素浪人☆のブログ一覧

　また貸切バスによる重大事故が発生したようだ。昨年の大阪での橋脚衝突事故が記憶に新しいところだが、そのほかにも貸切バスの事故は多発している。
　トラックに続いて貸切バス事業にも規制緩和、自由化が行われたのは１０年ほど前だったと思う。それ以降、新規参入業者が多数出現し、過当競争により運賃が大幅に下がった。インターネットを通じて募集される貸切ツアーバスの運賃は信じられないような安さである。当然、運転手の労働条件も大幅に下がった。労働条件が下がれば、運転手の質も当然下がる。
　記事やテレビニュースによると、事故現場の道では地元の大型車はタイヤチェーンを着けて走行していたようだ。しかし、事故を起こしたバスはスタッドレスタイヤだけで走行していた。行ける所まで行って、にっちもさっちもいかなくなってからチェーンを着けるというのはアマチュアドライバーが乗用車でやることである。私がスキーバスを運転していたときは、山の麓の平らなところでスタッドレスにチェーンを着けていた。たくさんの命を預かっているバスドライバーは可能な限りの安全策をとろうとするのは当然である。チェーンは磨耗するから、磨耗の具合をチェックしてチェーンを交換するのもドライバーの大事な仕事である。
　記事にあるように、チェーンなしで下り坂を走行していて、「ブレーキを踏んだらすべって落ちた」なんていうのはプロの仕事とはとてもいえない。でも、今のバスドライバーの賃金を考えると、ちゃんとした仕事を期待するのはムリな気がする。驚きの低運賃の裏には大きなリスクが潜んでいると見たほうがよさそうだ。

　今日の社用車は久しぶりのマークIIだ。インプレッションはまたの機会に譲るとして、Ｔ車で体験する不思議な現象について考えてみる。Ｔ車に乗ると目が非常に疲れる。そして、眠気が襲ってくるのだ。
　私は運転中、道路とタイヤとのコンタクトや、車体にかかる遠心力や荷重移動を常に意識している。それらの情報を伝えてくるのは、ステアリングホイール（ハンドル）である。人間の指先は極めて敏感である。車に外力が加わったとき、車体が動く前に指先にタイヤからの情報が入ってくる。だから、ハンドルからの情報を元にアクションを起こせば、すばやくわずかな修正を加えるだけで済むのだ。
　Ｔ車は全般にハンドルからのインフォメーションに乏しい。まるでゲームセンターのゲーム機のように、ハンドルと車輪とが機械的に繋がっているという感触がないのだ。こうなると、鋭敏な触覚は封じられてしまう。残るのは視覚だけである。目を凝らして、車体の運動や路面の状態を把握しなければならない。ミクロン単位の動きも感じられる指先に比べれば、目などまったくアテにならない。錯覚も起こしやすいし、すぐに疲れる。ステアリングからのインフォメーションが豊富で、しかも操縦性にも優れる自動車を運転するのは、気の合う友達とおしゃべりするように、とても楽しく時の経つのを忘れるものだ。他方、ステアリングがゲーム機のような車を運転するのは、退屈な映画を見せられるような「ダルい」行為である。テレビなら眠くなったらスイッチを切ってしまえばいいが、自動車の運転ではそういうわけにもいかない。
　ステアリングフィール次第で自動車の運転が「楽しみ」になるか「苦役」になるかが分かれるのだから、この点にはこだわって車選びをしたほうがいいと思う。

運転日報（サンバー）

天候：曇り　一時　雨
積算走行距離：６８５０キロ
走行条件：郊外一般道
積載：１００㎏未満