ドライブによるストレス解消とその限界の続き
ドライブによってストレス解消できる理由が、運転という行為に集中することで脳内のストレスのスパイラルを断ち切り、脳内のコルチゾールを減少させることだとすると、同乗者にはストレス解消の効果がないことになる。もちろん、きれいな景色を見たり、おいしいものを食べたり、車内でおしゃべりしたりといった「楽しみ」があることは否定できないが、運転者が体験するようなストレス解消の効果はなく、あるのは長時間座っていることの退屈と苦痛が中心になる。ドライブは、同乗者にとってはストレス解消の効果がほとんどないと言ってもいいだろう。
だから、友達と自動車に乗り合わせて旅行に行こうというアイデアはほとんど実行されることはないが、バイクでツーリングしようというアイデアは簡単にまとまる。バイクに乗っている人は、理屈抜きにバイクに乗ることのストレス解消効果を体感し理解している人が多い。バイクツーリングは各人が運転するので全員がストレス解消の効果を味わえる。自動車に同乗していったほうが「ラク」で「経済的」には違いないのだが、それでは代えられない精神的な効用があるのだ。
近い将来、完全自動運転の自動車が実用化されたら、自動車利用者はすべて同乗者の立場になる。完全自動運転車ではドライブによってストレス解消効果を味わうことができない。そうだとすると、自動車でどこかに出かけることはほとんどなくなるのではないだろうか。ただ座っているだけでは退屈でしょうがないので、飛行機のようにスクリーンに映画が上映されたりするのかもしれないが、それでは自動車に乗らなくてはいけない理由はないわけで、自室でビデオを見たほうがいい。旅行先で景色を見たり、同行者とおしゃべりしたり、おいしいものを食べたりといった「楽しみ」は、自動車で行かなくても同様に味わえる。完全自動運転によって、自動車が「運転というレクリエーションを楽しむ機械」から「エレベーターのような単なる輸送機械」に変化してしまうだろう。自動車を楽しむのは今のうち、ということかもしれない。
Posted at 2018/08/26 19:08:51 | |
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