撮影者は東京で「ベスモ同窓会」の世話役として、いつもわたしをサポートしてくれている「MDi」さん。Beatで桶川や平塚のジムカーナー競技に参戦、幾度かの優勝経験の持ち主である。
 彼の夢の一つが、岡山遠征。奥さんと5歳の坊やと2台のBeat で往復1300kmのハードなドライブ旅行をやってのけた一家である。 
 そのご褒美といっては何だが、彼のBeatでドライビングしてもらうことを、ガンさんに頼んであげた。当然、巨体のMDiさんをナビシートに縛りつけて……。



 外絵は奥さんの「ああやまええら」さんが担当。これがご主人よりカメラワークがいい。動画の初っ端にその声が入っているのがご愛嬌。坊やの可愛いい声もかぶるが、そこがファミリーな雰囲気を、巧まずに演出する……。

 この車載映像はこれまで、ベスモ同窓会会員限定で公開配信していたのを、「ぽらりす」で再編集して、今回、一般公開にふみきった。ガンさんのドライビングの生の動きを、ひとりでも多くに「カーガイ」に堪能していただくために……。

 と、同時に、同窓会オープニングの模様も、同様に披露することにした。これなら、真っ直ぐに、「ああ、こういうイベントなんだ」とお判りいただけよう。



 ともあれ、まずはその震源地である『ぽらりす』サイトにお出であれ。この試みは、さらに発展させたい。あれもやりたい、これもやらねば、と悩ましい日々がはじまりそうだ。

Posted at 2015/02/05 23:52:11 | コメント(4) | トラックバック(0) | 黄金の日々 | 日記
2015年02月03日 イイね!

「クルマに首ったけ野郎」よ、出てこい!!

「クルマに首ったけ野郎」よ、出てこい!!〜それは「みんカラ仲間」への徳さんからのラブコール!〜

 前回につづいて、いまは亡き徳大寺有恒さんが30年をかけて書き綴った『俺と疾れ!!』(講談社ビーシー・講談社刊)のなかから、北の夜空で不動のまま、静かに輝きつづける「ポラリス」さながらの一章を、なんとしても紹介しておきたくなった。

 1995年1月26日号。見出しは『出でよ! カーガイ(自動車野郎)』と、いささか賑やかな呼びかけスタイルである。そして、こう書き出している。

――いよいよ1995年が始まる ’95年はどんな年になるだろうか。(正岡註:つまりちょうど20年前の、徳さんの声、ということ)’94年は私にとって55年使った体をオーバーホールする年だった。糖尿病のほうは慢性のオイル漏れのように続いているが、これ以外の現在わかっている病気はすべてやったつもりである。





 これが前置きだった。そこで、その頃の日本の自動車業界が直面していた「病状」とその「処方」へと想いを馳せる……。

――私の体のように日本の自動車業界もリストラという名前のもとに大きく減量した。私の減量は食べないことにより一気にやったが、メーカーは万人単位の人間を抱えているので、そう簡単じゃない。しかし、1994年までで日本の産業のリーダーを務めていた自動車工業のオーバーホールは、まァ終わったといっていいだろう。しかし、問題はこれからである。これから何を作るんだ。これは重要なテーマである。
 一つは世界中で自動車を取り巻く環境、安全という社会問題がある。こいつは純粋に技術的な問題として解決できる。これはいってみれば日本の自動車屋は比較的得意だろうとは思う。ただ、いっておきたいのはこれからのこれらの問題は生産コストを押し上げるから、安いが一番とはいかなくなる。そして、クルマを売るためのマーケティングはこれからもっと大切になるだろう。

 ここから、徳さんの独壇場がはじまる。ことばが熱くなってゆく。

――もうひとつは魅力的なクルマ作りである。日本はこれまでヨーロッパで開発された考え方、それに基づく技術をマネして、安く作ることによってある程度きた。そんな遅れたクルマが’94〜’95のカー・オブ・ザ・イヤーになるようではネ、と思うが、とにかく、これからどういうクルマを作って、ユーザーの関心をかっていくのかはとても大切なテーマである。
 ひとつはここで各メーカーが自社のカーガイ(自動車野郎)の言葉を大切にしなくてはなるまい。私はこの苦難を救うのはクルマに首ったけのカーガイ以外ないと確信している。
 カーガイはただクルマが好きであるというだけでは充分じゃない。クルマの歴史、文化に長けていて、場合によってはクルマと人間の生活を考えられる要素が必要だと思う。こういう人が新しい概念のクルマを作り、売っていける人なのだ。だからカーガイは何も技術者でなくてもいい。販売に従事している人でもカーガイになれる。

 こうやって、徳さんが20年前に発表した、この「カーガイ待望論」はいまの時代でも、ドンピシャリ、いい当てていないか。その代表として、徳さんは一人の人物名をあげる。

――私の知っているかぎり、日本を代表するカーガイはホンダの社長の川本信彦さんである。川本さんの自動車に関する情熱の凄さはすごいもので、それを川本さんの見識で考え、実物を見て判断している。私は川本さんのいるホンダはこれから大いに期待できると思っている。彼のような社長のいるホンダはきっと我々の望むクルマを作れると確信している。
 川本さんは自動車の最も大切な根源的なファクターは“走り”だと明言している。クルマにとって走りは最も重要なことで、これを忘れた自動車は自動車ではないのだ。この川本さんのポリシーをホンダはエンジンで具現化している。ホンダのエンジンはこれからますます期待できる。そして、そのエンジンによるホンダのクルマはきっと楽しく、おもしろいものになるだろう。


*川本社長はいつもこの笑顔でまわりを明るく照らす。左がCIVICの伊藤主査

 それから20年……いまのHONDAはどうだろうか?
 3年前に『指さして言うTOYOTAへ』を書き上げた後、徳さんは次のターゲットをHONDAに定めていた。その手始めとして、すでに引退している川本さんと逢っておきたい、と望んでいた。さっそくHONDAの広報部に、その旨伝えたが、はかばかしいレスポンスは得られなかった。それがいまのHONDAの現実なのか、あるいは、わたしのプッシュ力が消滅してしまったのか。
 そのことを徳さんに告げると、さびしそうに首肯いたあとで、こう告げたのが妙に気になっていた。
「業績に貢献するクルマは作っているけれど、いまのHONDAってすべてが軽すぎない? その上、送り出したクルマを煮詰めようともしていない。それに気づかないひとがいないわけじゃないだろうに……」

 徳さんはそのあと、’95年度に登場する国産New Carを俯瞰してから、こう締めくくった。

――6月までにメルチェデスのEクラスがフルモデルチェンジされる。BMWは5シリーズをフルモデルチェンジする。この両車は世界を相手にマーケティング展開しているから、その考え方は世界中のクルマに大きな影響を与えるだろう。
 私は最近、メルチェデスの社会性に取り組む姿勢に感心しつつも、BMWの自分をしっかり見つめたクルマ作りにも興味を持っている。BMWの走りのキャラクターはやっぱりいい。60km/hでも100km/hでもBMWらしい走りを実現するのだ。
 3月のジュネーブショウでローバーがMGを復活させる。2ℓ、ミドシップの新しいMGは、イギリスの伝統芸であるスポーツカーを再びホットにするだろうか?
  
  この項は、ここで終わっている。そして次のチャプターで、徳さんは吼える。「スカイラインGT-Rは“つまらん”」と。
  ★     ★     ★     ★
「クルマに首ったけ野郎」か。
 徳さんは「カーガイ」を日本語で、そう言い換えている。それならば、わたしのまわりには「わんさか」といる。

 例えばこのごろ、お逢いするのが楽しくて、その日が来るのが待ち遠しくてならないのが、MAZDAクルマづくりの総帥・常務執行役員である藤原清志さん。人呼んで「藤原大明神」!。


*Be a driverが最も似合う男「藤原大明神」

 このちょび髭に見覚えのある向きも多いはず。近年、「愚直に……」と自らを卑下しながらも、SKYACTIVテクノロジーを徹底的に進化させ、「鼓動」というデザインコンセプトとコラボさせ、クリーンディーゼル・エンジンとMTの組み合わせ、などなどでCX-5を2012〜13日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞に導き、アテンザでは2013〜14年次RJCカーオブザイヤー、そしてデミオでつい先だって、日本カー・オブ・ザ・イヤーのグランプリに選出されている。その原動力は何か。クルマが好きです。クルマのことを考えるのが好きです。クルマで走るのが大好きです。そのフレーズを吐き続けて憚らない。  

 夏の終わり筑波サーキット。
 メディア対抗4時間耐久には「人馬一体」チームのエースドライバーとして、毎年、必ず登場している。徳さんの呼びかけた「出でよ!カーガイ(自動車野郎)」に、見事に呼応した一例を紹介できて、まことに嬉しいのだが、実はその「藤原大明神」に、この4月6日に中山サーキットに「クルマに首ったけ野郎」が50人ほど集結する。そこへ走りに来ませんか、とお誘いしている。
 


 時間の調整さえつけば必ず、という嬉しいレポンス。実現すれば、どえらい祭りになるはずだ。
 だって、そこには黒澤元治、中谷明彦、大井貴之、田部靖彦という、かつての「ベストモータリング」を創り上げたキャスターやメンバーに加えて、「ベスモ遺伝子」を栄養にして育ってきた「クルマに首ったけ野郎」の大集団が待ち受けているのだから。

 4月6日の山陽スポーツランド・中山サーキット。その周辺は折から、桜の花が満開である……。


和気神社の桜のご馳走、中山からほど近く、いつもガンさんチームの「必勝祈願」で神札をいただく
Posted at 2015/02/03 21:22:03 | コメント(9) | トラックバック(0) | 局長の仕事 | 日記
スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

プロフィール

「Vロードを独走する虎軍団。かつては夏の甲子園を高校野球に譲って、死のロード遠征に苦しんだのも昔話。涼しい京セラドームで一服できるから。19日は鬼門の中日戦に黒の戦闘服で臨む。先発予定の剛腕デューブ故障でビーズリー起用。第二戦は6月以来勝ち星にない新人井原の起用。さてどうなるか?」
何シテル?   08/19 12:21
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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