今回のBMW X1のオイル交換に当たって、
オイルの入手に苦労した話は別の場所に書きました。
まぁ、BMWのLL01、LL04のアプルーバルを取ったオイルなんて世の中にはたくさんあるので、実際には入手に苦労することは無いと思うんですけど、たまたまトタルにこだわってしまったのが裏目に出ましたね(苦笑)
で、その時に思ったんです。
粘度が同じなら、
次はプジョーシトロエン用のオイルでも良いんじゃネ?
だって、これならシトロエン屋さんで量り売りしてもらえるし♪
そもそも自動車なんて、環境の整った場所で乗られるとは限らないわけで、
アプルーバルと言ったところで、『じゃぁそのオイルが手に入らないときは乗るなってことか?』というのは常に付いて回る疑問なわけです。
で、今まで乗ったクルマでも、ヴォルツは鉱物油を普通に受け付けてくれるトヨタエンジンでしたから『何でも来い!』でした。
シトロエンのDS4、C5のBMWターボエンジンは、ヨーロピアンだけあってアプルーバルオイルも存在しましたし、アプルーバルじゃなくても最低でも合成油を入れるのが望ましいようです。
そんなわけあるかい!と思って、好き勝手にオイル交換をしていたら
過去には
こんなオイルを入れてみたら、
こんな作業が発生したこともあったので、どんなオイルでも良いってわけじゃないのは間違いないです。(苦笑)
で、プジョーシトロエン用のアプルーバル取得のオイル「TOTAL QUARTZ INEO ECS 5W30」と、ドイツ車各社のアプルーバル取得のオイル「TOTAL QUARTZ INEO LONGLIFE 5W30」にはどのくらい違いがあるのかを考察してみました。
今すぐにオイル交換するわけじゃないのですが、個人的なメモとして書いておきます。
まずは、粘度。
これは同じです。
次はACEA規格。
プジョーシトロエン用はC2
ドイツ車用はC3
じゃぁC2とC3は何が違うのかっていうと
その前にACEA規格のお勉強。
ACEAは「欧州自動車工業会」のことで、エンジンオイルの規格だけではなく、公式サイトを見るとヨーロッパでの登録台数を発表したりもしています。
関係する自動車メーカーはこんな感じです。
で、ACEAのオイル規格にはA、B、C、Eの4種類があって
A ガソリンエンジン用
B 軽負荷ディーゼルエンジン用
C ローサップス対応(ガソリン・ディーゼル両方)
E 高負荷ディーゼルエンジン用
それぞれに要求仕様があるという違いになっています。
おなじみのSNとかSMとかのAPI規格、GF-5みたいなILSAC規格とはまた違うモノです。
今回はCだけの問題なので、A、B、Eは各自でお勉強してください。(笑)
この規格の要求仕様は、
ACEAの公式サイト内にあります。
ちなみに関連情報として、
ユーロ1からユーロ6の要求仕様や
世界のエリア別の燃料についての資料もあります。
マニアの方は一度はこれらの原資料にも目を通してみると面白いと思います。
さて、本題のC2とC3の違いについてです。
ウィキペディアだとこう書いてあるわけです。
C2 低摩擦、低粘度の省燃費エンジン油 (リン:0.09 mass%以下、硫黄0.3以下、硫酸灰分:0.8 mass%以下)
C3 通常の粘度グレードの省燃費エンジン油 (リン:0.07~0.09 mass%、硫黄0.3以下、硫酸灰分:0.8 mass%以下)
Cカテゴリのほかとの大きな違いは、ローサップス対応ですが、この性能はほぼ同じなんですね。
でも、規格が違う以上は決定的な違いがあるはず。
そこで、原資料に当たる必要が出てくるのです。
原資料でもC2とC3とで、ローサップスに関する記述はほとんど同じなんですが
C2には
designed to be capable of using low friction, low viscosity oils with a minimum HTHS viscosity of 2.9mPa.s.
C3には
with a minimum HTHS viscosity of 3.5mPa.s.
と書いてあって、ちゃんと違いがあるんですね。
(ウィキではどうしてこの違いがスルーされているんだろう?)
じゃぁ、minimum HTHS viscosityの違いって何だ?っていうと、
最低高温高せん断粘度の違いなんです。
平たく言うと過酷な状況下で、熱ダレしない性能とでもいうのでしょうか。
で、ぶっちゃけ数字が大きいほど高負荷に負けないオイルです。
ただ、数字が大きくなると抵抗が増えて燃費の悪化につながります。
熱ダレはサーキット走行をして油温120℃超えとかそういう世界になって初めて気にするもので、一般道路を走っている限り高速道路でちょっとくらいスピード違反をしても熱ダレなんかしません。
C2の2.9という数値は、決して低いものではなくて、省燃費命の*W-20のオイルのミニマムHTHSは2.6ということになっているようです。
(このあたりの
論文を読むとすごいことになってますね)
ヨーロッパ車は0W-20なんかは使いませんから、事実上0W-30が一番柔らかいオイルです。
上の方に貼ったように、0W-30でもC2を取れているので、ミニマムHTHSは2.9を確保しているのでしょう。
じゃぁC3規格はどうして必要なのかっていうと、ここで出てくるのがロングライフ性能なんですよね。
高温せん断へのマージンが大きいということは、イコール、ロングライフにつながると。
ドイツ車が目指すロングライフは、当然テストもしているはずですが、よりロングライフに有利なためにC3規格に乗っているというところではないかと推測します。
だらだらと書きましたけど、結論としては
次のオイル交換では
BMWアプルーバル無しの
C2オイルでも大丈夫。
ローサップスに関する仕様は問題なし。
ただし、ロングライフとか訳の分からないことは言わず
長くても1万キロ、できれば5000キロ前後で交換
ってところでしょうかね。
Posted at 2016/04/30 00:45:09 | |
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