60歳定年になって、仕事を辞めて隠居生活になったら、好きなクルマを買って楽しもうと思っていました。それは、まだ僕が20代の頃の話です。
ところが、定年は現在、65歳に延長され、僕がその年齢に達する頃には、70歳になっている可能性があります。また、昭和、平成の時代とは異なり、僕らが70歳になった頃には、今ですら収入の半分以上が税金で搾取されているのですから、その割合が7割近くになっている可能性があり、まず年金だけで生活するのは無理でしょということです。つまり死ぬまで働き続けるしかないということです。社会ネタで言えば、ビルゲイツが提唱する、お前らは将来、虫でも食っていろという世界です。老後に欲しいクルマに乗れることがあっても、かなりの高齢になっていて、何年乗れるの?という話です。なら、今から無理してでも買うべきでしょと。
正月明け、仕事から帰宅し、カレーが辛くて、咽て咳をしたところ、右脇腹下に強烈な痛みが走り、腹直筋鞘血腫を発症したのではと自己診断です。簡単に言えば、静脈破断です。自分の体なのでそこらのヤブ医者に診てもらわなくても分かります。治療法はそのまま放置。自然治癒です。
それからは一週間、寝る際に横たわる時に激痛、咳をするだけで激痛、くしゃみをするだけで激痛、凍結路面で滑りそうになり足で踏みとどまって激痛…。
このまま死ぬのではという痛みでしたが、2週間経っても改善しない場合は、咳による骨のヒビも視野に入れていましたが、2週間目で落ち着きました。病院で診察しても誤診ばかり。最近のアレの騒動で西洋医学に対する不信感が一層高まりましたね。子供の頃の愛読書が『家庭の医学』でしたので、そこから派生した様々な本の知識で十分です。
この事からますます生きて健康なうちに買わなくてはと。闘病生活では、クルマどころではないですからね。
僕が初めて、ジャガー・XKR-Sを見たのは、海外の自動車番組『TopGear』です。抜けるような青空の色彩、V8・5リッターから奏でられるエキゾースト、そして、どこか80スープラぽい面持ながらもアストンマーチンのデザイナーだったイアン・カラムによるエレガントなスタイルに、惚れてしまいました。
北海道で開催されるモーターショーやイベントでこのクルマが登場するのを心待ちにしていましたが、とうとう一度も拝見することができませんでした。
この2台目・XKシリーズは2006年に登場し、まだフォード傘下時代です(現在はインドのタタ傘下)。そのため、ある意味、アメ車らしい力強さと、ジャガーらしい気品さを兼ね備えたクルマと言えます。
そんなジャガー・XKR-Sの定価は、1,759万円。高い給料でない僕には到底買えない高値の花。ところが、今から5年程前、goo中古車やヤフオク等にて、580万円程でジャガー・XKR-Sが売られていました。溜めたへそくりで買えます。家族に自分のこずかいでやりくりするから、2台目として買っていいかと聞いたところ、却下されました。このまま500万円を切ったら、家族に内緒で買おうと心に決めていました。
ちょうど、この頃、何度か、ジャガー・札幌店にダクトパーツだけでも買おうと何度か踏みとどまったものです。
ところがそれから4年間程、市場から消えていたのです。日本市場で海外だと高値の車種が580万円というバーゲンセールだったので、ちょうど日本車ブームということもあり、R34等と一緒に逆輸出されてしまい、日本市場は枯渇していたのです。そして、ここ数年程、13年目の重量税増加を嫌い、国内のワンオーナー達が手放し始め、その価格が既に800万円程になっており、この5年間で200万円以上、相場が上がってしまったのです。
このままでは、いずれ1,000万円を超える可能性もあり、またXKR-Sは、この青だからこそ価値があり、他の黒、赤、白色に比べ、相場も高めでした。
つい先日、goo中古車に現れた青はASKで金額を表示していませんでした。
このクルマを買うまでに色々誘惑はありました。
一つ目は、プジョー・スポール エンジニアド。結局は発売されなかったです。
2つ目は、フォード・フォーカスRSmarkⅢ。
ただ、地元で既に載っている人がいて、モエレ沼公園にも登場するようですので、希少性あるクルマが地元2台というのも気まずいので却下しました。
3つ目は、メガーヌ・現行アルピーヌ。
何度か実車を見かけることはあるのですが、僕にとってのベストオブベストではないとの判断です。これで2本出しマフラーなら…。
4つ目は、ボルボ・S60 ポールスター。
性能は良いのですが、外見的に地味かなと。
5つ目は、ダッジ・チャージャー・ワイドボディー。
4ドアなので、エボXが駄目になったら、日常用で選択肢として残せるので、外しました。
6つ目は、ジュリアGTA。市場にまだ出てきていないのが残念。
7つ目、実は一番苦心したのが、このLynk&Coです。アリババ等、僕が使う中国人相手のツールを使っても、買う手段がありませんでした…。
話を戻します。エボXの修理を札幌のCRUISEさんに依頼していて、時折、ブログを拝見すると、クルマをオークションするUSSに登録されているのが分かっていました。1台、ようやくgoo 中古車に青色がASKで出ているのであれば、13年目増税を嫌い手放すオーナーが増える法則があり、むしろ、ここ数年の機会を逃すと、もう手に入らず高騰し、手の届かないクルマになってしまうのではという危機感から、出品があれば入札をと依頼しました。僕はここ数年内の話であり、それまでに、ゆっくり車庫を探そうと思っていたのです。
ところがCRUISEさんにお願いして、ひと月経たないうちに、出品の連絡がありました。そこで、ネットでの不動産情報を見ると、札幌市内にかなりの数の賃貸ガレージがあり、専用サイトまである始末。これだけあれば余裕だと思っていました(これが後で、大変な目に遭うことに…)。CRUISEさんから入札するか確認の連絡で、万が一、入庫まで車庫を確保できていなくても、預かってくれるということから、入札参加に踏み切りました。
僕の出せる車体価格は、667万円でと。
実は今年、子供の大学受験です。共通テスト(以前のセンター試験)1日目の結果でかなり落胆していました。試験当日、朝のニュースで、咳や熱等の症状がある生徒は、別室で受験になると言っていたのです。
朝は私立大学の受験場所は国公立の北海道大学と異なり、遠い札幌大学。
そのため、行きも帰りも、クルマで送り向かいしました。
ところが、当日、周囲は咳をゴホゴホと終始する生徒ばかり。監視役に別室へ連れて行かれる生徒はなく、そのまま継続だったとのこと。
また、リスニングの際に、故意に時計のアラームを鳴らして妨害してくる生徒や、同じ机の人が消しゴムで机を揺らし、まともに集中してテストを受けれる状況でなく、問題が頭に入ってこなかったと。
試験が終了し、出口で待っている親は僕一人だけでした。他の親たちはクルマの中で寒いので待っています。僕は、ミニカーで鍛えられているので、息子が今受けている試練に比べれば、この寒空で1時間待つことなど些末なことです。
高校に入ってからは、僕からは勉強するように一度も言いませんでした。自主性に任せたのです。事前に何が何でも北海道大学ではなく、ここまで努力したのだから、小樽商大までランクを下げてもいいと。途中で、その僕の言った言葉を思い出し、立ち直ることができたとのことでした。緊張で寝れていなかったのもあったと思います。
そこで、2日目はドーピングを使用しました。漢方でイライラのストレスや不眠を解消するものです。迎えに早く着き過ぎたので、アイスを。スプーンがなかったので、箸で(笑)
薬が効いたのか、周りの音が気にならず、集中してテストを受けれたと。終わってみれば、北海道大学志望者の平均点以上は取れたとのことでした。また後期日程の小樽商科大学は二次試験を受けなくても入れるボーダーラインだと。念のため、私立大学は、法政大学を受験します。2次試験の北海道大学は苦手な英語が難しいので、どうなるか分からず、札幌北高校に落ちた時の苦しみをバネに努力したことが報われてくれればと思います。
話が飛びましたが、息子の大学での4年間の出費を考えると、何が何でもとお金を積むことはできる状況ではありませんでした。
この667万円は、僕が算出した落札できるかどうか微妙なラインで、落札率30%だったのです。これで買えなければ、諦めるしかないと。
この費用に1割・67万円程、消費税がかかり、かなり大きい痛手です。
現地での損傷等の下見は、8千円。
陸送費用は、7万8千円。僕がエボXを本州から引っ張ってもらった時で5万円ですから、車種の慎重性や物価高を考慮すると無難な感じです。
そして、CRUISEさんの落札代行手数料が4万円。意外と良心的な値段でした。
そして、落札。やはりgoo中古車の青色は、USSオークション終了後にすぐに売れていました。オークションでの競合相手だったようです。
後で聞いて、驚いたのが、実は僕の提示した金額では負けていたそうで、後で僕がタイヤ等を入れ替える費用を考慮して、CRUISEさんが自己負担までしてくれたのことで、本当にありがたいです。
つまり、今回、僕が入手できたのは、本当の意味でCRUISEさんのおかげですね。
(2/3に続く)