
Viet jo ニュースより引用
「ベトナムビジネスフォーラム(VBF)2016」が5日にハノイ市で開かれ、ベトナムの労働者の年間残業時間の上限が200~300時間と規定されていることについて、日本や韓国の商工団体から緩和の要望が出された。
ベトナム日本商工会(JBAV)は、残業時間の上限が月に30時間、年に200時間と定められているのは不合理だとし、特にITや製品開発、技術などの分野では場合により集中して残業する必要があると指摘した。韓国商工会議所(Korcham)も、上限規定があるために発注者の要望に応じることができず、経営に影響しているという。
この問題を巡っては、今年8月に開かれた労働傷病兵社会省とVBFの対話集会で、トヨタベトナムが政府に残業時間管理の柔軟化を提案している。具体的には月の上限を撤廃し、年間の上限を域内の一部の国並みに引き上げることを要望。例として中国の年600時間、日本の同720時間を挙げた。
引用おわり
日本と韓国、どちらも異常な長時間労働やパワハラ、セクハラの横行など過酷な労働環境で世界的に有名な国である。その二つの国がベトナムの残業規制にケチをつけている。残業はないのが普通で、災害などによる緊急の需要に対応するために例外的に認められる、というのが「所定労働時間」に上限を設ける趣旨であり世界の常識なのだが、韓国はいまだに「戦争中」の分断国家だという扱いで、日本は70年経っても「戦後復興中」の新興国扱いなので、年に720時間、月60時間におよぶ長時間残業の常態化が許容されている特殊な国である。もっとも、近頃は日本国内でもこのような異常な長時間労働は批判の的になっている。
ところが、日本企業は長時間労働を改めるどころか、「日本がダメならベトナムで」とブラック労働の海外移転に余念がない。日本と韓国、どちらも過酷な労働条件が労働力の再生産(子作り・子育て)を困難にして、少子高齢化にまっしぐらに向かっている。ベトナムもその道連れにしようということなのだろうか。
百歩譲って、日本企業が言う年間720時間の残業が「死にはしない」程度の「社会人なら当然」の範囲だとしても、ベトナムを同列に扱うことはできない。なぜなら、日本は所定労働時間が週40時間なのに対し、ベトナムは48時間だからだ。いわば、ベトナムは月35時間、年間417時間の残業が「もれなく」付いてくるのである。だから、年間200時間残業すると、中国の残業規制よりも多いことなる。ここで、日本なみに年間720時間の残業をすると、年間残業時間は1137時間、月あたり95時間近くなり、過労死ライン(月80時間)を軽々と突破することになる。ベトナムの辞書にも「カロウシ」の言葉が追加されるのは間違いないだろう。
もちろん、ベトナムにもいろんな人がいるから、月95時間残業でも平気で残業手当がもらえるならうれしい、丈夫で便利な労働者もいることとは思う。しかし、残業規制は食品規制などと同じように、「弱い人でも安全」な最低基準であるべきだと思う。そうだとすると、月間30時間、年間200時間のベトナムの残業規制は実質月間65時間、年間617時間の規制であり、やや長すぎるきらいはあるものの、決して「不合理」なものとは言えないと思う。
さて、ベトナムはどのような判断をするのだろうか。
Posted at 2016/12/06 23:27:47 | |
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