慌しい一年が終わろうとしている。
今年も色々とあった一年だった。
我らが日産はどうだっただろうか?
2008年11月の新装開店なったZ34を皮切りに、2008年12月にはV36スカイラインのマイナー、明けて2009年1月のR35GT-RスペックV追加、6月Z34バージョンNISMO追加、NV200の登場、7月スカイラインクロスオーバー登場、11月フーガモデルチェンジ・・・・・
と、やはり大きな排気量、大きなクルマの何某かが目立つ。
そのどれもが、大きなクルマをして良好な操縦性を持ち、大排気量エンヂンの恩恵で並外れた動力性能を持っていた。
もはや、オーヴァー3L排気量の世界では間違いなく欧米の名立たるメーカーのクルマたちと肩を並べる、いや、ある部分に置いては超越したクルマを持つまでになったと言えよう。
それでは、我々が購入にも、税金などの維持を考えて、経済的に手が届き、自分の技量の範疇で自由気ままに操れる、そう、大きさで言えば5ナンバーサイズ前後、特にMクラスというカテゴリーに於いてはどうだろうか?
ティーダは、なかなか豊かな居住性を持っており、内装もこれまでの日産車みたいに、標準的な国産車の見栄えよりショボイという事も無い。
シルフィも、ちゃんと5ナンバーサイズに納まっていながら、特にリアシートの足元なんて下手な3ナンバーのクルマより立派なモンだ。
じゃぁ、中は広いし価格もソコソコの、これらのクルマを買おうかとなると、正直躊躇してしまうのだ。
まず、見た目が確かに他とは違ったデザインを擁しているが、カッコイイとかワクワクするような感性に訴えるきらめきが無い。
乗ってみても、操縦性は素直で過大なアンダーや、加減速に伴うイヤなハンドリングの変化も無く穏便なんだが、スティアリングからの路面からの情報が乏しく、まるで電気仕掛けの間接的なスイッチの如く、自らがスティアリングを回してタイアが動いている感覚が乏しくて、運転しているというフィーリングが希薄でまったくもってツマラナイ。
乗り心地も、ヒョコヒョコした感じで、確かに足が動いているけど安定感とか路面の凹凸をいなしていると言った「足回りが仕事をしている」という充実感も味わえない。
単純に、A地点からB地点へ移動する、電車とか他人行儀の快適な観光バスの様で、乗っていて実に面白味の無いモノだ。
これが前出の、デカイクルマ達なら、実に快適であって、まるで運転が二倍三倍に上手になった感覚で、さらにガスペダルを軽く踏込むだけで、周りのクルマ達を遥か後方に押しやってしまう怒涛の快感を得る事ができるのだが・・・・
単純にクルマとして見るのなら、オーヴァー3Lの日産車たちは非常に魅力的で、かつ現実的に速く、面白いように向きを変えてくれる。
ただ、その大きさゆえに誰もが所有でき維持できるかといえば、残念ながら日本という現状を考えれば「NO」と言わざる得ないのが現実だ。
都市部や郊外の住宅地に於いても、大多数の日本人が車庫証明を取れるサイズかといえば、それも甚だ疑問である。
グローバルに見れば、間違いなく売れセンで、売れる範疇のクルマなんだが、メーカーの母国である日本を考えた時、多くの日産車は良いのだけど所有はねぇというクルマが多いと感じるのだ。
正直、どこのメーカーのクルマも売れていないが、特に日産の幅が1700前後のクルマ、排気量で2L前後のクルマで魅力的なクルマは皆無だ。
日産のラインナップを見れば、売れセンのクルマは確かに揃っているが、高性能で現実的に購買できるクルマ、さらに日本で扱い易いサイズで楽しいクルマが無いと感じているのは私だけだろうか。
今、世界で一番クルマが売れる中国や、欧米に於いては、今の日産車たちは非常に魅力的で実際にも売れており、それが瀕死の重傷で明日をも分らない状況だった日産を、ここまで立ち直らせたのは間違いの無い事実だろう。
しかし、日本国内で多くの人を「真」の楽しいとか、「楽しみたい」という欲求で積極的に「日産」を選ぶユーザーはどのくらい居るのだろうか?
企業として、一番売れる場所、一番売れる地域に合わせれば、間違いなく利益も出る事は良い事なのだが、果して日本生まれの企業としての「日産」としてはどうなのだろうか?
いみじくも、あの80点主義だとか、買うユーザーのニーズに媚びたクルマを造り続け、面白味とか刺激的と言った、その大多数が、その場その時、最良のクルマを造りつづけて来た某社のトップが、驚くような発言をしていた。
「若者のクルマ離れというが、メーカーこそクルマから離れていた。どんな時代であれ、クルマ本来の楽しさを追求するのがメーカーの使命。」
これまで、何かあると、ユーザーの指向が代わった、クルマ以外に所有欲を満たすものが増えた・・・と、あたかも
「自分たちは昔と変わらず良いものを作っているのに、買う人間が変わったから売れないんだ」
みたいに、自らには責任が無いみたいな発言を繰返してきたメーカーが、いや売れないのは自分たちの努力が足りないからだと言った発言は大いに注目すべきだろう。
まさに、「金太郎飴」の如く、ミニヴァンやエコカー減税に引っ掛かるクルマばかりを大量に造りつづけてきた日本のメーカーのクルマに、「クルマ本来の楽しさ」なんて正直皆無だった事は間違いの無い事実だ。
日産に言わせれば、
「世界」 に通用するサイズと排気量のクルマに付いては、間違いなく魅力的なんだけどなぁとなるのだが、そうそう、以前にもブログしたが、 「
魅力的なクルマを作れば、それを見に人がディーラーに集まり、他のクルマも売れる」 と豪語していたことからも、何で世界的に売れるクルマを作っているのに日本じゃ売れないんだろう!?と頭を抱えている姿を容易に想像できる。
このまま行ったら、日産は本社を、売れない日本の横浜から、窮地を救ってくれた仏蘭西のブーローニュ・ビアンクールか、中国の北京辺りに移転する事を真剣に考えそうな勢いだ。。。
一体日産は、何を目指しているのだろうか?
歴史と伝統と、これまで多くのブランドを持ち、そして、不器用だけど見て乗って楽しい日産車のファンはたくさんいるのだが、現在に至って日産のファンは、旧車の集まりか、オールドカーフェスティバルでしか輝けない状況にメーカーは気付いているのだろうか?
大きなクルマばかりが目立った2009年だったが、さて新しい年の日産はどうなんだろうか?
このまま、世界に売れセンのクルマばかりを造り続けるのだろうか。。。
日本の日産はどこへ。
2010年は、そんな日産の行く末を見極める、大切な一年になると僕は感じているのだが、どうなんだろうか。
日産として、何が正しくて、何が間違っているか、問い直す新しい年だと感じているのだが・・・
さて2010年は日産にとってどんな一年になるのか、またジリジリとした一年を迎えそうだと感じているのだ。