2014年08月01日
懈怠の日常化~思考停止 または 感覚の麻痺~
ちょっと固いことを書きます。
しかも長いです。
途中まで読んで、こりゃだめだと思ったらスルーしていただいて結構です。
昨日から話題になっているゼンショー(すき家)の問題で思ったことです。
時を前後して、ブラック企業大賞なんてイベント(?)も動いています。
牛丼チェーン「すき家」の労働環境を調査してきた第三者委員会(委員長・久保利=くぼり=英明弁護士)は31日、調査報告書を発表した。すき家の非管理職社員418人の平均残業時間が労使協定(月45時間)を大幅に上回る月109時間(今年4月)に上ったことなどを明らかにし「現場は著しい過重労働が生じており、法令違反状況に至っていた」と指摘。運営会社のゼンショーホールディングスに長時間労働を禁止するルールの策定や深夜の1人勤務体制(ワンオペ)の解消などを早急に実現すべきだと提言した。(毎日新聞)
こういうニュースがネットに上がり、そこにこんなコメントが投稿されています。
『中小企業なら少ない方ではないか。
日本人の大半が占める中小企業をもっと調べてごらんなさい。』
『この職業だけじゃないですよ』
『異常な事なのは誰もが分かっているんです、別に過剰な 残業を肯定するわけでも無く、
日本の大半の会社ではそれがまかり通っているんです』
『飲食業ってこんなもの。』
私にはこういうコメントが出てくるのが
理解できません。
もちろん中には怒りのコメントや「トップが逮捕されるほどにならなきゃ解決しない」といった声もあることはあるんですが…。
現に日本にそういう職場があるというのは理解しています。
私も20代の頃には、
『1ヶ月の休み0日』
とか
『月間残業時間100時間超え』
とか
『夏休み?どこの国の話ですか?』
ということがありました。
今もそういう環境で働いている人もいるでしょう。
でもね…
『今の日本にはそんな人(企業)はいっぱいいるんだから、
文句を言うな(又は文句を言ってもしょうがない)』
っていう考え方は、明らかに『思考停止』または『感覚の麻痺』です!!
そういう労働環境はおかしい!
と働いている人が声をあげなきゃダメなんです。
そして、ネットニュースのコメント欄に
『こういう世の中はおかしい!』
というコメントがあふれず
『多くの人がそうなんだから文句を言うな』
的なコメントがたくさん出るのは、日本社会の危機だと思います。
私が労働組合の役員をやっていたことを知っている人もいると思いますが
結局自分で解決策を探す、解決を勝ち取るしかないんです。
『労働組合がある企業はいいよな』
って思っている人もいると思いますが、そもそもその考え方が間違いです。
私が入社したとき、私の会社には労働組合がありませんでした。
その数年後、あまりに劣悪な労働環境に
『これは組合を作るしかないんじゃないか』
となり、先輩たちは終業後にひそかに会社から離れた喫茶店で会合を重ね
産別の上部団体(先週私が全国大会に行ったところ)に連絡を取り、
ある日突然(←会社にとって)労働組合の結成を宣言しました。
今でも大企業に比べれば笑っちゃうほどの労働環境ですが、組合が無いころに比べたら雲泥の差です。
(それは給料のことだけではなく、有給休暇や育児休業の問題をはじめ多岐に渡ります)
『いいよな』じゃないんですよ!
組合を作ればいいんです。
っていうか、自分で作らなきゃ他人が助けてくれることは絶対に無いです。
『今時そんなことしたら、解雇される』
は?
労働組合は憲法に認められた基本的人権の一つです。
そんなことで解雇されたら、即裁判ですよ。
絶対に勝てますよ(笑)
『労働組合ってサヨクみたいでイヤだ』
は?
憲法に書いてある権利を行使しようというだけなのに、
労働組合をヒダリだといって貶そうとする、自分自身も労働者の人って何考えてるんでしょう?
そういう人に限って、自分自身の労働条件が劣悪だったりすることも多いようにも見えます。
懈怠(けたい)という言葉があります。
有名な言いまわしでは
『権利の上にあぐらをかく者は法律の保護するところにあらず』
っていうやつです。
たとえ権利を有していても自分からは何もせず、その権利をいつまでも主張しなければ、
その権利は失効してしまう。
権利を保持するためには常に努力が必要であるということです。
・文句を言ってクビになったら…
・世話になっている親しい上司に、たてつくのは抵抗がある
・会社も苦しいのは分かっているのに、色々な要求なんてできない
・みんな我慢しているのに自分だけ文句を言うのは、虫がいいんじゃ…
・それ以前に、そもそも組合運動とか面倒だし
・難しいことは分からないや…
これ、ぜんぶ懈怠です。
(法律学上の懈怠の解釈とはちょっと違うんですけどね。考え方として、です。)
社長のほかに従業員が数人しかいない小さな会社だから無理?
そんなのも結局逃げです。
日本国内に、組合員が一人しかいない労働組合も存在するって知ってますか?
労働組合に対する圧力がたった一人の人間に来るのを、がんばって跳ね返しているんです。
そして少しずつでも問題の解決をしています。
(個人加盟ができる“地区労組”っていうのもありますので、関心のある人は調べてください)
私は労組の役員時代、毎日隣に座って一緒に仕事をしている部長と団体交渉で向き合いましたよ。
仕事は仕事、交渉は交渉です。
上のほうに『即裁判です』
と書きました。
『そんなに簡単に裁判なんかできるかよ』
はい、それも懈怠です。
そんなに簡単ではないことは百も承知ですし、私自身も裁判の当事者になったことはありませんが、
私の所属する組合の上部団体では、昨年度3つの労働争議裁判をかかえ、すべて実質勝利で解決しました。
過去には最高裁まで争って、“労働側にとって画期的”と言われた判断を引き出したこともあります。
労働環境に不満のある皆さん
結局、逃げてませんか?
自分が動かずに解決することは
絶対にありません
※自営の人、自分が経営者の人は『あぁサラリーマンの世界も大変だなぁ』と思って生温かく見てください。
『俺なんか自営業者なんで365日休み無しだ!』って言われても、対応できませんので。
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Posted at
2014/08/01 09:05:55
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