さて、今回は久しぶりにダッホンダさんから行きますか。
ホンダには、かつてワークスレーサーNR500から技術をフィードバックされた、最強の90度V型2気筒水冷250ccエンジンが存在していました。
初めてそのエンジンを搭載したのがVT250F、4サイクルで当時のヤマハRZ250を喰ってやるぜと高回転型で35馬力を引っ提げて1982年に登場(紹介済)、当時250はRZかVTばかりが売れる状態に。
途中ネイキッドになったり、フルカウルになったりしまいにはアメリカンになったりと様々なタイプの250ccバイクに搭載され(そこ、こき使われてとか言わないw)
そして2013年、VTR(回転!)のエンジンとして搭載されたのを最後に2017年にその血脈は途絶えてしまいました。VTR(回転!・・・しつこい)の2型にはカウル付きもあったんですね、知りませんでした。
カウル無しのドゥ(ピー)ティ モン(ピー)ターモドキ(あっ・・・w)しか見たことが無いので(嫌いではないですよ、これもそのうちに)。
そのVT一族に、特に「旅」に特化した1台が居たのを覚えていますか?。
【HONDA XELVIS】
「ホンダ ゼルビス」です。
1991年のデビュー、VT一族としては七代目になります。1982年からどんだけモデルチェンジを繰り返したんだよVT一族ってw。
えっ?、どんなのか忘れてしまった?。
これですよ。
こんな色や
こんな色も
・・・・・えっ?
ちょっと待てっ!、なんだよ今のは!?w
正体はよく似てると言われて迷惑を被っていたカワサ菌んちの子ですけどねw(紹介済)。
しかしゼルビス側はEX-4に似ていると言われた事は皆無らしいんですが、何故なんだろうか。
それではスペック
水冷V型2気筒DOHC8バルブ、排気量 249cc、最高出力36馬力です。
はい、これまでのVT一族は43馬力を達成していたのにいきなり非力化しています。そのかわり中低速にパワーを振った性格です、初代でも35馬力だったのに。
ところで、「ゼルビス」ってどういう意味?
「x」tra(特別な)
「el」ate(元気づける)
「vis」itor(訪問者)
この3つの言葉(綴りが変?、そりゃホンダによる造語ですから)を組み合わせた造語で「XELVIS」、「心を揺さぶる最高の友人」という意味合いでつけられた車名なのです。
つまり、ホンダが言いたい事は。
ゼルビス!、トモダチっ!
誰?、誰なのっ!、なんか違っ!w
まあ、そんな親しみやすいバイクなんです。
さて、当時の250としては車格は大きめ、乾燥重量も156kgと当時としてはかなり重いほうですね・・・って、現行のシングル&ツインの250はこれより重たいんですがね。
ABSやらなんやらいっぱい付いていますから、ちなみにシングルエンジンのジクサーSF250(愛車を主張w)とは同じぐらいです。
それまでのVT一族はだいたい140kg台の車重でしたし。
この大きさ、重たさには理由がありまして。
当時の輸出用バイクCB500と車体や足周りを共用していたからなんです。
一応大型にあたる(日本では)水冷4気筒500の車体に250のV型ツイン、そりゃ重くなりますわな。
そこに43馬力は可能なはずのエンジンをわざわざデチューンした36馬力・・・走ると思います?これ。
しかし、このバイクの美点はそこじゃない。
違う!こっちだ・・・・・・・
まあっ!・・・立派!///
そう、その250としては立派な車格や車重による鬼安定感、高めのハンドルが生み出す楽で疲れにくいポジション、やや非力ですが尖った所が無い安心感すらあるエンジン特性、耐久性も名機水冷Vツインだから折り紙付き、大きめのカウルが生み出す防風性能。
そう、正に旅に特化したVT一族の異端児、それがゼルビスなのです。
それまでのVT一族はスポーツVツインだけど一応旅もこなせるよ、こんな性格でしたがその旅の部分をブラッシュアップしたわけですね。
そのブラッシュアップされた部分は他にもありまして。
まず荷掛フック、シート回りに左右で8箇所、更に2箇所の格納式フックも・・・合計10箇所も荷掛フックを装備。
16リットル入るガソリンタンクにシートの下には容量7リットルを誇る収納スペースも・・・雨合羽ぐらいなら余裕で飲み込んでくれます。
つまり、積めるんです、積みなヤツです、長旅には最高のトモダチであります。
ただし、その分VT一族が誇ったスポーツ性はかなりスポイルされていますが。
まず、車体構成的にもリヤヘビーであること、それ故にリヤステア気味・・・いや、モロにリヤステアなんです。しかもリヤサスは歴代のモノサスを捨てて2本サスですし。
スポーツ系のようなコーナリングを期待してはいけません、無理にそれをやると下手をすれば不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまいます。
だから更に積載性が良いからと調子に乗って積みすぎると・・・フロントの接地感が!と某湾岸の黒い会長いや怪鳥状態に。
リヤ過重を心がけてリヤで曲がるバイクですよ。
そして重いからブレーキは他のVT一族に比べるとややプアです。
このバイクで峠を攻める?いやいやご冗談をなレベル、まあ、普通に走る分には何ら問題ありませんが。
さて、デカくて重くてもVT一族、さぞかし売れたのか?
はいっ!爆死~っ!www
1991年あたりはまだまだレーサーレプリカも沢山居ましたし、男は性能!な時代でしたし、もう5年ぐらい後に出ていれば爆死は無かったのかなと思いますが。少し生まれるのが早すぎたようです。
まあ、よく間違えられていた上記の「カワサ菌んちの子」よりかは売れていますけどねw。
1996年に生産終了、当時はバイク便で使われる事が多かったそうです。
さて、中古市場ですが。
走行距離多め(3万キロ以上)だと20万円あたりから、走行の少ないノーマル極上だと40~50万円行かないぐらい、ただ、不人気だったのでタマは少なめ(無くはないレベル)です。
一時期は二束三文で売られていましたが、旅人ライダーさん達に再評価されまして微妙~に値段が上がって来ているそうです、はい、買うなら今!ですよ。
ただ、エンジンは長く造られ続けたのでエンジン周りの部品は大丈夫だそうですが、灯火類などの細かい部品に欠品が出始めているそうです。同じホンダの他のバイクから流用は効くそうですが。
正にツーリングスペシャルとして生を受けた異端のVT一族、スポーツ性を捨ててまで旅をすることに特化、販売当時はウケませんでしたが、生産終了後に再評価され支持の高いバイク、それがホンダ ゼルビスです。
乗るならパイプハンを少し下げ気味の物に交換とマフラー、リヤサスは社外のよく動く物に交換したいところです。それだけでもだいぶ変わるそうですよ。
さて、ホンダさん。
この歴史的遺産とも言える90度水冷V型2気筒エンジン、なんとか復活させて下さいよ、というか、ゼルビスは今こそ売れるバイクでは?。
250cc2気筒スポーツに新しい(エンジンは古くとも)風を入れませんか?、V型2気筒スポーツを、新たに出して欲しいです。
新、VT250Fとしてね。