N-oneに試乗してきた。他にもノート、アテンザ、UP!、ワゴンR、フォレスターなど試乗してみたい車種はたくさんあるのだが、今シーズン初めて積雪した日のディーラーはタイヤ交換、板金修理のお客さんが詰め掛けててんてこ舞いなので、スプラッシュの1年点検の帰りに近所に新しくできたホンダディーラーに寄るのが精一杯だった。
さて、日ごろ軽自動車に対して否定的な発言が多い私がN-oneに試乗したわけは、ホンダにしては珍しく(苦笑)サイド・カーテンエアバッグとESCの組み合わせが広範なグレードで可能な軽ということで気になったからである。トレッドが狭く重心が高い軽自動車にこそESCは必要で、極端に薄い側面からの衝突の不安解消にはサイド・カーテンエアバッグは欠かせないと感じている。その組み合わせが選べる軽は現在のところかなり限定されているのである。
実際に路上に出てみる。いきなり右の肘をドアにぶつける。どうみても私の肩幅には車内の幅が不足で、以後右腕はドアのアームレストに置いて、左腕中心にハンドルを操作する。ステアリングフィールは今の国産車の典型的なもので、やたら軽いが路面からのインフォメーションがなく、スローなギア比のためグルグルと回しながら走るのは楽しみや快感とは無縁のものである。乗り心地は、サスペンションが有効に衝撃を吸収している実感に乏しく、ゴツゴツ、ポンポンと跳ねたり揺さぶられたりする。大きな入力があったときに剛性感の低いボディが「ドシャッ」と揺れるのも安っぽい印象だ。N-oneにはドア開口部のサイドシルの盛り上がりが無く、フロアトンネルも存在しない。これは乗降性には寄与するのだが、ボディ剛性の面ではマイナスなのだろう。
軽自動車の弱点である動力性能は、NAの試乗車でも十分と感じられた。ホンダらしく高出力のエンジンは快音とともに高回転まで回るし、CVTの効率もずいぶん改良されていて、2名乗車だと軽快な加速が可能だ。小排気量・軽量車なので高速では苦しそうだが、今回は一般道のみの試乗なのでわからない。N-oneではターボとNAの価格差が小さいので、ターボを選んでおけば間違いないのかもしれない。
最後にシートのすわり心地については、前・後席ともまったく評価できない。座面がやわらか過ぎるし、バックレストのカーブも背中にフィットしない。身体にかかる圧力の分布が適正でないのでちょっと座っているとたちまちあちこち痛くなる。
N-oneに試乗していて、この車はそもそも自分のようなユーザーを対象にした商品ではないと実感した。運転する楽しみや操作する快感、マツダのいう「走るよろこび」のようなものは皆無で、そういうものを進化、改善しようとする設計者の意思もまったく感じることができない。軽自動車は「ガラパゴス化」が極端に進んでいて、他の自動車と同じ評価軸では語れないのだ。「どうしても軽自動車じゃなきゃダメ」なユーザー以外は、たとえば、N-oneと価格帯が重なるスプラッシュにしたほうがはるかに幸せになれることだろう。
運転日報(スプラッシュ)
積算走行距離:27722キロ
天候:雪
走行条件:市街地・郊外一般道
乗員1~2名

Posted at 2012/12/09 17:45:32 | |
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