今日は用事で180キロ、5時間ほど308を運転していた。運転しながら、ステアリングの感触をよく観察してみた。308のステアリングは普通のファミリーカーとは思えないダイレクト感と正確さがあって、とても気もちいいし疲れない良くできたものなのだが、ダイレクト感と引き換えに、路面からの入力に正直にステアリングが反応するところがある。
試しにステアリングから手を離してみると、路面の傾斜や轍、凹凸などに影響されてけっこうステアリングがブレる。手で軽く押さえてやるとブレないのだが、タイヤにどういう入力があるのかをそれこそダイレクトにステアリングの動きに反映してくる。手で押さえていると、タイヤの状態を手応えで伝えてくる。これはなんだか懐かしい感触である。パワーステアリングがなかった昔の車はこうだった。路面の不整をステアリングの動きで伝えてきて、パワーステアリングなしで押さえ込むのにけっこう力が要ったものだった。今はパワーステアリングがあるので、ダイレクト感を味わいながら軽く押さえるだけで直進させることができる。当たり前のようだが、このような感触のステアリングをもつ車は今日では少数派である。
近頃の電動パワステの車の多くは、路面の不整をステアリングにまったく伝えてこない。だから、ステアリングはビクともしないのだが、車は勝手に左右にブレる。ステアリングからタイヤに至るまでのリンケージの途中にゴムか何かが挟まってるような感じで、ステアリングの動きと関係なくタイヤの向きがずれてしまい、どんなに上手にステアリング操作しても車がチョロチョロと左右にブレてしまう。そのブレを修正しようと微妙にステアリングを操作しても、その「ゴムか何か」に動きを吸収されてしまい、車はまったく反応しない。このようなステアリングはドライバーの感性になじまず、イライラしてくるしひどく疲れる。
ステアリングに振動が伝わらないことを重視するか、正確さとインフォメーションを重視するか、日欧の設計者の価値観の違いが表れているのだろう。私個人としては、リモコン感覚の電動パワステは長時間、長距離運転では酷く苦痛なので、308のステアリングを強く支持したい。
Posted at 2014/04/21 22:51:04 | |
トラックバック(0) |
308 | クルマ