年の瀬は好きなバイクで〆。
ホンダさんがまた気でも狂ったかのような1台を造りましたというお話。
いや、だからそりゃキミもだけどねぇ~!RC213V-S!w、排気量は1000ccだけど車重が現行の250ccスポーツより軽くて、価格が「約、家(上物)1軒分」とか無いわ~!だけどw、ノーマルだと77馬力だし(HRCキットを組めば跳ね上がりますがレース専用部品)。
今回はこちら。
【HONDA RVF750R】
「ホンダ RVF750R」です。
今回は長めなので、暇な時にどうぞ。
えっ?、車名がレーサー含めて似たようなのが多くてピンと来ない?、ならば以降はこう書きます。
「RC45」と。
はい、あの「RC30」の後釜になります、勿論限定車です。またスペシャルなホモロゲーション取得のための750ccレーサーレプリカですね。
1988年より、それまでのTT-F1からWSBK(スーパーバイク世界選手権)に移行したわけですが、当初はホンダさんがそれを睨んで開発した先代RC30(VFR750R)で独り勝ち状態、しかーし当時のこのWSBにはレギュレーションに罠が仕掛けてあったのです。
参戦車両の多様性を確保し、車両間の性能の均衡を図るため、エンジンの気筒数毎に異なる排気量区分と最低重量が設定されていまして、同一排気量ならば気筒数が多い方が高回転・高出力化に有利なため気筒数が少ないほど排気量上限が大きく、最低重量も軽く設定されていて、4気筒は600~750cc・162kg、3気筒は600~900cc・155kg、2気筒は750~1,000cc・147kgです。
🍚・・・違っ!
2気筒ならば排気量を大きく、尚且つ軽く造れちゃうんですよ~!ということ。
これにほくそ笑んだのはイタリアのアイツ・・・そう
土方~!・・・いやドゥカティですね。
1990年初頭あたりはドゥカティの独り勝ちに、そりゃそーだわ、車重は4気筒750勢より軽いし、単純に排気量大きいし(851ccから始まり888ccになり更に916ccになったりと年々排気量をアップ)、そもそもVツインでトルクが太いし・・・これズルくね?と。
当然、ホンダさんとしては看過出来ないわけで、じゃあウチは750ccのV4で土方~(だからドゥカティ)に勝ってやろうじゃねーか!となるのがホンダイズム(【イズム】は私の称号だ!byカワサ菌)。
後に全気筒数で排気量が1000ccで統一になったり、近年はやっぱV型2気筒は1200ccまでになったけど最低重量が重くなったり、吸気リストリクター装着などコロコロとレギュレーションが変わっておりますが。
というわけで、RC30にかわる750ccV型4気筒ホモロゲーションマシンを造ることに。
開発主査は?勿論あの人!
RC30でも総指揮を取った「ホンダの本多さん」です(代役)。
基本的にはRC30を踏襲しつつ、WSBレギュレーションでの問題点・・・それは「市販車からフレームを一切変えちゃダメよ」、これが一番の問題になっていました。
ここをなんとかしようと本多さんは
「RC45はアルミのトラスフレームにするぞ・・・」
とか言い出したからもう変態!いや大変、これにより開発チーム内でモメてしまいました。
しかし、本多さんは相変わらず折れなかった・・・
今回は本多さんが暴走!w
プロジェクトリーダーがこんな状態でチーム内で孤立、これではプロジェクトが早速頓挫してしまう(というか本当に一度飛びましたw)。
とうとう本多さんは開発主査を解任されてしまいました・・・・。
その後、本多さんは勝てば何をしても許される変態(それウチの称号や~!byスズ菌)集団である、HRC(レース部門)へ出向となり、無職にはなっていませんのでご安心をw。
そして、RC45プロジェクトは
入れ代わりにHRCからやって来た堀池さん(代役)という方がプロジェクトリーダーを引き継ぎ開発を継続。
フレームに関しては、これまでのRC30系を止めて結局全面的な刷新新設計をすることに。
具体的にはメインチューブのサイズを縦長に変更して縦方向の剛性は上げつつ、横方向の剛性をわざと落として捻れを起こすことでコントロール性を向上、代わりにスイングアームは縦も横も捻れも15%ほど剛性をアップしました。
エンジンについては、これまで搭載していた1982年のVF750セイバーからキャリーオーバーされ続けてきたRC07E型系から、大幅な設計変更を施した新設計新開発のRC45E型へ。
燃料供給をキャブレターからPGM-FI電子式燃料噴射装置へ、カムギアトレーンはエンジン中央配置だったのを右端に配置変更し、ギア枚数やベアリング数を減少させフリクションロスを低減、カムシャフトの長さを短縮、パウダーメタルコンポジットシリンダースリーブを採用し、スリッパータイプピストンにチタン合金製コンロッドを採用、大口径4連ボアのスロットルボディやストレートインテークポートを採用、点火時期を最適にコントロールするPGMイグニションを採用、ラジエーターはアルミ製上下2分割タイプとし下部裏側に薄型ファンモーターを搭載、大型空冷式オイルクーラーをラジエーター後方へ縦に設置などなど全面的に再設計されております。
全ては堀池さんの立てた目標値、「市販型もHRCキットの組み込みだけで、150馬力を叩き出すポテンシャルを持たせる」を達成するためです。
こうして1994年、RC45(RVF750R)は産声を上げました。
やっとスペックw
水冷V型4気筒DOHC16バルブ、排気量749㏄、最高出力77馬力です。
77馬力はあくまで市販のための出力、上記のとおり販売されていたHRCのキット組み込み&再セッティングで150馬力に迫る出力が出せます。
同時期に販売されたRVF400
これよりヘッドライトが大きくてパッチリお目目なのは、最初から海外でも販売することを視野に入れていたので、RC30の海外仕様でもあったように、大型の丸目2灯を最初から採用したからです。
フロントブレーキは異径4ポット対向ピストン・キャリパーと耐摩耗性に優れた焼結パッドに大径(310mm)フローティング・ディスクをダブルで、フロントサスペンションは直径41mmインナーチューブを持つ高剛性の倒立式フォークを採用、構造材各部に軽量のアルミ材を採用することによって、剛性を確保しながら軽量化を達成
リアには、2ポット・ピンスライドタイプのキャリパーに焼結パッドを組み合わせて採用し、高い制動効力を発揮、リアサスペンションは高剛性の片時ち式スイングアーム(プロアーム)を採用するとともに、前・後とも徹底して軽量化を図ったアルミ・ホイールに、優れたグリップ性能をもつ軽量で幅広のラジアルタイヤを組み合わせて装備してあります。
生産販売台数はホモロゲーション取得のために必要な台数である500台限定、これだけ様々な新機軸を盛り込まれたためその市販価格は・・・・
¥2,000,000ヽ(゚д゚ヽ)!!
まあ、以前紹介したヤマハのOW01(FZR750R)が既にこの価格だったとはいえ、遂にホンダさんも200万円の大台突破!、それでもRC30と同じく販売は抽選になったとか。
そりゃプライベーターにとってはHRCから販売されているレーシングキットをポン付けして、チョイとイジれば150馬力確実な750ccが、当時の普通乗用車1台分の価格で手に入るなら喉から手が5本ぐらい出ますわな。
レースでの活躍は?
スーパーバイク世界選手権:1997年年間チャンピオン(ジョン・コシンスキー)
全日本ロードレース選手権スーパーバイククラス:1995年 - 1996年年間チャンピオン(青木拓磨)
1998年年間チャンピオン(伊藤真一)
AMAスーパーバイク選手権:1995年年間チャンピオン(ミゲール・デュハメル)
1998年年間チャンピオン(ベン・ボストロム)
鈴鹿8時間耐久ロードレース:1994年・1995年・1997年 - 1999年優勝
はい、しっかりと上位を狙えるマシンとなり、土方~いやドゥカティや他社と激しい鍔迫り合いを繰り広げました、ちなみにワークスRVFは160馬力以上を叩き出していたそうですが。
さて中古市場・・・ですが。
RC30に負けず劣らずな超強気なお値段、そもそも500台の限定車でそのうちかなりの台数が公道走行不可のレーサーへ改造されていますから、タマ数は非常に少ないです、多分RC30より少ないんじゃないかと思われます。
2台ほど発見、片方は概ね500万円、もう1台は概ね560万円、まあ、RC30よりほんの少し安いぐらいですが、そんなに変わらないぐらいの価格帯です。
【歓声は私のものだ】
そのコピーのようにまさにレースで勝利する(というか750ccV4でドゥカティぶっ潰す!)ために生まれたバイク。
RC30の後継ではあるんですが、その開発アプローチはだいぶ違います。
RC30もレースで勝つためではあったんですが、その目標は「市販車で自社のレーサーRVFにも勝てるバイクにする」これも目標だったんです。だからこそ暴れていたドゥカティに「市販車で勝つ」ために、本多さんはドゥカティも採用しているアルミのトラスフレームにしようと譲らなかった、つまりまず市販型ありきで開発して、そこからレーサーRVFにすれば良いじゃんと考えていたのかなと。
対して堀池さんは、長らくHRCに在籍していたレース畑の人、市販車を手掛けたのはこのRC45と、販売当時バイク界のNSXと言われた
NR750ぐらいです(紹介済)。
つまり、あくまで純粋なレース屋としての視点で「勝てるバイク」を造りたいので、レーサーRVFと市販ホモロゲーション車両をほぼ同時進行で造ろうやと、効率最優先でまず「ワークスレーサーありき」で開発して、ホモロゲーション取得のためにフレームやエンジンや技術を市販型RC45へ落とし込めば良いだろと考えたようです。
だから一部の方々から「RC30に比べてRC45はホンダ的ロマンに欠ける」なんて言われたりもするんですが。それが中古市場価格にあらわれているのやら?。
所有・・・は、まあ、無理ですが。
とりあえずはモリワキあたりのスリップオンマフラーを装着、足回りを少し見直しで前後をオーリンズにしたいかな、でも、実はRC45にはひとつだけ大きな欠点がありましてね、それは・・・90年代バイクのクセにフロントホイール&タイヤが「16インチ」なんですわ。RC30はリヤが18インチでしたけどね。
この90年代初頭、ホンダは一部車種で幅広タイヤを装着したフロント16インチを積極的に採用していまして
CBR900RRファイヤーブレード(初期型、紹介済)も幅130のフロント16インチでした。開発としてはセルフステアを強くし軽快感を出しつつ、尚且つ16インチで有りがちな切れ込み過ぎからのスリップダウンをしないように、フロントタイヤを太目にしたらしいんですけど、やはりフロントの切れ込みが強すぎて、フロントからスリップダウンしそうで怖いという話がRC45オーナーの間でも上がっています。
まあ、結局レーサーでは後にフロント17インチに改めてられていたりするので、フロント16インチはやっぱり害悪なんですわな。ファイヤーブレードも2型からはフロント17インチになりましたし。
だから前後ホイールをマルケジーニなどのマグネシウム鍛造の17インチに変えているオーナーが多いそうです。いわゆるマグ鍛というヤツですから、前後ホイールだけで中古の軽自動車が買えるぐらいの価格ですけどねw。
なかには前後17インチのカーボンホイールに交換した強者もいるとか(前後で新車の軽自動車が買えるぐらいの価格)。
さて、ホンダさんにもの申~す!
RC30はリフレッシュプランをやっているのに、RC45はどうしてやらないのかな?。
45の純正部品、最近欠品が増えているそうじゃないですか、オーナーさん達が苦しんでいますよ。
このままではRC45が「お゙前ばっかり!ヺ前ばっかり!」と特級過(ピー)怨霊に・・・(違っ)。
RC45も30と同じく「熱きホンダスピリットの塊」ですよね?、だからこちらも早くリフレッシュプランの発動を、RC45も後世に残すべき遺産ですからね。
さて、好きな車、バイク共々今年も見ていただきありがとうございます。
来年もよろしく御願いします。
えっ?、750ccホモロゲーションレプリカシリーズ(part2)は続くのか?、気長にお待ちのほどを。