
前の記事でエアバッグとシートベルトプリテンショナーの信頼性が低下する15年を目途に自動車を入れ替える、という話を書いた。それだけ、エアバッグとシートベルトプリテンショナーの存在意義が大きいという認識なのだが、その訳を書こうと思う。
写真はサンバーのフルラップ55キロ衝突試験の画像である。キャブオーバーなのでドライバーの前には衝撃吸収用のスペースがほとんど無い。変形量は20センチ以下に見える。そんな車体構造でもエアバッグとシートベルトプリテンショナーがあれば頭部、胸部の加速度(命にかかわる)的には死亡することはない程度には抑えられる。以前は頭部、胸部がハンドルに衝突することで致命的な衝撃を受けないよう、衝撃吸収ステアリングコラムやステアリングホイール、さらにはステアリングそのものが体から離れるアウディのプロコンテンなどさまざまな工夫がなされてきたが、今やプリテンショナーとエアバッグを備えており、衝突時に車室空間が維持されていれば、衝撃吸収用のスペースが20センチしかなくても安全な車を作ることができるのだから、それらの装備がいかに有効かがうかがえる。シートベルトとエアバッグでそこまでやれるのだから、オフセット衝突試験でも車室空間の維持さえできれば問題ない(優秀ではないかもしれないが)結果を出せるということである。最近のJNCAPの結果を見ていると、どの車も良好な成績を出せるようになっており、現行の試験方法は易しすぎで、時代遅れになっているように思われる。
今後はJNCAPにスモールオーバーラップの衝突試験やポール衝突、重量車を想定した側面衝突試験などを取り入れるべきだと考えるが、そこでも対策は同じで車室空間の維持とエアバッグの装備である。安全装備の主役であるエアバッグの寿命に対する関心はますます高まるのではないだろうか。ひょっとすると「完全自動運転だから衝突することはない」という前提でエアバッグが全面的に廃止される時代がくるのかもしれないが・・・。
下の動画の3:35から、エアバッグの無い時代にステアリングとの激突を避けようと工夫をこらしている様子が出ている(VWのトランスポータ)。
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Posted at
2017/08/18 01:38:05