
写真はスズキのローターリーエンジン搭載バイク。
By Rikita - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=78436392
会社の日本語教師のベトナム人が人使いの荒さにぶちぎれて即日退職したので、日本語教師の役目が回って来た。ハノイの工学系の大学出の優秀なベトナム人の若者に日本語を教えている。とはいえ、私は日本語の先生ではないので教務案があるわけでもない。テキストをぱらぱらと見たが、未だに携帯電話が普及していない頃が設定になっていてつまらない。そこで、自分が若かった頃を思い出して、色々なトピックについて蘊蓄を傾けるスタイルにしてみた。これが好評で、震災の話、航空機事故の話、雪道の運転の話、世界史の話、日本の古文(万葉集、和歌など)の話など、熱心に聞いている。
中でも、機械の話、自動車や航空機、バイクの話は食いつきがよい。近年の日本の若者にはほとんど見たことがないようなキラキラした瞳で聞いている。ロータリーエンジン、ディーゼルエンジン、電子制御燃料噴射、ジェットエンジン、ABS、ESCの構造と作動原理の話などをすると、とくに盛り上がる。ベトナムで大きなシェアを獲得しているホンダがマスキー法の時代にCVCCエンジンを開発した話は若者のハートをつかんだようだ。やはり、若者はメカが好きである。たいへん親しみを覚える。
調子にのって、政治、経済、冷戦の構造、民主制と法の支配、心理学、哲学などに範囲を広げて縦横に語ってみた。すると、やはり食いついてくる。「哲学の成績は悪かったです」などと言いながら、けっこう熱心に聞いている。ベトナムの若者はまるで日本の70年代の若者のように、メカが好きで、政治的に熱い。国が経済成長しているということが背景にあるのかもしれない。
クラスの終わりに、「こんな話題でどうですか」と聞いてみると、「先生の話はとってもいいですけど、知らない言葉が多いです。説明の時間を作ってください」と言われてしまった。日本の若者と同じ語彙で話しているから無理もない。でも、そんな話を一応理解するまで日本語を学習してしまったベトナム人はものすごく優秀だと思う。自分もうかうかしていられない、一生勉強だと思った。
Posted at 2019/08/14 00:01:45 | |
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