
新型インプレッサに試乗してきた。試乗車は1.6LCVTのハッチバックである。
乗り込んでみて、室内空間が大きくなったことに気づく。サイドシルが低くなり、ダッシュボードの膝のあたりのスペースが大きくなっているから乗り降りが大変やりやすい。また、ヘッドクリアランスが大きく、フロントガラスが前方に移動しているため圧迫感が少ない。ドア内張りの形状がうまく考えられているため肘のあたりの余裕も大きい。視界についても、Aピラーの位置と形状が工夫されておりとても良好である。サイドミラーの位置と形状も適切で混みあう都市部の道路を走るのに楽そうである。視界がよく回転半径が小さいことからボディサイズを実際よりも小さく感じ運転しやすい。
運転してみると、優れた乗り心地とシャシー剛性感の絶妙なバランスに好印象を受ける。小さな凹凸にもちゃんとサスペンションがストロークして追従しており、ブッシュで逃がしている感触が少ない。また、前後重量バランスとロール剛性、ロールセンター高がうまく煮詰められており、旋回する際の車体挙動の安定感、自然さという点では他社とは格段の違いがある。AWDも完成の域に達していると感じられ、加速時は旋回中であれ直進中であれ非常に安定しておりかつスムーズな走行が可能だ。
乗り味の良さにはステアリングフィールも貢献している。操舵に対する応答はスバルらしく正確かつ穏やかで安全かつ気持ちいい。もう少し保舵力が大きめのほうが自然だと思うが、軽いからといって無用にチョロチョロすることもないから現状でもいいだろう。
エンジン・トランスミッションの評価を忘れていたので追記:1.6Lでも充実した低速トルクとCVT制御のおかげでエンジン回転数を低く保ったまま十分な加速性能を示す。70キロ時のエンジン回転数が2000回転を超えていてやや五月蝿く感じたが、変速比としてはもっと高速側にできるものと思われ、高速走行でも余裕があるだろう。何より、縦置きのエンジンとAWDのパワートレインが精密にかみあっていてノイズやバイブレーションの類が小さいことが上質な走りをもたらしている。
ここまでの評価で久しぶりにお勧め車種の太鼓判を押そうと思ったのだが、ひとつ気になる点がある。それは、ステアリングの中立付近でブヨブヨと遊ぶ感触があり、路面の状況によってはそれが連続してブヨブヨと揺れ続けて不快だったことだ。ステアリングギアボックス取り付け部の剛性不足のような症状で、およそスバルらしくないものだ。試乗車は15インチのスタッドレスを履いており、スタッドレスのやわらかいトレッドゴムが影響したものかもしれない。タイヤが標準状態でないと正確な評価ができないので、太鼓判はしばしお預けということにしたい。
なお、ブレーキについては踏力と制動力の関係がリニアではなく軽く踏んだときに食らいつくような効きかたをするいわゆるカックンブレーキである。また、シートのすわり心地はあまり良くないが、これらは国産車の標準的な水準にあるものと考える。
運転日報(トゥインゴ)
天候:晴れ 時々 曇り 一時 雪
積算走行距離:24843キロ
走行条件:市街地・郊外一般道
乗員1~3名

Posted at 2011/12/18 17:08:36 | |
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