U12ブルーバードといえば、ある意味それまでに論じられたブルーバード論、エクステリアは直線平面基調でなければブルに非ず・・・という単一思考の束縛から解放されたクルマとも言えよう。
確かに基本的なラインは、直線基調であるが、そのエッヂはまろやかに処理されてシャープさの中にも面として変化に富み印象的なエクステリアを創造していた。
グリーンハウスが、前後のショルダーラインより一段低く構える事によって、前後のデザインの流れに変化を付けさせ、さらに窓面積の拡大も図りスポーティでありながら、落ち着いた佇まいを見せる。
さらに、Cピラー根元に一本のキャラクターラインを入れる事によって、リヤスクリーンに巻き込むような造詣を見せ、さらに全体のディテールに変化を与え見る者の眼を釘付けにする。
そんなU12ブルーバードのハイライトは、ATTESA(Advanced Total Traction Engineering System for All)と呼ばれるフルタイム・ヨンクシステムを採用した事だ。
無論、そのシステムの素晴らしさ(一方、弊害も言われている事は重々承知だが・・)は、旧来から語りつくされてきているが、その成立には意外なモノの存在がアッピールされるべきだろう。
それがTOP画像の「樹脂成型鞍型燃料タンク」だ。
1960年代から欧州では、車体の軽量化などで盛んに燃料タンクの樹脂化が進んでいたが、日本では1960年代後半にやっとトヨタが輸出仕様で採用したのが最初で、国内のクルマには普及しなかった。。。
それが、歴代ブルーバードの中でこのU12が最初に採用した事は意外に知られていない事実である。
それがなぜATTESA成立に関わっているかと言えば・・・・
安全性の観点から、燃料タンクの位置が床下に移動する事により、リヤに何も無いFWD車は問題なかったが、リヤデフとドライヴトレインを備えるATTESAでは、まともに燃料タンクを配置できる事が出来なかったのだ。。。
そこで登場したのが、デフなどを巧みにクリアーし、なおかつ燃料タンクの容量を確保する為に、あたかも馬の鞍の様な形状をした燃料タンクの採用と相成った訳だ。
その形状をクリアーするには、従来の板金細工のモノではダメだという事で、樹脂成型のものが必然的に採用される事になったのだ。
ATTESAの構造や走破性のハナシばかりが先行し勝ちなのだが、そこには樹脂タンクの恩恵が在った事も、もっと取り上げるべきではないか?と僕は常々思っていたのだが・・・
樹脂タンクの成形性や安全性のクリアーも、この鞍型樹脂燃料タンクの開発に必要不可欠だったが、実は、もっと意外な部分に落とし穴があったのだ。。。
Posted at 2008/05/27 05:58:10 | |
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