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2013年01月04日

プログレとの別れ話 

プログレとの別れ話   平成12年にわたしのもとにやってきて、以来8万7000キロを超す走行距離を刻んでくれたTOYOTAプログレNC300 IRバージョンの機嫌が、ひどく悪い。
 その挙句、駐車場にバックで入る際、コンクリート壁に左リアのバンパーをこすって白い擦り傷をつくったかと思うと、朝のエンジン始動で、イグニッションキーをひねった瞬間、ザザザッと不快なハミングをしてから、やっと目覚める始末。


*どこへ行くのも一緒だったプログレ。難転(=南天)の寺として有名な西秩父、宝円寺にて。和の景色がよく似合う。


*プログレ反逆の痕?

 どうやら、御多分に漏れず、クルマを手放そうかな、などとオーナーの心離れがはじまると、それを敏感に感じとって、愚図りはじめたにちがいない。身内のひとりが、にわかに海外へ転勤することになり、ブラックのLEXUS IS250 バージョンLを処分したいのだが、できれば私に引き取ってもらえたら嬉しい、と申し入れてきた。もちろん、グラリとこころが揺らいだ。車幅は90センチほど広くなっているものの、基本的にはプログレの発展型だ。セルシオからマジェスタ、そしてプログレとTOYOTAのFRサルーンに親しんできた。だから延長線上にある選択には違いない。


*LEXUS IS250(ガリバー店頭)

 ふた回りほど若いクルマ仲間のジャーナリストに、この選択はどうだ?と訊いて見た。
「それはいい。プログレのピンと胸を張った、アップライトなプロポーションは、もう古い。空気抵抗が大きくて、燃費に影響しすぎる。その点、IS250のデザインは、セダンでありながら、いかにも地を這った感じがあって、時代の新しさがある」
 そうかなあ。ぼくは最近の車のデザイン傾向が右へ倣えで、とくにフロントマスクが、いつも怒ったような顔をしているのが、気に入らない……。わたしなりの反論だった。

「いや、いや。ぼくらは新しいクリエーターたちのものを、実際に使っていかないと、その新しさの正体を見抜けなくなりますよ。プログレとか、プリウスには、萎れた感じがしてならないですよ」
 萎れた感じ。それは新しいテーマだな。その観点でわがプログレを見始めた途端に、プログレの機嫌が悪くなって、ついにはバンパーに白い傷痕をマークしたわけである。

 練馬・谷原のガスタンクのそばに、行きつけの給油所がある。そこに古い付き合いのH所長がいて、なにかと車の面倒を見てもらってきた。歳末、相談に立ち寄ったところ、年明けに時間をとるから、それまでにプログレ用のマイカカラーの同色タッチペン、下地塗り用のパウダーなどをカー用品店で買っておいてほしい、というのだ。なにやら秘策があるらしい。楽しみに、約束の1月2日の午後を待った。

 1月2日。朝から箱根駅伝をTV観戦。早稲田のエース、大迫が9人抜きを演じながら、区間賞に8秒足りなかったのを見届けたところで、近所の八幡神社に初詣で。やっと午後を迎えた。そろそろ、H所長の手が空いた頃合いだ。
  H所長の提案はこうだった。バンパーの傷は応急処置として、タッチペンで補正してみよう。プログレ全体の萎れ感は「クリスタルキーパー」というボディーコーティングで生き返らせましょう。さらにヘッドイトのカバーグラスを磨きましょう。それで相当にフレッシュアップされますよ、と。







 こうして、洗車、オイル交換を済ませたところで、バンパー傷の補修、そして『クリスタルキーパー』に取り組んだ。控室で待機する間、FBで「近況」を報告する。

「行きつけのGSで給油&洗車&メンテナンス。オイルが真っ黒。御免な、わがプログレよ」と打ち込んだつもりが、「わがプリウスよ」と誤記してしまった。これは、いかん。早速「いいね!」を寄せていただいたFBの仲間にお詫びをしなくては。とくに「みんカラ」仲間である元木久憲さんからは「プリウスは、シビアコンディションになりやすいので……」とコメントまで頂戴しているのに。

 2時間が経って……。目の前の登場したプログレは、はじめて手元に届けられた時のプログレかと見紛うあでやかな姿態を取り戻していた。バンパーの傷跡も、ほとんど気にならない程度に修復されている。
「うん。あとはエンジン、足回りのメンテナンスをすれば……」
 H所長も一仕事した満足感からだろう、いい笑顔でプログレを送り出してくれた。で、その料金は? クリスタルキーパーだけでも¥15,800。結構な出費だが、12年も連れ添ってくれているプログレへのお年玉と思えばいい。





 プログレを目白通りに持ち出した。すぐに環八の、かつてのバイパスだった路線が交差する。ちょっと走ってみるか。

 右へ折れると、練馬中央陸橋から荻窪方向への地下道が待っていた。交通量はまばらである。ちょっと失礼して加速してみた。お、いいね! プログレの機嫌は治ったらしい。IS250には悪いが、わたしのプログレを手放す気は、あっさり霧散してしまった。

 シートだって、本革仕様のISより、このプログレのジャカード織物仕様の方がお気に入りだったじゃないか。それに……和の風景に似合うのは、プログレを置いてほかにない、と常々いっていた癖に……。プログレの声が聴こえたのである。

ブログ一覧 | プログレSTORY | 日記
Posted at 2013/01/04 01:05:31

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この記事へのコメント

2013年1月4日 7:03
はじめまして。
プログレオーナーということで正岡様のブログを知り、いつも興味深く記事を拝見させていただき、イイねを時折つけさせていただいておりました。
小生のようなクルマ素人には、正岡様は畏れ多い存在なので、コメントは入れられずじまいでしたが、今回の記事には大変感動し、コメントを入れさせていただきました。
小生ももう少しじっくり長い期間にわたって愛車と向きあい、付き合うべきだろうといたく反省いたしました。
これからも素敵なブログ記事を楽しみにしております。
コメントへの返答
2013年1月4日 13:01
はじめまして。
プログレオーナーなら、私の想いをただちに共有いただけますよね。

クルマって、機械だけれど、心を持っていると思いませんか。

愛しい、親しい存在です。これからもよろしく。
2013年1月4日 8:09
おはようございます。
12年も乗られていると、なかなか簡単に乗り換えの決断ができないですね。
私は、車検と同時にサヨナラすることが多いのですが、それは、内心、別れが辛くなるからでもあるので(>_<)
それにしても、12年とは思えぬ綺麗なお車ですね。
確かに正岡さんの「和」を考えると、今の日本車ではプログレ以外考えられないです。
コメントへの返答
2013年1月4日 14:30
コメントが遅れました。こんにちは。ことしもどうぞよろしく。

プログレにシフトするとき、四駆にしようか、どうか、250と300のどちらにするか悩んだ日が懐かしい。あのとき、三本和彦さんは4WDにし、ぼくはiRバ―ジョンが出るのを待ちました。

2台持ちが許されるなら、生涯をともにしたいクルマです。

2013年1月4日 9:40
私の父のハイエースも平成12年納車ですね。
20万km走っても全くガタが来ませんね(笑)。

プログレとヴェロッサ(確か兄弟車のはずです)、セダン不遇の時代風景もありあまり大ヒットには繋がりませんでしたが私は好きですね。
適度なサイズにセダンらしいプロポーション。日本車ならではの利点が出ている車で徳大寺さんも「間違いだらけのクルマ選び」で太鼓判を押していた記憶があります。日本のセダン、やはり日本で使えなきゃ意味がありません。
面構えたるもの、最近は確かにみんな怒っていますね。リトラクタブルライトを見慣れたものとしては、もう少し穏やかにして欲しいものです。あの911も結局丸目に戻ったくらいですから。

Keeper、何処かで見たことあると思ったらスーパーGTですね!確かレクサス陣営にいましたね。
コメントへの返答
2013年1月4日 13:43
20万キロを走ったハイエース。凄いね。
ことしはプログレの生みの親、和田明広さんについて、研究するつもりです。豪快で、繊細で、人を酔わせることのできる人物です。

こんなクルマもの、どうでしたか。
2013年1月4日 18:40
あけましておめでとうございます。

昨年は思わぬ話題から関わりを持たせていただき光栄でした。


愛車の意思表示の件、全く同感です。

僕もセカンドカーに現を抜かしているとファーストカー(約40年前のグロリア)のどこかが知らない間に壊れています(まあ壊れても不思議は無い年式なんですが・・・)

だから乗るときにはいつも感謝の念を持って接して、無事帰宅すると「今日も無事走り切ってくれてありがと」と心の中で呟いています。

自分が疎い話題にはなかなかコメントできず恐縮ですが、本年も記事の方楽しみにしております。
コメントへの返答
2013年1月4日 19:37
明けましておめでとう、です。
しばらくでした。昨年はありがとうございました。

クルマと人との関わりで、別れがあるとしても、それぞれのドラマを感じ取ってほしい。そんなこころをもっていれば、クルマの方も応えてくれる。

その辺をちょっと書きたかったのです。本年も遠慮なく声をかけてください。
2013年1月4日 19:50
いつも楽しく拝読しております。
KeePer施工後の輝き、いいですね。
今は車業界とは別の仕事をしていますが、十数年程前、KeePerの施工にも携わっていました。
多分、KeePerが出始めの頃だったと思います。当時でもかなり輝きを取戻す施工でしたので、現在のクリスタルキーパーにも興味津々です。

今の愛車は1度の手洗いしたこともなく、洗車機に入れっぱなしでしたので、一度しっかりした洗車をして、薄くなりかけた愛情を取戻そうと思います。
・・・というか、手洗いしたら、愛情が薄くなっていたことに気づくかも。

本年もブログを楽しみにしております。
コメントへの返答
2013年1月4日 20:35
ただのワックスがけでは、単なる厚化粧。
行きつけの給油所のHさんがわざわざ資格をとてまでやってくれたキーパー施工、正解だったと喜んでいます。ボディ全体が健康な輝きを取り戻したのではないでしょうか。どれくらいの期間、もってくれるのか、注目しています。

本年もどうぞ、よろしく。
2013年1月4日 21:22
あけましておめでとうございます。

プログレは良い車ですよね。
ロングホイールベース・ショートオーバーハングの(ほぼ)5ナンバーサイズボディで、直6を搭載するFRの国産車ですから、今や希少な存在だと思います。
この角張ったデザインは、古き良き時代の国産車の風格があって好きです。

兄弟車のブレビスにはない本木目パネル装備の「ウォールナットパッケージ」の設定があるのも良いですよね。

前期モデルですと、直噴エンジンではありませんので、維持も多少楽かと思いますし、是非これからも大切に乗り続けて頂きたいです^^

うちのステージアも14年が経過しましたが、距離が少ない事や、私自身が14年間共に過ごし、成長したこともあり、手放せなくなってしまいました(笑)

本年もブログ更新を楽しみにしております。
コメントへの返答
2013年1月4日 23:26
プログレのプラットホームを使って生まれた車幅1720mmのブレビスの名前を久しぶりに聞きました。MBやBMWとタイマン勝負ができると思った、あのころのTOYOTAの傲慢さが感じられ、ああ、プログレがいずれ足を引っ張られるだろうと予測したものです。

新鮮な感想、ありがとうございました。
これからもよろしくどうぞ。
2013年1月4日 21:28
こんばんは、ひら です。

車は不思議で、確かにご機嫌が斜めになるときがありますね。私の場合は、乗りつぶす車ばかりですが、愛車は自分でできる整備をしていくことで、だんだん自分好みの車になります。また、運転していて、なんか感触が変だなとか、振動や音など、運転しながらどこなのか想像して考えます。距離も長く、年数も長くなるとなおさらですね。

私もプログレが機嫌良くなって良かったですね。

私は、自分の分相応の車があると思います。一度はNSXとかタイプRにも乗ってみたいなと思いますが、自分の生活環境等々から、自分にはプレオとステップワゴンがぴったり合っていると思います。

クリスタルキーパー良いですね。私も自分で洗車してましたが、花粉症の時期は洗車機入れてしまいました。また、ここのところは、ファインクリスタルという低価格のガラス繊維系ケイ素ポリマーで磨いています。

話は、かわって、やっとHotバージョンが届き、昨日見ました。感動しました。久々のすばらしい映像で本気の真剣な土屋選手のドライビングが見られてうれしかったです。
コメントへの返答
2013年1月4日 23:30
「愛車との別れ話」を通して、あなたと素敵な、肩から力が抜けた対話ができた気がします。

ホットバージョンの件、同感です。
2013年1月5日 0:34
 プログレはアルテッツアの兄弟車ですから、サスペンションだけでなくボデー剛性アップパーツなども流用できそうですよ。

 私の車は、どちらも「間違いだらけのクルマ選び」で老人カー扱いをされた車ですが、手を入れることで走りの楽しみも備えた車になりました。86BRZもそこを目指しているのでしょうが、車はいろいろ手を入れることで楽しみが増しますよ!
コメントへの返答
2013年1月5日 8:09
おはよう、です。

FBでの近況コメント、失礼しました。プリウスの初代主査だった渡辺さんへの年賀状でも、プログレのことを「プリウスはまだ元気で手元にいます」と書いてしまい、慌てて訂正したのに、同じ失敗を。

ボディ剛性アップこそ、自分のクルマを楽しく走らせる要諦。流石ですね。じつはこのIRバージョンが手元に来た時からやっています。一度、乗ってみますか?
2013年1月5日 22:53
 始動性の悪化については、数箇所思い当たるフシがあります。

ボデー剛性が高いと、乗り心地、操縦性とも気持ちよくなりますよね。

正岡さんのお車、機会がありましたらぜひ試させていただきたく思います。

私の車、コロナの方は製造時期が時期だけに話になりませんが、ブルーバードシルフィの方はなかなかの仕上がりです。ぜひお試しください。(とはいっても、最新の車には負けますが。)
コメントへの返答
2013年1月5日 23:22
喜んで。

こちらへお出での予定が立ちましたら、ご連絡をください。
2013年1月9日 0:20
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


プログレは日本の道路事情や文化を研究して作られた車だと思います

確かに今時のクルマはヘッドライトが厳つい車が多いですよね。プログレの方が静かなる風格を感じられてステキだと思います。ベンツのSクラスよりもスマートで知性を感じます!

まさしく局長のように、人生経験と仕事上の実績を積み上げてきた大人が乗るセダンです。
コメントへの返答
2013年1月9日 8:34
いつも、ありがとうございます。ことしもどうぞよろしく。

プログレをそこまでとらえられているのは、やっぱりFR党ですね。

どうやってプログレが生まれ、そしてTOYOTAのラインナップから消されたのか。そのころのTOYOTA技術陣の熱い仕事ぶりなど、思い出しています。

スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

プロフィール

「8月最後の日曜日。9:40からサンデイエゴ・ペトロパークでパドレスとの第2戦が始まる。このところ何かと雑用が多くて、太平洋戦争終戦から80年という節目で想いが迷走していることもあってゆっくりTV観戦ができなかった。デイリーでも扱いは第5面でたった3行のベタ記事のみ。虎は引分け。」
何シテル?   08/24 09:25
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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