
うちの自転車はアシスト用モーターが前輪に付いており、人力の後輪と合わせて「全輪駆動(AWD)」である。AWDというと悪路や勾配に強いイメージがあると思うが、自転車の場合はまったくそうではない。
なぜかというと、自転車はもともと前輪の荷重が少なく、駆動力が必要な上り坂では重心が高いことで前輪の荷重はほとんどゼロになるからである。路面が荒れていたり雨で濡れていたりすれば、緩やかな勾配でも前輪は空転する。空転すると推進力が失われるだけでなく、バランスを保つことさえ難しくなる。こうして、モーター+人力が勾配を上るのに十分であっても、前輪が空転して上ることができない。仕方なく降りて押すと、25㎏もある自転車の重量がずっしりと圧し掛かり、電動アシストもない。「作った奴に会って、小一時間説教してやりたい」と思う。
この問題は、駆動用モーターに回生機能を設けようとするのに、「前輪にモーターを移そう」となった時点で当然予想できたはずだ。平坦な路面で使うには問題ないので、そのまま商品化されたのだろう。しかし、大したことない坂でもスリップしてアシスト機能が使えません、ということは、坂道でこそアシストがありがたいユーザーにとっては重要な情報のはず。購入前に知っていれば、と残念に思う。
理想を言えば、後輪にインホイールモーターを付けて、回生機能を付ける、ということになるのだろうけど、そうすると後輪ハブまわりのブレーキやら変速機やらの設計も変えねばならず、コスト高になるのだろう。あるいは、BB付近のモーターという配置は変えないまま、ペダルを空転するラッチをペダルとフロントスプロケットの間に設ける、ということだと思う。でも、そうすると低速ギアに入ってるときに回生ブレーキが働くと後輪がスリップしかねず、下り坂で扱いにくいだろう。結局、前輪に移すのが正解、ということに落ち着いたのだろうけど、技術的に未成熟だという印象を受ける。
コスト重視だと、なかなか良いものができないようで…。
Posted at 2025/11/06 17:42:57 | |
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雑感 | クルマ