パソコンの中の音楽ファイルをなんとなく見ていたら、一番古いアルバムの発売年が1986年になっていた。そして、その他のほとんどのアルバムは1990年になっている。音楽ファイルはすべてCDからコピーしたもので、元のCDは日本にあるのだが、なぜこの年に集中しているのか。一瞬にして私の脳内は30年前の風景にタイムスリップしてしまった。
まず、1986年以前の風景には、コンポーネントステレオが家に鎮座している。大きなオーディオラックの一番上にはレコードプレーヤーがあって、その下にラジオチューナー、カセットデッキ、アンプなどが並んでいる。音楽を手に入れるには、LPレコードを買うか借りる、もしくはFMラジオで放送されているのをテープに録音するしかなかった。自動車には写真のようなカセットテープデッキが付いていて、レコードから、あるいはFM放送から録音したカセットテープを再生してBGMとしていた。アナログでコピーをしているから音質は劣化する。それでもなるべく良い音で再生したいと、高音質の音楽用テープなどを使用していたものだった。
ところが、1986年頃からCDが大量に販売されるようになった。アナログレコードからCDへの移行は急速に進み、かつては大掛かりなレコードプレーヤーとデッキで行っていたコピーの作業がCDラジカセで足りるようになった。CDがあるのなら車でCDを再生すればいいと思うかもしれないが、車載CDプレーヤーの普及は少し遅れていて、まだまだカセットデッキが主流だったのだ。ポータブル音楽プレーヤーもカセットテープの「ウォークマン」が主流で、本体が大きくなる「CDウォークマン」はあまり人気がなかった。アナログレコードからCDに移行しても、カセットテープはしばらくの間ポータブルな音源としてその地位を保っていたのである。1990年頃にはほとんどのアナログレコードのCD版が一斉に発売された。うちにあるアルバムの発売年が1990年になっているのはそういうわけなのだ。
その後、1990年代には自動車にCDプレーヤーが付くようになり、CDオートチェンジャーを装備する車も増えた。以前は自動車にカセットテープをケースに入れて持ち込んでいたが、それがCDを収納するケースに変わった。もっとも、私個人については、自動車に音楽を持ち込んで聞くという習慣が無くなった。1993年にアメリカに行ったときはCDやカセットテープの類は持って行かなかったし、日本に戻って結婚したあとは、音楽の好みが夫婦間で違うので、車の中ではラジオしか聞かなくなった。うちではカーナビを取り付ける習慣がないので、自動車を買うときは一番安いCD付きラジオを付けてもらうことが多い。かといってCDは車に持ち込まないので、ラジオだけでも十分である。
とはいえ、車の中で好みのBGMも流さないというのはちょっと生活に潤いが足りないような気もする。今はスマホのメモリーに大量の音楽を蓄えることができるし、それをFMラジオに飛ばすトランスミッターもある。今後帰国したら音楽が再生できる環境を整えてみようと思う。
そういえば、息子が小さいとき、奈良・仙台を往復する帰省の車内で童謡のCDを何度も何度も繰り返し聞いてたような・・・(遠い目)あれももう20年以上前の話なのか・・・老眼になるはずだ。
Posted at 2017/10/26 02:52:39 | |
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