
先日BMWに試乗してブレーキが過敏なセッティングになっているのをみて、BMWのユーザーも高齢化してきているのだということを実感した。実は、あの「カックンブレーキ」は「高齢者のため」のセッティングなのである。
人間の能力を「言語性能力」(考え、判断する能力)と「運動性能力」(判断に従って行動する能力)に分けて考えると、加齢によって「言語性能力」はあまり低下しないが、「運動性能力」は大きく低下する。一言でいえば「頭はしっかりしてるけど、体がついてこない」のが高齢者の特性である。だから、ブレーキについて言えば、危険を察知してブレーキを踏もうという判断をするところまでは若い頃と一緒なのだが、足が動いてブレーキペダルを踏むのは遅れるということが起こる。ドライバーの意識としてはすばやくブレーキを踏んだ「つもり」なので、「ブレーキを踏んだが効かなかった」という感覚になってしまう。「カックンブレーキ」はこのような高齢ドライバーの「感覚のズレ」をカバーして「よく止まる車」という印象を与えてくれる。
同じような装備として、バリアブルレシオのステアリングがあげられる。高齢運転者はハンドル操作のスピードも遅くなるので、普通のステアリングだと小さいコーナーで切り遅れたり戻し遅れたりしがちになる。バリアブルレシオのステアリングはハンドル操作が遅いことによる車のふらつきを軽減してくれる。
ただ、このような装備があると、ドライバーが運動性能力の衰えに気づかなくなるのではないかと心配である。運転能力の衰えが自覚できれば、速度を控えめにするとか運転姿勢を正すといった対処も可能なのだが、車のほうで巧妙に騙してしまうと「まだまだ若い者には負けん」と思うような高齢ドライバーを増やすかもしれない。メーカーのほうで「あなたは運転が達者だと思っているかもしれませんが、それは車のほうで誤魔化しているだけで、実はかなり衰えていますよ」というインフォメーションを流したほうがいいのではないかと思う。
運転日報(スプラッシュ)
天候:くもり
積算走行距離:5052キロ
走行条件:市街地
乗員1名

Posted at 2011/03/07 00:36:24 | |
トラックバック(0) |
雑感 | クルマ