2014年10月05日
マツダ・デミオ 13S(6速オートマチック仕様車)
今度は6AT。
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結局のところ、このデミオが質感的にもいい出来なのは、そもそも開発当時はカネが無かったとか、そうでなくとも10年以上に渡って上級クラスの血筋が途絶えてしまっていたアテンザと違って、デミオの歴代モデルでの積み重ねであるとか、或いはベリーサみたいな(コンパクトクラスとしての)プレミアムモデルを手がけていたお陰で、Bセグメントというクラスを切り回す経験値が高かったからだったりして。
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で、ATになって何が違うかって言われたら基本的にはミッションくらいしか違わない。
ただ、やっぱり個人的には効率面を抜きにすれば、こういう小排気量クラスでトルコンオートマチックは案外相性が悪いんじゃないかってちょっと思う。
特にSKYACTIVのATの場合はロックアップ率を高くすることで効率とともに直結感の高いドライブフィールを実現した・・・となっているけれども、結局通常のシフトスケジュールがこの手の多段ミッションにありがちな2000回転辺りでポンポンシフトアップしていく、ごく普通のATのスケジュールになるわけである。
となると、小排気量のNAエンジンだとそもそもの絶対的なトルクが小さい領域を多用することになる。
つまり、そういう点で如何に6つギアがあったとしても、どうしても加速時には「ギアが合わない」領域に長くエンジン回転が留まってしまうパターンが街中では多くなってしまうので、ドライバビリティという点では、即座に最適なギア比に変速できるCVTや、或いはトルコンのスリップも有効に活用できる従来のATと比べると、どうしてももっさりとした印象がかなり強くなっていると思う。
勿論、このガソリンATのギアレシオを見てみると、実はアクセラの2リッターと同等程度のハイギアリングとなり、これはCVTだとこのクラスでも常識的なギアリングではあるけれども、先にも述べたとおり変速に自在性のあるCVTではともかく、ATだとやや苦しいのではないか。
実際、車重的によりアンダーパワー感の強くなるアクセラの1.5リッターは、これよりもかなりローギアリングにセッティングされていて尚デミオよりも更にもっさりとした印象のドライブフィールとなる。
MTと比較しても、ギアリング的にはMTはATよりも1割ほどローギアリングなギアレシオとなる他、やっぱり人間が全ての変速を掌るわけであるから、軽快感という点では一枚も二枚も上である。
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しかし、であるからして、じゃあMモード(マニュアルモード)を使ってあげるとどうか、というと、流石にマニュアルモードを使って3000回転辺り以上を常用すると元気に走ってくれる。
しかしながら、やっぱり変速する一瞬に当たり前だけど曖昧な感じが残るというか、こういうのがラバーバンドフィールっていうんだろうなぁっていう間延び感があるんだよね。
恐らくコレは直結領域の広いダイレクト感との落差の大きさゆえだと思うんだけど。
この手のマニュアルモードミッションとしては、シフトアップもシフトダウンもスムーズで速い方だとは思うけど。
スポーツモードについては、実にスポーツモードである(爆
でも面白いことに、最近の車なんだから電スロの割にはスロットルのチューニングは一切変わらないようで、ワイヤースロットルを使っていた時代のようなシフトスケジュールのみが変化するタイプである。
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エンジン的には、アクセラの1.5リッターみたいに(あれトルクカーブ見てると、モロに3000回転からトルクが一気に立ち上がる特性なのな)ある領域から突然パワーが出てくるということもなく、全体的にフラットトルク・排気量なりのパワーと思ふ。
でも、これがATだと高いギア比と相まって結構アンダーパワー感につながっているというか・・・・。
MTで感じた濃密さが薄くなるよね。
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足回りはなんだろう、MTよりも更にいいような気がする。
最近はMT=スポーツというイメージが強いけれども、SKYACTIV世代のマツダ車ではもう一度MT車を日々の生活に寄り添う選択肢の一つとして設定しているから、MTだからといって足が硬いとかは無いはずである。
確かにATとなるとガソリンでは概ね30kgほどウェイトが重くなる。
だからこの重さのお陰かもしれないけれども、MTよりもさらにしっとりしなやかな感じが出ていて、これは最近の欧州車にも通じるフィーリングなんだよね。
最近の欧州車というのはむしろストローク感を重視したセッティングがなされているので、言うなれば一発目のアタリはむしろ柔らかめに感じる車が結構多い。
それと同じようなところにアジャストしているんだ、コレ。
ただ、結局そういうドライブトレーンの性格の違いが結構明瞭で、圧倒的なバランス感覚を持っていたMT車と比べると、ちょっとエンジン回りと足回りの印象が切り離された感じがあって、いい車だけど足回りの印象が圧倒的に残る感じ、でもある。
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ところでドラポジを弄っていて思ったのだけれども、この車アテンザよりさらにポジション下がってないかコレ。
ステアリングコラムの位置は、何気にチルトステアの角度とかを見ているとアテンザより高い位置にあるようだから、相対的にシートポジションが低く見えるだけかもしれないが。
でも流石によくよく見てみるとシートの造りを奢ったせいかカップルディスタンスが結構狭かったりして、5ナンバーという空間の制約というか、案外デザインのしわ寄せが来てるんじゃないかって部分はあるみたいね。
まあ、車の広さ感っていうのは、案外シートの出来に左右されるともいうから、良いシートを奢った車は小さくともあまり狭く感じないというパターンにはまってるのかも。
あと何気にセンターアームレストが無いのが乗り込む時に気になるような・・・。
(どうも無意識に乗り込むときにアームレストで身体を支えているようだ)
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内装の質感という意味ではやはりLパッケージ、白皮仕様の強いコントラストと革のテクスチャーを有効に使った質感のインパクトの強いこの車だけど、通常の13Sでは正直あまり他車と較べて秀でている感じは個人的には受けない。
まあこれは黒一色となる大変ありがちなコーディネートと、インパネフィニッシャーが通常のプラスチック加飾になるのが主要因だと思うのだが、このグレードになると流石にアテンザ辺りとは細かい部分で明確に質感の差を感じてしまう。
あと黒は質感の悪さを覆い隠す効果もあるので、ここは質感に訴えかける車を目指すのであれば、もう一寸標準グレードの方でもカラーコーディネートを頑張っていただきたかった。
あと、クラシカルな印象を受ける丸型のエアコン吹き出し口はおしゃれだと思うけど、ちょっと風量切り替えのダイヤルが使いにくいと思った。
(展示車でとても気になったのでくりくり弄ってた)
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Posted at
2014/10/05 17:50:50
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