
ホンダ N-one RSの試乗に行ってきた。試乗車は残念ながらCVTのほうだった。実際に我が家に関係あるのはもちろん6MTのほうだ。
N-oneには、何年か前の発表時に試乗したことがある。今回の試乗車でまず気づくのは、室内高がやや低くなっていることである。屋根が丸く膨らんでいてヘッドクリアランスは余裕があるが、フロントガラスの上の縁が低い位置にあるように感じ、やや閉所感がある。視界そのものはガラスのデザインのおかげか十分確保されている。
エンジンを掛け、走り出す。まず驚くのは静かで振動が少ないことだ。静粛性は軽自動車とは思えない。エアコンのブロアモーターの音がやたら五月蠅く感じるほどだ。制振・防音材のおかげか、スカットル回りの剛性強化のせいかわからないが、上質感がある。
上質感は、ステアリングのフィールやサスペンションの動作についても同様だ。乗り心地はサイズ相応だと感じるが、いわゆるハーシュネスやバイブレーションの遮断は軽自動車であることを除いて考えても秀逸だ。コーナリングで大きなGをかけても、トレッドが狭い車にありがちなカクンと急激にロールする感じがなく、タイヤからの入力でブッシュがブヨブヨと撓むこともない。ソリッドでしなやかな感触は、まるで欧州車の小型車のようだ。ステアリングフィールも自然で、正確さは本物の欧州車には及ばないものの、反力や切り返したときのアシストの入り方、抜け方もよく作りこまれている。余談だが、N-oneに乗っていると左手でウインカーを操作しそうになる。これは、私の体のセンサーが「これは欧州車である」と見做すために起こる現象だ。それほど、N-oneの運転感覚は上質であるといえる。唯一残念なのは、ブレーキが初期制動の立ち上がりを重視したタイプでいわゆる「カックンブレーキ」であることだ。
私が嫌いなCVTも、変速比をあまり大きく変動させずエンジントルクで引っ張るような設定がされているらしく、とてもスムーズで静かに走行することができる。パドルシフトしたときの反応が早く、しかも変速比の変化を小刻みにしているおかげでショックが少ないので、操作性は良好だ。
今回は販売店の試乗車ということで、店のまわりをぐるりと一周しただけだったが、これは高速道路を含めた長距離ドライブに連れ出して、実力を確かめてみたい。いまどきの軽は驚くほど進化しており、もはや普通車は要らないと思えるほど上質な走りを提供している。前席に男二人が座ると肩幅で一杯一杯になり暑苦しいのが難点だが…。
Posted at 2025/04/13 13:36:54 | |
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