
ドライブレコーダーにGPSが搭載されているモデルがある。GPSのデータを利用して車の速度や位置が記録されるようになっていて、事故の状況がより詳細に解析できるように思われるのだが、実は、GPSの速度データはほとんど役に立たない。それどころか、自分に不利な証拠になる場合もあるので注意が必要である。
その一番の理由は、GPSによる測位が経度・緯度で0.4~0.7秒(距離としては約12~21メートル)単位で行われていることにある。自動車が時速50キロで走っていても、GPSデータ上で移動しているとみなされる20メートルを走るのに1.4秒かかる。ドライブレコーダーの速度表示は、直近の移動距離を経過時間で除したものなので、速度が低下すればするほど表示が正確さを欠くことになるし、速度変化への追従性も悪い。その欠点が顕著に表れるのが、低速(50キロ程度)からだんだんと減速して停止するような場面である。
写真を見てほしい。この場面では車は停止している。目の前に壁があるから停止せざるを得ない。でも、GPSデータでは時速4キロで走っていることになっている。写真の一番下に速度変化のグラフがある。速度が1秒毎に更新されて階段状になっているのがわかる。GPSによる速度表示は常に1秒以上遅れた数字であり、しかも、GPS上座標の変化が無い低速・停止状態では出鱈目な数字になるのである。
もし、このような速度データを事故の証拠として提出したらどうなるだろうか。「私は交差点の手前で十分減速し、相手車両を認めたときにすぐに停止した。相手車両が止まっている自車両に衝突したものだ。ここにドライブレコーダの記録がある」と自信満々に提出したら、そこには交差点直近まで50キロで進行し、遅れ気味に急ブレーキをかけ、しかも完全に停止しないまま衝突した記録が残っているのだ。
事故解析の際に役に立つ速度記録をドライブレコーダーに残すには、ホイールセンサからの車速パルスによることが必須である。
運転日報(トゥインゴ)
天候:曇り 一時 雨
積算走行距離:8504キロ
走行条件:郊外一般道・市街地
乗員:1~2名

ブログ一覧 |
ドライブレコーダー | クルマ
Posted at
2010/11/02 00:30:14