前回は追突時に後席乗員の生存空間を確保する上で重要な車体後部の強度についてのチェックポイントを紹介した。今回は後席シートの強度、構造のチェックポイントを紹介する。これも、実際のところは試験してみないと何ともいえないのであるが、メーカーのシート設計に対する姿勢がわかるポイントがいくつか存在する。
まず、むちうち症防止のためのヘッドレストを確認する。ヘッドレストは追突時に頭部の後傾を防ぐためのものだ。だから、耳の位置がヘッドレストの中心に来るところまでしっかり延びることが基本だ。また、頭部が直立した通常の姿勢でヘッドレストが頭に触れるくらいまで接近していることが重要だ。国産車ではよく頭を後ろに倒すと枕のように支えてくれるものがあるが、このようなヘッドレストは効果がない。余談であるが国産車のカタログではこのような効果がないヘッドレストを「後席ヘッドレスト」と呼ばず「後席ピロー(枕)」と呼んでいる。さすがに「ヘッドレスト」と呼ぶとウソになると思ったのであろう。
次に、シートベルトの取り付け部(アンカー)が車体とシートのどちらに設けられているかを見る。3点式シートベルトではアンカーは3つある。そのすべてがシートに設けられている、メルセデスのインテグラルシートベルトのようなシートは強度や剛性の面で最も優れていると考える。あとは腰ベルトの両側ともシートにある、腰ベルトの片方だけがシートにある、すべてのアンカーが車体にある、の順に強度や剛性が低下する。シートがスライドしたりリクライニングする場合、アンカーをシートに設けたほうがシートベルトのフィッティングという点でメリットがある。それを車体側に設ける理由は、シートの強度を落として軽量化をしたいということだからだ。
シートバックがリクライニングする場合、シートバックを固定するラッチがシートバックの両側にあるか、片側だけかを確認する。片側だけだと、追突時にシートバックがねじれるように壊れて乗員が投げ出される。シートバックのラッチにはてこの原理で強い力が働くから、片側だけでは持たないのだ。
最後に、シートバックの背面に鉄板が張ってあるかどうかを見る。ここに鉄板を張ることでシートバックのフレームに筋交いが入り強度と剛性が大幅アップする。また、追突により後方から車体の一部や荷物が突入したときにシートバックを貫通しないようにブロックしてくれる。
追突安全性に関するチェックポイントが出揃ったところで、これをティーダ(たまたま代車で手元にあるから)に当てはめてみる。
1.30センチ基準 ○
2.バンパーリインフォースメント ×
3.テールゲート開口部構造 ×(脆弱)
4.ヘッドレスト △(中央席なし・左右席は○)
5.シートベルトアンカー △(1点のみ)
6.リクライニング・ラッチ部 ×(片側)
7.シートバック鉄板 ×
Posted at 2010/07/23 20:43:13 | |
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