今回は国産、ヤマハから行きます。
ヤマハのバイクの紹介の中で何度か名前は上げていますが、ちゃんと書いていなかったなと。
正直・・・ヤマハのバイクの中ではかなり不遇な子です・・・いや、これを何故造った?なレベルで。
【YAMAHA Diversion 400】
「ヤマハ ディバージョン400」です。
1991年、他社はネイキッドモデルをそれぞれが発表したあたり。
ヤマハとしてもそのビックウェーブに乗り遅れるなと、エンジンから新規に開発したモデルを発表!。
えぇ~・・・どうしてこうなった?w。
スペック
空冷4サイクル並列4気筒DOHC8バルブ、排気量398cc、最高出力42馬力です。
長距離ツーリングに特化した車体、38mmスチールチューブ製ダブルクレードルのフレーム、ハーフリジット式でエンジンをマウントし、必要な剛性と低振動を両立、足回りはフロントが38mmのフォークに320mmシングルディスク+異径2ポットキャリパー、リアは鉄製楕円スイングアームに、リンクレスのモノクロスサス、リヤブレーキは245mmシングルディスク+シングルポットキャリパーという組み合わせ。エンジンは空冷8バルブですが前傾45度のシリンダーブロックを持つ、いわゆるジェネシスエンジンです。XJ系の流用ではなくわざわざ新規に設計したエンジンなんです。また、フロントカウルはフレーム固定で防風性も高いのです。
ここまで見ると気合いが入っているな~と思われますが、でも、ある意味「枯れた技術の集大成」でもあるんですけどね。
リヤ側にはグラブバーも装備、ポジションもパイプハンドルで軽い前傾になるスタイル、柔らかめですがコシのあるお尻に優しいシート、まさに旅人に優しいバイク、画像のセンタースタンドはオプション扱いでしたが。尚、前後のタイヤはあえて乗り心地重視でバイアスタイヤを選択したんだとか。
しかし・・・中型クラスでそれまでカリカリのレーサーレプリカを造っていたヤマハが、何をとち狂って・・・失礼、何を考えてこのディバージョンを造ったのやら。
どうやら、それまでもヤマハのバイクのデザインをいくつか手掛けていて(V-MAXなど)、このディバージョンのデザインも担当した「GKデザイン」社(国内企業ですよ)の暴走・・・らしいです。
今でこそアドベンチャーモデルも多彩で、いわゆる旅向けミドルバイクは沢山ありますが、この時代まだそういうバイクはましてやミドルクラスにはありませんでした。
その未知のコンセプトをヤマハへプレゼンするために、GKデザインはわざわざ自前でカタログを事前に制作の上で、より具体的なイメージを提示してプレゼンに望んだという気合いの入りよう。
つまり、GKデザインがこれほどまでしてこのバイクを作りたかったという気合いの現れだと思います。
その未知のコンセプトで強調されたこと、それは「風と喧嘩しない、風と対話する」つまり「風」、そして「旅」と「美」この三つが強く示されたそうです。
「風」の面、改めてスタイルを見直すと、旅バイクならフルカウルでも良さげですが、このハーフカウルこそが風との対話に重要、防風性の高いアッパーカウルもよく見るとかなり丸みを帯びています、これは投げられたボールの風の流れを参考にしてあり、防風はするんだけど後方に適度な風を流して風を感じる、こういうコンセプトで造られているそうです。
「旅」の面では一見アップライトなパイプハンドルですが、実は案外ポジションは下がっていて適度な前傾姿勢を作るのに一役買っています。軽い前傾ぐらいが長距離は一番疲れませんからね。
そしてシート、これは元オーナー達が口を揃えてこう言います。
「このディバージョンのシートより良いバイクは、高級な外国製ツアラーバイクに乗り換えても無かった」と。
コシのある固さと座面の柔らかさが絶妙で、本当に疲れないそうです。
「美」の面は?、その流れるような(そこ、ヌルヌルのっぺりし過ぎとか言わないw)スタイルと空冷エンジンの持つ美しい冷却フィンとが織り成すマリアージュ・・・う~む、美の巨人。
と、気合い充分!、ゼファー?そんな懐古趣味はアウトオブ眼中!、ウチ(ヤマハ)のネイキッドブームに対する解答はこれだ!とばかりに出したわけですが・・・。
はいっ!大爆死!w。
全然売れず、存在すら知らなかった方のほうが多いかも。
まあ、当時は「ネイキッド」がブームだったわけで、正直ディバージョンは「得体の知れない子」扱いでしたし。ヤマハはXJ400みたいなスタイルで来るだろうと思っていたところにおもいっきり肩透かしを喰らったような状態。
ヤマハとしては、性能一辺倒だったこのクラスにゼファーのように新たな風穴を明けたいと思ったのかもしれませんが・・・42馬力って。
いや、性能至上主義では無いとはいえ、下手をすれば規制前4サイクル250より馬力が低い、ゼファーよりも4馬力低いって・・・。
それでいて乾燥車重は178kgって、下手をしたらゼファーより重たいヤツですやん。
正直、そのスペックを見ただけで皆様からパスされたフシがありますな。
翌年1992年には600ccも追加になりました、というかこちらが本命だったそうで、実は開発段階では600ccとして造られていたんだそうです。国内の400ccはボアダウンされた物だったとか。
600ccは57馬力の出力、まあ、妥当なところかなと。
国内仕様である400ccは、中途半端なバイクとみなされ、たった1年ちょいで生産販売中止の憂き目に・・・。
しかし、このエンジンをベースにXJR400が1993年に生まれています。
国内では散々でしたが、600は海外にも輸出され北米や欧州では結構売れています。
その証拠として国外では。
ディバージョン900、排気量は900ccにアップ、駆動方式がチェーンからシャフトドライブに変更されて信頼性もアップ、そう、海外では後継車が造られ続けたのです。
上記の600は1999年まで生産され、少し間をあけてから
2014年にXJ6 Diversionとして名前が復活、本来はネイキッドモデルのXJ6というバイクなんですが、それにハーフカウルを付けたのがディバージョンになりました、欧州メインの輸出車ですよ。
さて、中古市場
400は・・・はいっ!タマが無いっ!、超絶不人気車でしたからね、売れて無ければタマも無いわけで・・・・アパーム!アパーム!タマ持って来~い!。
なんとか1台発見、走行はわからずでしたがキャブ調整済みで25万円、暴騰を続ける90's空冷4発がこのお値段、安くね?。
尚、いわゆる地元の掲示板とかヤフオクで投げ売り&あげますされている事も。
当然、程度はオンボロのレベルですけどね。
所有・・・ん~、600で、可能なら900なら良いかなと。正直400は非力すぎますから。
こんな風にカウルを外してネイキッド化されている物もあります。これなら400でも悪くないかも。
アフターパーツは・・・あるんですかね?、マフラーすら無さげですが。
ヤマハなりのネイキッドブームに対する解答は、空冷4発のミドルツアラーというそれまでに無い物でしたが、その新しいコンセプトである「風、旅、美」は理解されずに爆死!w、正直時代が少し早すぎたのか市場からはソッポを向かれ約1年で生産終了に、しかし、長旅を強いられる北米や欧州では支持を集めて後継車種まで出ている、そんな本当の旅人達には支持されたバイク、それがヤマハ ディバージョンです。
尚、ディバージョンの形式名なんですが「XJ400S」でして、そう、このディバージョンこそがXJ400とXJR400を繋ぐ空冷4発のミッシングリンクだったのです。
ディバージョンがあったからこそ、XJR400が生まれたと言っても過言では無いのです。
考えてみると、日本では爆死したけど北米や欧州ではロングセラーになったミドルクラスの旅バイクねぇ・・・。
【変態】のところだとお前か?。
コイツもかな。
カワサ菌は二回もやらかしとるやんけ!w。
そっかぁ、つまりディバージョンとはこの子達の仲間と考えればいいのかなw。