
ベトナム人の考え方で、日本人にとって違和感がある代表的なものとして、
1、約束した仕事をしない、期日を守らない、約束を守らなくても悪びれる風でもない。
2、労働者に昇進のオファーを出すといきなり退職してしまう。
3、「皆さんの頑張りで今期利益を出せば皆さんに還元しますよ」と言っても納得しない。
というものがある。どうしてベトナム人がこうなるのか、最近なんとなくわかってきた。要は「未来は不可知であり、約束が果たされるかどうかは状況によって変わる」から、「未来に確実に約束を果たすように個人に要求されるのは割に合わない」ということのようだ。
1、の例でいえば、「未来は不可知なのだから、当初約束した納期が守られなくてもそれはしょうがないよ。どうしても納期を守れというような鎖に繋がれるなんてまっぴらごめん」ということである。
2、の例では、「『まず主任で頑張って管理者として成果を出せば次は課長にする、将来の幹部候補として期待している』なんていっても、先はどうなるかわからない。今十分な給与を出さないような会社に未来もずっと拘束されるなんてバカバカしい」ということである。
3、の例では、「『がんばれ』というなら今対価を払うべきだろ。来年のボーナスで還元されるかもなんて言ったら奥さんに『あんたなんてお人よしなの』ってしばかれる」ということである。
一貫しているのは「今手許にないものは信用できない」ということであり、現実主義の極みだということだ。
それに比べると、日本人は純粋に「未来を信じる」傾向にあると思う。将来の安定的な雇用と昇進・昇給を信じて劣悪な労働環境に甘んじる、経済政策がうまくいって企業収益が改善すれば暮らしや雇用もよくなると言われて労働規制の緩和を受け入れる、3年後には正社員にエントリーできる(採用される、ではない)と言われてそれを信じて差別的待遇の派遣社員になる、いずれもベトナム人ならはっきり「No」と言うだろう。未来を語るなら何か担保を供しなければならない。担保も供しないような約束は空約束、というのは実にもっともな話しで、ベトナム人の考え方のほうがどちらかというと標準的なもののように思われる。
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ベトナム | クルマ
Posted at
2015/09/12 16:23:03