
ESCの効果を検証するために、よく「エルクテスト」が利用される。直線路を走行中に目の前にヘラジカ(住まいの地域に合わせてスカンク・イノシシ・猫・狸などに適宜読み替えてほしい)が出現、急ハンドルで対向車線に逃げたら対向車が来て、再び急ハンドルで元の車線に戻るということを想定したテストである。
この「エルクテスト」、なんだか無理やり感あふれる状況設定なのだが、このテスト方法が採られるのには訳がある。自動車には、ある一定の間隔でS字急カーブを切るとスピンしたり横転したりと非常に不安定になるという特性がある。そして、「エルクテスト」は車がもっともスピン、横転しやすい状況を意図的に作り出す、意地悪なテストだということだ。
このように、「エルクテスト」の条件では車がスピン・横転しやすいということは自動車設計者なら当然知っていることで、そのような悪条件でも容易にスピン・横転して「欠陥車」のレッテルを貼られることがないよう(そのような「欠陥車騒動」も実在する)、設計の際には十分配慮している。
ESCは、「エルクテスト」でスピン・横転が起こる確率を大幅に低減することができる。
それは大きく安全に寄与することなのだが、コストダウンに極めて熱心なメーカーが「ESCのおかげでスピン・横転することはないのだから、サスペンションやタイヤが少々プアでも大丈夫」と判断しやしないかというのが、私の心配ごとである。サスペンションやタイヤがプアだから、なんでもない状況で頻繁にESCが作動するという本末転倒なモデルがスタンダードになりはしないか、とても心配になってきた。
運転日報(トゥインゴ)
天候:曇り のち 雨
積算走行距離:5760キロ
走行条件:郊外一般道
乗員:1名

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クルマ談義 | クルマ
Posted at
2010/09/20 21:01:14