トレーラーブレーキの調整をした。このトレーラーブレーキは「慣性ブレーキ」と呼ばれるもので、牽引車が強く減速したときに、被牽引車が慣性で牽引車を押す力を制動力に換える構造になっている。慣性ブレーキが作動するのは牽引車のブレーキだけでは制動力が不足する、強い減速が必要なシーンだけだ。いわば非常用ブレーキなのである。
このようにトレーラーブレーキは非常用なので、調整をするにはフルブレーキをかけて適正に作動しているかテストする必要がある。そこらの路上でフルブレーキを掛けると傍迷惑なので、交通量の少ない場所に行ってテストする。フルブレーキを掛けると、トレーラーブレーキが働いていない場合すぐに分かる。ものすごく制動距離が延びるのだ。摩擦係数の低い砂の上でブレーキを踏んだときと似て、ABSが作動しながらなかなか止まらない。一方、トレーラーブレーキが適正に働いていると、ブレーキを踏んだ瞬間は予想よりも減速Gが立ち上がらず「?」と思うが、一瞬遅れてトレーラーブレーキが作動してからは急激に減速する。構造上、トレーラーが減速すると牽引車の後輪に荷重がかかるので、ブレーキペダルを強く踏み込んでも後輪のABSが作動せず、大きな制動力を発揮して、予想よりも手前で止まる感じになる。
慣性ブレーキはトレーラーの慣性力を制動力に換える構造なので、トレーラーの慣性力が大きくなるような、積載量が増えるといった事態では制動力も高まる。もし、トレーラーブレーキが適正に作動していないと、積載量が増えると制動距離がどんどん増えることになる。それは、緊急事態での急ブレーキといった場面で致命的になりかねない。それで、トレーラーブレーキはマメに調整している。
ところで、ブレーキテストの帰り、近所の県道の端にニホンカモシカが立っていた。白内障の手術をしてから、ヘッドライトがすごく明るく感じられ、ハイビームで「こんなに明るかったっけ?」なんて思っていたら、「眩しいんじゃ」というような表情のカモシカと目が合った。カモシカとの遭遇は珍しい。何かいいことあるといいなぁ。
Posted at 2023/02/28 21:55:31 | |
トラックバック(0) |
トレーラー | クルマ