今回はお久しぶりないすゞから。
いすゞの車なんですが、国内では外車的な販売がされた車です。ヤナセのみで売っていました。
【ISUZU PA NERO】
「いすゞ ピー・エー ネロ」です。
これのこと?まあ、確かにコレもヤナセで販売されたネロ(というか正しくはピアッツァ・ネロ)ですが、これはピアッツァと共に紹介済です。
今回のは厳密に言えば、ヤナセ販売のネロとしては二代目のネロになります。
しかし、このPAネロを語る前にはこの車を知らなければなりません。
1990年、アメリカにおいて、ゼネラルモーターズのGEO (ジオ)チャンネルのストームとして販売していた三代目ジェミニベースのクーペモデルがありました。
これがジオ・ストーム、上記の通り中身的には三代目のジェミニ、それの前後のデザインを手直しして販売していました。アメリカではこの頃小型自動車が売れていた頃で、かなり売れたそうです。
そしてこのジオ・ストームを国内でも販売しようとなり。
パンパー回りや外装を一部手直ししてPAネロの名前で、いすゞではなくヤナセでの販売となりました。
スペック
水冷直列4気筒DOHC16バルブ、排気量1588cc、最高出力140馬力です。
初代ピアッツァと同じく、ヘッドライトはセミ・リトラクタブルになっていて
開くとこうなります。個人的には好きな顔です。
インパネ回り、スイッチ類の配置にピアッツァ感が残っている感じ、どこか航空機的です。というのも、二代目ピアッツァは
こちらもジェミニベースになったので、内装などは共通だからというのもあります、これもいずれやります。
シート類、セミバケ風のスポーティーなシートが奢られており、サポート性も悪くないとか。
テール回り、小さなウイングがあり、この辺も三代目ジェミニに似ていますね。
エンジンは3種類、ベースグレードの1.5リッターNAツインカム、150Jというグレード名で最高出力は100馬力、当初は上級グレードだった160X、160Sの1.6リッターツインカムNA、最高出力は140馬力、先に書いたスペックはこのグレードのものです。駆動方式はFFになっています。
そしていすゞの当時のホットバージョンと言えば
後に追加されたイルムシャーR!、ネロにも当然あります。ボンネットにインタークーラーへの外気導入のエアスクープがあるのが目印。
1.6リッターエンジンに更にインタークーラーとターボを装着、最高出力は180馬力にジャンプアップ、さすがにこの馬力をFFでは不安があったのか、イルムシャーRはAWDを採用しています。尚、このRはトランスミッションは5MTのみという割りきりの良さ、スポーツグレードですからね。
尚、ボディタイプはクーペの他に、ハッチバックも追加されていまして、こちらのほうがピアッツァ感(マヨネーズ感?w)があるとも評されていました。結構スタイルも後付け感もなくまとまっているかと。
さて、この頃のいすゞの最大の特徴と言えば?
ニシボリックサスペンション!
実際いすゞ社内の西堀さんという方が開発したサスペンションシステム、しかし細部は?な方が多いのでは?(私もですが)、なるべく噛み砕いてご説明を。
ラテラルリンク式リアサスにおいて、前後リンクのブッシュ弾性とリンク装着位置の工夫によりパッシブ4WS(四輪操舵)的な動きを実現したもの・・・はい?。
コーナリング開始時車両のロールによって最初は逆位相に動いていた後輪が、ロール角が深くなると同位相に動いていく・・・うーん?。
簡単に言えば、一種の4WSシステムなんですが、通常4WSは機械的な力を使って逆位相や同位相に後輪を制御するもので、いい例は前輪の舵角に対応して、後輪を逆位相~同位相にコントロールするホンダの三代目プレリュードですね。
しかし、ジェミニやネロではそれを電子制御や機械的な力ではなく、コーナリング中に足回りに外部からの力が加わったら、ブッシュ類やリンクが動いて自然と逆位相~同位相の四輪操舵になるよ、こんな感じで考えていただければ。電子制御でAWDの各車輪の駆動力を精密に制御すると日産のアテーサになりますが。
世界初の機構で鳴り物入りで発表しましたが欠点も発覚、定常旋回に入っても逆位相が継続する傾向が強くて、運転感覚としてはオーバーステアが強く感じられる、そう、オーバーステアしやすいという欠点もあったのです・・・それって怖くね?w。まあ、機構としては唯一無二で面白いとは思いますが。
最終的には1995年まで販売されましたが、わりと短い?、それもそのはずいすゞは1992年に普通乗用車の開発停止を発表、2002年には完全に販売からも撤退したからですね。販売台数はヤナセのみでの販売ということもあり、国内は3000台程度だったそうです。北米では1万台以上売れたんですが、存在すら知らないという方も多い車ですし。いすゞの末期は他社OEMだらけでしたね。
さて、中古市場・・・上昇傾向です。
160Xで走行10万キロ越えでも140万円台、イルムシャーRも1台発見、11万キロ越えですがなんと300万円近くのプライスタグ、元々タマ数が少ないのも高額な理由かと。
GMの要望でいすゞが開発生産(生産は全て日本国内の工場だったそうです)、北米ではGMの新しい販売チャンネルGEOでの看板としてジオ・ストームの名前で販売、なかなかの好調な販売台数で人気もありましたが、日本では先代と同じくヤナセのみでの販売だったせいか、そもそもの知名度が低くてヤナセ自身もこれといって強くは宣伝していない状態、よって日本では3000台程度と不振、しかし、ニシボリックサスペンションの採用など新機軸も搭載し、またホットバージョンであるイルムシャーRの追加で走りも良くスタイルもいすゞらしさに溢れた車、それがいすゞ PAネロです。
しかし、この時期のいすゞはジェミニは勿論二代目ピアッツァにこのPAネロと多種多様に普通乗用車を造りすぎて迷走していたとも言えますけどね。ジェミニにもクーペがあったり二代目ピアッツァにもネロがあったりと、この時期のいすゞは正直ややこしい状態でそれが販売不振に拍車をかけたという意見もありました。
個人的にはこの時期のいすゞ車はこのPAネロが一番好きでして、所有するならやはりイルムシャーRが良いんですが何分タマ数が少ないから中古車が高価なんですよね。まずは足回りを車高調で固めてローダウン、マフラー装着で。
このネロはカッコ良いな、こういう軽いエアロメイキングもしたいところ、しかし、エアロは手に入るんだろうか?。
ちなみに、当時のGMとしては自社のカマロの小型車バージョンという位置付けだったそうで、確かにこの頃のカマロに近いスタイリングかも。
過去に160Xを1回だけ見たっきりの車、また久しぶりにお目にかかりたいな、いすゞ愛好家はコンディション維持に異常にこだわるそうなので、程度の良い車両がどこかで眠っているかも、欲を言えば欲しい車です。
Posted at 2023/11/03 13:24:48 | |
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