今でさえ、ブルーバード510は名車の声が高いが、販売されていた当時は、確かに評価は高かったが、ライヴァル 「コロナ」 を打ちのめすまでには至らなかった。
逆に、増え続けていた女性ドライヴァーには三代目コロナの方がエクステリアデザインや、さらにブルバードより柔らかい内装のデザインが好評で販売台数ではブルーバードが苦戦していた。
おかげで販売の現場からは、色気が無いとか豪華さが足りないなどと、七つの新メカニズムや、独逸車に倣った質実剛健なインテリアが攻撃されて、大いに開発陣を落胆させた。
セダンにハードトップ、日本初のハッチバックとボディヴァリエーションと柔らかいデザインが女性の支持を集めた。
そんな販売的に苦戦の続く510ブルーバードも、ただ黙ってコロナの進撃を拱いていたのではなく、次々に内装などのカラーコーデネイトやエクステリアの変更、グレイドの追加などで、ライヴァル コロナ の追い落しを図っていた。
開発陣が驚いたのが、カラーリングの追加で販売台数が一気に増えた事だ。
サファリラリーでの活躍からインスパイアされて登場したボディカラー「サファリブラウン」がブルの販売台数を押し上げた。
サファリラリーでの活躍は、日産のみならず日本車の耐久性や高速性能を世界にアッピールしていたのだが、サファリでの乾いた「土」の色からインスパイアして「サファリブラウン」という茶色を、ボディカラーに追加したところ、販売台数が大幅に伸びたのだ。
開発陣には、世界に通用する技術的なアドバンスがあれば、販売でもコロナに勝てると踏んでいたのだが、まさかボディカラーひとつで、ここまで販売台数が変わるとはと考えを新たにするのだった。
ボディカラーもそうだが、グレード展開にもひとつのエポックがあった。それは、スポーティな車種が欲しいが、SSSのSUツゥインカブレーションまでは要らないが、そこそこスポーティなモデルが欲しいという声である。
そんな声に押されて登場したのが、ブルファンでも知名度が低く、ある意味幻の510と言われる 「SPORTS」 というグレイドである。
「SPORTS」の概要は、極端に言えば外観はSSS比で、「砲弾型ミラー」⇒「平型ミラー」、内装は「ウッドタイプ・スリースポーク」⇒「ツゥスポーク」、エンヂンも「ツゥインカブレーション」⇒「シングルカブレーション」になっていた。
しかし、前輪ディスクブレーキやタコメーターは装備として残されたので、ある意味でツウ好みのモデルとして一部で人気を博した。
こうした追加や変更を加えながら、コロナとの一騎打ちを演じていた510ブルーバードだが、1965年の後半からはコロナの快進撃が始まり最後の最後まで、優れたメカを満載した世界基準のクルマを作ってもライヴァルに勝てないというジレンマを抱えたまま、コロナの豪華さとエクステリアのまろやかさに影響を受けた、迷走の「ブルーバードU」の登場を迎える事となったのであった。
Posted at 2015/04/29 15:21:37 | |
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