~立川祐路、本山哲、脇坂寿一の大熱演に驚く~
7月28日のスーパーGT第4戦、菅生ラウンドをハードディスクに録画しておいたのは大正解だった。秩父の「甘酒まつり」から帰ると、とるものもとりあえず、再生機で予選10位スタートのガンさんチームのLEON SLSはどうだったか、とチェックをいれはじめた。
中継のカメラはGT500クラスのトップグループに張り付いている。序盤の主役は1号車、関口雄飛のREITO MOLA GT-Rで、後続のトヨタ勢が入れ代わり立ち代わり仕掛けるのを耐え抜いて、40周目にピットイン、エースの本山哲にバトンを渡す。と、同時にピットに入った39号車に乗り込んだ脇坂寿一が、鼻の差で一瞬早く、コースに復帰し、前に出た。追う本山。が、間に挟んだGT300クラスの排除に手間取って、その差が開いてしまう。そして、いつの間にか、本山の背後に38号車の立川祐路がはりついていた。
*7月28日の決勝スタート(81周)。天候は晴れの好コンディション。(以下、TOYOTA車関係の写真は『TOYOTA MOTORSPORTS』より)
「魔物の棲む菅生! 何が起こってもおかしくない!」
アナウンサー氏もさかんにけしかけるし、そんなテロップも用意されていて、一触一発の危うい雰囲気がいまにも弾けそうだ。
最終コーナーから10%の勾配をのぼり切り、トップを独走する脇坂を追って、ストレートを併走する本山と立川。早めにインを抑えた立川がわずかに前に出る。が、譲らない本山。2台が一つになって、2コーナーから下りのヘアピンへ。その形は崩れないまま、のぼりのS字、危ないハイポイントからレインボーコーナーへ。それも2台はぴったりと横に張り付いて、今度はバックストレッチを下る。
馬の背コーナー。ここのブレーキングで立川がするりと前へ。
2度目の第1コーナー攻防戦。アウトの立川、インの本山。お互いのタイヤとホイールがくっついて離れない。2台が押し合うようにして2コーナーのアウト側へ。辛うじて立川はコースに留まるが、本山はダートへ飛び出す。そのとき、背後でファストラップを叩き出して追走していたHONDA勢の18号車のマコーヴィッキが2位に浮上してしまう。そんなドラマまで、このTV中継は丁寧に捉えてくれている。この後、タイヤをバーストさせていた本山は早々とトップグループから脱落してしまう。が、魔界・菅生のドラマは、それだけでは終わらないことになっていた。
55周目あたりだろうか、コースの一部に雨が落ち、路面が濡れはじめる。と、恐ろしく速さを見せ出したのが立川だった。前を行く18号車のマコーヴィッキの襟首をつかんで軽々とパスをすると、その勢いのまま、トップを独走していたはずの同じレクサス陣営の脇坂まで、捉えてしまった。しばらくは、その3台の編隊ランを楽しく鑑賞する。
*べスモ1997年8月号でキャスター・オーディションを受けた時の立川。左、高橋ツヨシ、右、山本勝巳の両君。
観賞しながら、わたしは古い記憶の中の立川祐路を思い起こしていた。あれは1997年だったろうか、ベスモの「編集長」を後進に託すに際して、若い専属キャスターのオーディションを行ったのだが、そのなかに、フォーミュラー・ルノーで修行して帰国し、F3に参戦していた立川祐路もいた。その時の評価は、「まだお子様ランチだね」だった。その彼もすでに38歳、ドライバーとして、もっとも脂ののった時期にさしかかったのか。きっと、近いうちに、車載カメラの映像からのバトルシーンを駆使した「編集もの」が放映されるだろうから、それは見逃せないぞ、とこころに刻み込んでおく。
レースは残り10周ちょっと、となったあたりで、異変がやってきた。脇坂と立川が入れ代わりに首位に立つ展開も、GT300クラスが間に入るたびにテンポが変わってしまった。
70周目のレインボーコーナー。インに入った脇坂の真横に2号車のマクラーレンがいて、それにヒットしてしまう。と、3ワイド状態で右ターンしようとした立川を、マクラーレンがプッシュ。たまらずスピンしながらコースアウトする立川。グラベルトラップにはまってしまって動けなくなった。
その直後だ。脇坂の39号車をバックストレッチで捉え、両脇からパスしようとしたHONDA勢の2台が絡み合って、右側のガードレールへ激突してしまう……。そして、生き残ったはずの脇坂も、73周目に、右リアタイヤが突然バーストして、コース上でスピン。なんとか、ピットにたどり着いて、タイヤを交換してレースに復帰できたものの、結果は4位に。魔界・菅生の舞台で大熱演を演じてくれた男たちには、勝利の女神からのプレゼントはなかったが、「スーパーGT」から、ますます目が離せなくなったのは、わたしだけではないだろう。いやあ、血圧が上がりっぱなしの4時間録画であった。
さて、夏の菅生はこうして終幕したが、肝心の黒澤治樹、翼兄弟のLEON SLSはどうしたのか。一時、TV中継画面のテロップでクラス5位にあがり、終盤、6位で走行したのが、ゴールしてみると7位に。どうやら、土壇場のS字コーナーでGT500のマシンと絡んで、6位入賞をフイにした模様だ。幸い、8月11日に放映されるテレビ東京系の「スーパーGTプラス」は300クラスを中心にした編集内容だという。ここで、ガンさんチームの模様がチェックできるはずである。
*第2スティントを走った黒沢翼選手。後半のラップタイムは急上昇。次戦に期待。
これでスーパーGTも前半を消化した。8月17、18日の鈴鹿からの残り5戦。嬉しいニュースがお届けできるといいが。おお、その前に、HOT-VERSIONの最新号が届いていた。
早速、封を切って、急ぎ、鑑賞しなければ。『憧れのSUPER SPORTS BATTLE』が柱企画。さて、さて、これまでとはいささか趣きがちがうようだが……。
Posted at 2013/08/08 02:59:04 | |
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