今回は日産から、開発コンセプトはトガった車なんですが、とても丸くて可愛い働き者を。
【NISSAN S-Cargo】
「日産 エスカルゴ」です。
1989年、日産の一連のパイクカー(トガった車)の一員として。
エスカルゴは誕生しました。丸いけどw
スペック
水冷直列4気筒SOHC8バルブ、排気量1487cc、最高出力73馬力です。
車名はフランス語でカタツムリを表す「Escargot(エスカルゴ)」と、貨物→ 「Cargo(カーゴ)」をスペイン語読みとした「カルゴ」を掛けたもので日産による造語です。丸く背の高いシルエットや、大きく飛び出したヘッドランプなど、スタイリングもカタツムリがモチーフとなっています。
よく、ベースはマーチ?と思われがちですが、同時期のVN10パルサーバンなんだそうです。
絶妙な丸さのボンネット、これ実は当時の日産の工場のプレス機械では製作できなかったそうで、なんと職人の手によるハンマーで叩き出しの手作りだったそうです。
そのボンネットを開いた状態、エアクリーナーがクラシカルですね。カタツムリの中にカタツムリが居るw。73馬力と控えめですが、車重は意外と軽くて乾燥で900kg台です。エンジンは上記の通りパルサーと共通です。
サイドビュー、車体はこちらの後方サイドに窓が無いいわゆるパネルバンと。
後方側面に丸い窓がつくタイプを選択可能です。
ルーフ(屋根)については通常のタイプと
キャンバストップ(布の屋根)が選択可能です。キャンバストップの設定があったのは私は知りませんでした。
キャンバストップを閉じた状態、オープンカーに使われる生地と同じだそうです。
運転席とインパネ、非常にシンプルでハンドルは昔のシトロエンの車のような1本バー、どこかフランスを感じさせますね。センターメーターは当時日産ではかなり久々の採用だったとか。
トランスミッションはセンターコラムシフトの3速ATです。
シート類はまさにザ・商用車、飾り気の無いベンチシートで実用的なもの。
リヤゲートを解放した状態、4人定員なのでリヤシートはありますが、あくまで補助席的なものです。畳むとかなり広いラゲッジスペースになります。頭上も高いルーフなので開放的です。最大積載量は300kgまでと充分な実用性。
足回りは当時の商用車、ADバンなどはリヤはリーフリジット(板バネ)でしたが、エスカルゴは同じコンポーネントながらもリアに横置きトーションバースプリングを使ったフルトレーリングアーム式独立懸架を採用、リーフリジッドでは実現できない荷室の超低床化とリヤオーバーハング部の短縮を実現していました。つまり商用車ですが四輪独立懸架の足を与えられていて乗り心地は良好、タイヤもミシュランの商用タイヤが装着されていました。前後ブレーキはフロントはディスク、リヤはドラムのこれまた商用車として手堅いものです。
リヤゲートはこのように上方に開きます。
ゲートを閉じたリヤ、円を描いていたルーフが後方でストンと切り落とされたような形に、商用としての使い勝手も良いそうです。
日本では1989年~1991年の2年間の期間限定販売で、その間で受注して生産する方式でした。新車価格は130万円台で当時の商用車としては高額なほうでしたが、受注は好調で総生産台数は16000台ほど、2年間の期間限定と考えるとかなり好調な販売かと。
商用としての受注がほとんどで、特に花屋さんからの受注が多かったそうです。ルーフが高いから観葉植物などを運ぶのに重宝されたとか。後はお弁当屋さんにも好まれたとか。
海外でも一部地域(主に欧州)で販売されて、好評だったそうです。
さて、中古市場
過走行気味で80万円あたりから、走行距離が少なめのキャンバストップで200万円あたりと価格に幅があります。台数はそれなりにあるほうですが、年式的に程度の良い物の台数は減っていて、価格もじわりじわりと上昇中だそうです。
日産がトガったパイクカーとして、そのシリーズで唯一の商用車として開発、丸くて可愛らしい外観ですが、ベースはバリバリの商用車で高いルーフと300kg積める積載量も相まって実用性も高く、使える車でもあった働き者のカタツムリ、それが日産エスカルゴです。まあ、バブル時代だからこそ出せた車ではありますが。
所有するなら?、まずはレストアからですかね。ただ、年々部品は減っているそうなので、確保することからはじめないと。一応エスカルゴを専門で取り扱っているお店もありますが、絶対数は少ないです。
後は自分好みに塗装して。
こんな派手なのもいました。
ダウンサス(バネ)はあるみたいなのでリフレッシュもかねて軽く車高ダウン。
部分的にウッドパネル風な塗装を施した一台、ホイールは鉄チンにムーンディスク装着、やっぱりアメリカンな感じがいいかなと。内装もムーンアイズで取り揃えたい。もともとタイヤのフェンダーは外に出ているので、旧車風ビス止めオーバーフェンダー風も可能、その場合はホイールはワタナベかハヤシレーシングにしても良さげ。マフラー・・・は、ワンオフするしか無いかも?。
開発中のデザインスケッチ、リヤタイヤをフェンダー内に収める案もあったとか、しかし、ほとんどデザインそのままで販売されたのがわかります。
開発側としては、こんな風に使って欲しいという願望もあったそうです。
最近すっかり見なくなったエスカルゴ、久しぶりに遭遇したい車ですね。
Posted at 2024/04/05 17:04:05 | |
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