今回は外車、ドイツからベンベ(BMW)行きま~す。
あら、これまだやっていなかったな~と、かなり独創的な2シーターロードスターですよ。
【BMW Z1】です。
あちら風の発音だと「ツェット アイン」になるそうです。
1986年にプロトタイプを公表、翌1987年のフランクフルトモーターショーで公式発表、発表当初は大きな注目を集め、生産前にもかかわらず35000台のオーダーがあったとBMWは発表していたんですけどねぇ・・・後程。
有名ではある車なんですが、以外と記憶からは消えているかもなので
これがBMW Z1です。寸法的には全長が3,921mm、全幅が1,690mm、全高は1,248mmと当時の3シリーズぐらいですから案外小柄な車ですよ。
スペック
水冷直列6気筒SOHC12バルブ、排気量2,494cc、最高出力170馬力です。
1989年にデビューし販売開始されました、ちなみにZ1のZは「Zukunft」(ズウクンフト)、ドイツ語で「未来」という意味の言葉から来ています。
Z1以降もZ3、Z4、Z8に使用されていますね、これらの車種はすべて2シーターロードスターです。
リヤビューとサイドビュー、ルーフは手動式の幌で開放時は座席後方に収納されています。トランクとリヤバンパーとの間の黒い部分、ここは開口部になっていて、リヤバンパーのパラシュート効果を低減するためのディフューザーのような役目があります。
内装、わりとシンプルな外装に対して結構独特なデザイン、左ハンドルのみでトランスミッションはゲトラグ製の5速MTのみです。
ハンドルはシンプルなT字型のスポーク、2シーターロードスターという車種にしては飾り気が無い感じ。
エンジンルーム、ボンネットは前側ヒンジの前方向開き。
これはミニカーですが、一度前側が少し上へ開いて前方へ開くタイブ、これはなんか特別感があって良い感じ。エンジン自体は当時の325iの直列6気筒SOHC12バルブ2.5リッターエンジンの流用でスペックも変化はありません。官能的というのとは程遠いそうですが、いわゆるBMW的なシルキーシックスの味わいはあるそうです。
こう見ていくと、3シリーズをベースにした、小柄でちょっとお洒落な2シーターロードスターじゃないかといった感じですが、実は独創性の塊のような車でして。
これ、どういうこと?、話は簡単外板は全て取り外せるんです。シャシーの基本骨格があり、それに外板を取りつけていくタイブ、現行のダイハツコペンと同じようなやり方ですね。
実は外板は全て強化プラスチック製でして単体だとかなり軽量、着脱も比較的に楽だそうで部分的にぶつけたり擦ったりしても交換は容易、40分で着脱できる!とBMWは豪語していたそうですが、実際にやるとかなり手間がかかるとかw。車重は乾燥1250kgなので軽量化にはあまり貢献していませんけど。
よって、全部の外板を外した状態でもそのまんま走れてしまうというね・・・なんかキモっ!w。
駆動方式は典型的なFR方式、元となった325iのものをそのままに使っていますが、足回りは専用設計の「Zアクスル」と呼ばれる後輪サスペンションを採用、これはBMW初採用のマルチリンク式のサスペンションです。よって足回りはかなり良いものを与えられています。
そしてZ1最大の特徴ともいえる左右のドアの開閉方式ですが。
全閉状態はこれ。
画面中央の銀色のキーの差し込み口がありますが、スイッチにもなっていてこれを指で押すと・・・。
おわかりいただけただろうか・・・
サイドドアは開くのではなく、パワーウィンドウのように下方へ下がる方式なのです。勿論車内からも操作可能。
完全開放状態、ご覧のとおりサイドシル内にドアが格納されるんです。
開いたままだとこんな感じ、もちろんこの状態でも走行できます。ルーフもオープンにすればかなりの解放感を味わえるそうですが、コーナリングで横に投げ出されそうで怖いともw。
ただ、その分サイドシルの幅が20cm近くと広く、また高さもあるのでそれを大きく跨ぐような乗り降り方法になり結構面倒臭いとか。ちなみにサイドのドアを解放したままの走行については、国によっては禁止の場合もあるそうです、意外ですがアメリカでは法令でダメ。
要はサイドウィンドウとサイドドアは通常のパワーウィンドウと同じ方式で一体式に開閉するわけですね・・・だけと壊れやすいらしいw。
とまあ、このように様々な新機軸を投入、プロトタイプの発表の際には話題となり、販売前に35000台の予約も入ったよ~!とベンベさんホクホクですか~?。いざ、販売開始すると総生産台数は・・・約8000台。
はい、商業的にはかなり派手に爆死しましたw。
アレですよアレ!「発表時の反響の声や買います!の声はやたら大きく聞こえるけれど、実際の売れ行きに直結するとは限らない」の法則発動!です、なんかスズ菌さんとかダイハツさんがあ~う~聞こえない聞こえないと耳を塞いでいますがw。
つまり、発表でZ1を見た人々は「これはどうせ売れないだろうし、コレクションしておいたら希少価値がついた頃に高く売れるんじゃね?」と思った人が多くて注文が殺到、しかし、35000台受注!とBMWが発表したら「なんだよ!結構オーダーが溜まっているじゃないか!、これじゃ台数的に中途半端だし希少車にはならなそうだな~」と思われて受注はパッタリ途絶えたということらしいですw。
改めて見ると、サイドビューやリヤビューが厚ぼったくてわりと不恰好なスタイルとも言えますし、それでプロトタイプの発表会の時にこれを見た人々はコイツは売れない!と判断したようですね。
正直なところ、BMW的にも様々な新機軸を試すためのスタディモデルという感じだったらしく、これは売れるとは思っていなかったフシがあり、おまけに生産にも手間とコストがかかると、よって生産期間も1991年までの約2年間とかなり短かかったのです。つまりBMWの・・・
黒歴史であるっ!w。
というわけで、積極的な輸出はされておらず、その生産台数のうち7~8割がドイツ国内での販売だったそうです、日本でも正規輸入販売はされていません、モデルとしてはかなり短命だったので、現在ではレアな車となっております。
そして、Z1には更にレアな役物が居ましてね。
見た目には普通のZ1ですがホイールに注目、この独特なフィンタイプのノーマルホイールと言えば・・・そう、アルピナです!。
名前は「Z1 アルピナRLE」(ロードスター・リミテッド・エディション)と申しまして、その生産された台数はわずか66台!激レアさんですよ。
エンジンは当時のアルピナB3のものを搭載、最高出力は200馬力に高められております。画像のは66台中の55番目の個体、Z1アルピナの新車時販売価格は860万円だったそうですが、中古で売りに出された時のそのお値段は・・・
¥22'000'000 (゜_゜;)!
弐千弐百萬圓!この画像の車両、ドイツから日本へ渡ったらしいですよ。
さて、中古市場
Z1の新車時の販売価格は概ね560万円だったそうで、滅茶苦茶高価な車では無かったんですが、現在はマニアックなコレクターアイテムと化しており、かなり高騰しています。
2台ほど発見、1台は約1200万円、もう1台はASK(応談)のプライスタグ。どちらもドイツに車両があり、商談成立で輸入されるそうです。まあ、生産台数を考えたら最近の古い車の中古相場から考えると妥当なのかもしれません。
BMWが目指した未来(ズウクンフト)、一見ロングノーズ&ショートデッキの古典的な2シーターロードスターでしたが、外板の生産取り付け方法だったり、新たなマルチリンクサスペンションだったり、ディフューザーによる空力向上だったりドアの開閉方式などなど先進性てんこ盛りでした。しかし、そのやや寸詰まりで厚ぼったい感じのスタイルはわりと・・・万人に認められず、発表の時は反響が大きくても実際の販売では大コケ、生産期間もたった2年間で輸出もほとんどされずで、BMWイチの黒歴史なカルトカーになってしまいましたが、その後のZ3やZ4、更にZ8へと繋がる基礎となった車、それがBMW Z1です。
所有するなら?、これは基本的にイジってはダメかなと、ただし、E30系の当時の3シリーズの改造手法は使えるそうで、パワーアップをやるんだったらそれでやるのが良いかと。
レムスのマフラーがあれば装着、ビルシュタインかザックスかアイバッハ・フェダーンあたりで足を締め上げると。
まあ、まずは入手が大変ですし、安い個体は大半は要レストアだそうですから、まずは完調を目指すのが吉ですかね。
当時はそのスタイルが賛否両論でしたが、今となっては希少な車、手厚い保護が必要です。
余談、Z1と来て次はZ3となるわけですがその間の「Z2」は無いのん?。
いや、何度か話は立ち上がったそうですよ。
画像はZ2のデザインスタディのあくまで一例ですが、BMW Miniのコンポーネントを流用した車に・・・なる予定だったらしい。ただ、ご存知のとおり以前Miniにも2シータークーペやロードスターが出ましたよね、よってこれを出しても商品的にMiniクーペやロードスターとコンセプトがカブっちゃうんですわ、だったら少し大きい3シリーズをベースにしたZ3でしょ?と、なった模様。今後出るとしたら、電気自動車としてではないかなと思われます。
余談その2
現行Z4、トヨタのA90スープラとコンポーネントを共有している車ですが、なぜ「Z5」にならなかった?。
BMW的には、先代Z4から車格がほとんど変わっていないから、そのままZ4で通した・・・らしい。
今一つ売れていないようですから、案外後々を考えたら今が買い!なのかも?、生産台数は少なくなりそうですから。