
ベトナム人と仕事していると、彼らがマニュアル通りにしない、指示や規則に従わないことに驚かされることが多い。自動車等の運転もそうで、信号や交通規制なんて完全無視、逆走、転回、右側追い越し等気の向くままにやっている。だから、大抵のことは気にしないようにしているのだが、ひとつだけとても気になることがある。
それは、長くて急な下り坂をニュートラルで下ることである。ベトナム北部には山岳地帯があって、10%前後の下りが10数キロ続くところがある。そんな道端で休憩していると、下って来るバイクが皆チェーンの音しかしない。ニュートラルに入れてエンジンを切っているのだ。カブタイプのバイクは走行中にニュートラルに入れるのは難しいので、おそらく坂の頂上で一度止まってニュートラルに入れてエンジンを切っているのだろう。
恐ろしいことに、これらのバイクはベトナム名物の超絶過積載状態である。カブタイプのブレーキは容量が十分でなく、過積載では呆気なくベイパーロックする。私も以前ベイパーロックを経験しているが、その時も大人二名と子供一名の三人乗車で、二速でエンジンブレーキを使っていたにもかかわらずブレーキ故障を起こしている。エンジンブレーキ無しでは推して知るべしで、ブレーキはすぐに過熱して効かなくなってしまうだろう。
それでも彼らはブレーキの焼けた臭いを振り撒きながら猛スピードで坂を下っていく。キャブレター式のバイクではキーをオフにしてもエンジンブレーキ中に燃料を消費するから、それを意識しているのかもしれない。もし急に水牛が飛び出したらどうするのだろう。ギアを一速にたたき込むのか、それともパラシュートでも出すのだろうか。あるいは普段は後輪ブレーキだけ使って非常時は温存していた前輪ブレーキを使うとか・・・(私も残っていた後輪ブレーキを使って切り抜けた)。傍から見ていて気が気でないのである。いつか彼らが「定石を踏んで」運転する日が来るのだろうか。
Posted at 2016/12/17 02:32:35 | |
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