予備検査で後輪ブレーキが効かないことを指摘されたkeiであるが、後輪ブレーキが検査に合格しないというのはどのくらいダメな(危険な)ことなのだろうか。後輪ブレーキは元々負荷が小さいと思うので、それが効かないことが制動距離にどの程度影響するのか調べてみた。
まず、車検の
ブレーキ検査基準を調べてみた。後輪ブレーキの制動力は0.98N/kgとある。後軸重の10パーセントであるから、ずいぶん甘い基準である。これは、後輪ブレーキの早期ロックを防止するために後輪制動力は小さめに設計するのが常であるため、基準をうんと甘くしてあるのだろう。その甘い基準にさえ適合しないのだから、後輪ブレーキは「ほとんど効いていない」状態だと考えることができる。
もっとも、後輪ブレーキは元々ほとんど機能していないとも考えられるので、それが失われても大した影響はないのではないか。というのも、前輪駆動小型車の場合
前後の重量配分がずいぶん前よりであるのに加えて、制動時には荷重が移動してさらに前よりになるからである。
この点、
前後のブレーキをそれぞれ効かなくして比較試験したデータがある。この試験では複数の車種について実験を行っているのだが、後輪ブレーキが機能しない場合、正常時の1.4倍の制動距離になるという共通の結果を得ている。車種を問わず同じ結果になる理由は、おそらく、各社ともドライバー1名乗車の軽積載状態で後輪の早期ロックを招かないギリギリのところに後輪制動力を設定しているからだと思われる。
そうだとすると、多人数乗車時や重積載時には、制動距離の差は1.4倍よりもさらに拡大する可能性が高い。特に、最近の車は
EBDにより後輪制動力を荷重に応じて増加させる設計になっているから、制動距離の差は大きく広がるだろう。仮にその差が1.5倍だとすると、20メートルの制動距離が30メートルにもなり、かなり危険を感じるレベルである。
結論としては、大甘の検査基準にさえ適合しないような後輪ブレーキでは到底安全に走ることはできないということである。整備工場では「ブレーキライニングやホイールシリンダーに問題があるわけではないのに後輪ブレーキが効かなくなる」ことは珍しくないと言っていた。車検でもなければブレーキテスタにしっかりかける機会はないから、気づかないうちに後輪ブレーキが効かなくなっていることもあるだろう。それってけっこう怖いことではないかと思う。

Posted at 2013/12/07 21:38:12 | |
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