
以前、軽乗用車の衝突安全性について記事を上げていて、その中でクラッシャブルゾーンの大きさと減速特性について書いていた。軽乗用車はコンパクトカーに比べクラッシャブルゾーンが小さく、減速時間が短くなるので衝撃が大きいという趣旨である。では、もっとクラッシャブルゾーンが小さい軽トラックではどうか。
そんな素朴な疑問をそのまま実験したレポートを見つけた。画像引用元=
https://www.ntsel.go.jp/Portals/0/resources/forum/2019files/P06.pdf この実験では、軽トラック(キャリイ)と軽乗用車(タント)は時速50キロで、コンパクトカー(フィット)は時速60キロでフルラップ衝突させ、乗員傷害値を比較している。コンパクトカーも同速度なら直接比較できたのだが、衝突エネルギー換算では約44%増しだと考えると参考にはなる。
車体変形量と減速度の関係を示したグラフ(タイトル写真)を見てみると、クラッシャブルゾーンが小さい軽貨物車が衝突時に急減速することがよくわかる。車体変形量は軽トラックが0.24m、軽乗用車が0.43mである。コンパクトカーは衝突速度が異なるので、計算すると0.47m程度だろうか。

そして、乗員傷害値を見るとこのようになっている。軽トラック、軽乗用車とも一応基準値はギリギリクリアできるように見える。そして、頭部HIC以外はコンパクトカーも大差ないように見えるが、コンパクトカーは衝突速度が高いので、直接の比較はできない。

それぞれの車体構造はこのようになっている。写真を見るだけで、軽トラックは車体変形量が大きくなるオフセット衝突に対応できておらず、コンパクトカーは衝突相手車両のフレームが自車のフレームと高さが違ってすれ違うような状況でも双方の被害を軽減しうる構造(コンパチビリティ)を採用していることがわかる。
車体変形量、減速度、乗員傷害値、車体構造から推測するに、軽トラックはフルラップ試験でギリギリ基準をクリアできるものの、オフセット衝突やより速度が高い衝突、フレーム高さが異なる車両との衝突では乗員に深刻な傷害が生じる可能性が高く、軽乗用車ではフルラップ、オフセット試験で基準をギリギリクリアできるが、より高い速度の衝突やフレーム高さが異なる車両との衝突では十分な安全性が確保されない可能性が高い。さらに、軽トラックと軽乗用車の胸部たわみの大きさが、骨格の弱い高齢者が搭乗している場合の死亡・重傷率を大きく増加させるおそれがある。

実際のデータからも軽トラックと軽乗用車の死亡・重傷率の高さが読み取れる。
Posted at 2026/05/14 17:36:44 | |
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