
北海道で起こった
死亡ひき逃げ事故、加害者が飲酒、無免許、無保険、無車検であったことに批判が集中している。それはもっともなのだが、このニュースを見たときに私が感じたのは「やっぱり軽は危ないな」ということである。
軽自動車の安全性に関する「知恵袋」等の記事では「軽自動車も衝突テストで星5つを獲得しているので安全である」「昔と比べて大幅に向上しているので心配はいらない」という回答が大半である。確かに、星の数では遜色がない。例として
ダイハツムーブと
トヨタパッソのテスト結果を挙げると、ムーブの星6つに対しパッソは星6+で大差ない。では、実際の測定値はどうなのだろうか。頭部障害値(HIC)に注目してみると、オフセット前面衝突でムーブ386.8パッソ225.2、側面衝突でムーブ353.8パッソ157.8となっている。グラフを見ると、150では無傷でいられる確率が9割近くあるのに対し、350では4割程度である。衝突実験の動画を見ても、
パッソ
ムーブ
パッソでは体全体がエアバッグにソフトに受け止められているのに対し、ムーブでは侵入してきたドアに上半身が押されるのと頭が大きく横に振られることで首に大きなストレスがかかっているように見える。頚部負荷は評価項目に入っていないが、相当な違いがあると思われる。また、ムーブは衝突後に横転しているので、強度の低い屋根から障害物に衝突する危険があるし、救出時の障害にもなるだろう。衝突試験は試験車の重量の差が反映されないオフセット衝突試験や900キロの軽い小型台車を使った側面衝突試験といった「甘い」方法で行われているから、実際の事故の場面ではそのときパッソに乗っているかムーブに乗っているかによって「生死を分ける」ことになりはしないだろうか。
燃費とか税金とか下取りがいいとか、軽自動車の魅力はよく分かるのだけれども、今のところ安全性に対する不安を無視して乗り換える勇気がもてないというのが正直なところである。
運転日報(スプラッシュ)
天候:雨
積算走行距離:14650キロ
走行条件:市街地
乗員1名

Posted at 2011/11/06 23:09:32 | |
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