私は車のボンネットを開けるのが好きである。ボンネットの中にはおもしろいものが入っているからだ。それは、車体の骨格部分であるサイドメンバーやクロスメンバー、そしてエンジンマウントをかねるサブフレームである。この部分には車体設計者の安全性に関する考え方がよく表れている。
稚拙な図で恐縮なのだが、図の左側はデミオのサイドメンバーの構造を示している。左右1対のサイドメンバーがバンパーレベルで存在しているだけで、前面衝突時の衝撃吸収はすべてこのサイドメンバーに頼っている。図の右側はトゥインゴのものだ。左右1対のサイドメンバーのほかに、下側に1対、ストラット頂部からもう1対のサイドメンバー(サブフレーム)が存在し、それぞれが車体前端で上下方向に伸びる部材によって結合されている。どちらの構造でもフラットなバリアに衝突させる衝突試験では良好な成績をとることができる。安全基準は十分満たしているということだ。
それでは、トゥインゴの車体構造の違いはどういう理由によるものだろうか。想像するに、それはフレーム高さが違う車(トラックとか)との衝突を考慮したものだろう。図の左側のようなフレーム構造だと、フレームが高いトラックとの衝突ではサイドメンバーがすり抜けてしまいスカットル付近に強い衝撃を受ける可能性が高い(下図)。このような形態の衝突では車室変形が大きくなるしエアバッグの展開タイミングもずれてしまう。乗員は大きなダメージを被ることになるだろう。一方、図の右側のような構造ならば衝撃を分散吸収することが可能になる。また、自車よりもフレーム位置の低い車(軽自動車等)に対する加害性を低減することにもなる。いわゆる「コンパチビリティ」対応の車体構造になっているということが見て取れる。
運転日報(スプラッシュ)
天候:くもり
積算走行距離:11040キロ
走行条件:市街地・郊外一般道
乗員1~2名
Posted at 2011/08/30 23:11:37 | |
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