紙一重

容疑者を擁護するつもりは全くありません。罪の無い人の命を奪った以上極刑を持って償うべきだと思います。

私の地元新聞に事件の背景的な記事が掲載されていました。
事件当初の報道では容疑者が派遣社員で会社を退職していた事から、非正規社員による会社への恨みの犯行とされ、同じ自動車製造業に勤めていた容疑者が起こした事件と合わせて「格差社会」とか「勝ち組負け組」等現代社会が抱える“負”が生み出した犯行であると結論付けていたように思います。

事件直後に容疑者が「車の買い換えによる借金により自己破産していた」という報道を聞いて、なんかイヤな予感がしていました。そして的中しました。
新聞記事によると、容疑者はいわゆる「走り屋」で、容疑者自らが110番通報し逮捕された場所は「走り屋スポット」なんだそうです。

この事実を知って、私は胸が締め付けられる思いをしました。

高校を卒業してから毎週末夜に峠を走り車談義に花を咲かせる。しかし、派遣社員となって会社を転々とする等不安定な収入にもかかわらず車を次々と買い換えていき自己破産。「車にお金をかけられなくなり、ストレスを抱えていたのかもしれない。」（捜査幹部）との事。
「会社に恨みがあった。どうでもよくなった。」と容疑者は警官に話したそうですが、逮捕場所を聞いた当時の仲間は「大人になりきれず、自分だけが取り残されたと感じていたのではないか」と少し違った受け止め方をしていた…

なんとなく、自分の未来の姿を見ているようで、もの凄く辛く怖いです。

幸い私はある時に、貯金がゼロで借金が車の消耗品のみで収入の三分の一を超えている事に気付き、一応正社員ですが不安定な立場である事を鑑みて「コレはマジでヤバくなる」と感じたので、自らを調整することができましたが、もしあの時に借金を“見て見ぬふり”をして走り続けていたら…と考えると、とても怖いです。
借金してガソリンを入れるようになったら、人間、終わりです(笑)

『スピードは麻薬』

陳腐なセリフですが、この言葉の深さを身をもって感じ、そして怖さと今も闘っています。

いつも考えています。もし『スピード』と出会わなければと。
皆さんと同じように、洋服を買い、美味しい物を食べて、デートして、結婚して、子供の成長に一喜一憂したりしているんでしょうね。
どこで歯車が狂っちゃたんでしょうね～

重ねて言いますが、だからと言って容疑者を擁護するつもりは全くありません。罪の無い人の命を奪った以上極刑を持って償うべきだと思います。