tomohide98 さんがディーゼルの話題を出されていたので、少し面白いはなしを・・・
皆さんは「パッカード」という会社の名前を聞いた事があるかもしれませんが・・・
かつてアメリカの高級車市場を牛耳っていた名門企業で、例の英国ロールスロイスの様に飛行機のエンジンも手がけていました。
そのパッカードがなぜ「ディーゼルの航空機」を作ろう・・と画策したのか!?
実は、あのリンドバーグの大西洋横断がパッカード社の会社としての生命線を絶とうとしていたのです。。
というのは、リンドバーグのスピリット・オブ・セントルイス号にはライト・ホワールウインド社のガソリンエンジンが搭載されていたのですが、大西洋をひっと飛びできるエンジンなら高性能だ・・ということになって、それまで海軍などに採用されていたパッカードエンジンを、ライト・ホワールのエンジンに変え様という流れが出てきたしまったのです。
慌てたのはパッカードで、その起死回生の一発として「ディーゼルエンジン」が選ばれた・・という訳なのです。
で・なぜディーゼルかと言うと・・
やはり燃費!燃費が良いと言う事にパッカードは着目したという訳で。。。つまり、航空機に搭載すれば航続距離が30%伸びる!
これは軍事的にも重要な事で・・・
しかし、ディーゼルは重いという重大な航空機にとってのハンディであるので、それを克服しなければならない・・・
パッカードの技術・・いや未だに解明されていない米国の技術がここに結集されたのだ。
それは、まずはクランクケースをマグネシューム合金で作り、シリンダーはなんとボルトでなく、クランクケースに何らかの方法ではめ込まれて、ボルト分の重量を削ったのだ!!!
さらに、驚くは吸排気の弁を一本にまとめ、弁一本分の軽量化も図っていたのだ!!
その他にもクランクシャフトの錘も、反作用を利用したバネによる反動で廃止して、なんと、当時のガソリンエンジンと同等の重さを確保したと言うのだから驚きである!!!
複葉飛行機の画像を良く見て頂きたい・・
胴体に書かれた「PACKARD DIESEL」という文字が如実にその真実を表している。
しかし、パッカード・ディーゼルの航空機は普及する事は無かった。。。
それは「前出の複葉機」を見て頂きたいのだが、白黒で分かり辛いが、機体が真っ黒に塗装されているのだ、それは、あのディーゼルスモークが酷く、ボディが汚れるので、あらかじめ黒く塗られたのであった。。。
しかも、パッカード・ディーゼルの黒煙は臭いまで付いていて、長時間飛行すると、乗務員にもその臭いが付着し、さらに不人気の度が高まってしまった。。。
技術的には高尚であったが、さらなるツメが甘く、なんと一年でパッカード・ディーゼル航空機は姿を消す事になった。。
それに掛けていたパッカードは新工場を建て、新規従業員を600人も採用していたのに、すべてが水の泡と化したのである。
そんなパッカード・ディーゼルの顛末を見ると、なんだか今の日本という国のディーゼルの状況に似ているのではないかと思う。
ディーゼルのメリットを知りながら、ネガティブな面を払拭しようとはしないで今まで来てしまったので、逆にそれが命取りになっている様に思えてならないのだ。
もう少し早くディーゼルならしょうがねぇや!ではなく、それを打ち消す努力をしていれば、もっと違った状況になっていただろうに・・・
遅ればせながら、メーカー各社の努力を願って、日本のディーセルが発展する事を願って止まないのだが。。。
Posted at 2005/05/07 23:37:18 | |
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