<ごく稀ではありますが、ボディカバーの使用によって問題が発生したとお客さまからご報告を受けることがあります。仲林工業では、そのような事態になった際、原因を追究させていただくとともに、今後、その内容をネット上にて公開することに致しました。
公開することでさまざまなご意見や情報を頂戴できるかもしれませんし、また、仲林工業ボディカバーをご検討されている方にとっての情報や判断材料にもなり得ると判断したためです。
お客さまのお名前はもちろん、特定される場所柄やディーラー店さまの名称は伏せております>
今回はメルセデス・ベンツ Eクラス(W203)セダンのミラーのピアノブラック塗装が剥げ、カバー生地の内面である起毛に色写り(転移)してしまったことについてです。
(内容の掲載についてはお客さまもご認識済みです)
およそ1ヵ月前にご注文いただいたお客さまから、1、2回のカバー使用において上記の現象が発生したとの公表を受けました。問題の個所を撮影した写真も確認できたのですが、ピアノブラック塗装の一部が剥げ、それがカバー起毛面に付着していました。
また、お車のボディ自体にはガラスコーティングをされていて、その施工が去年末。厳密にはまだ半年以上の経過とならないため、「使用上の注意」から逸れたものとなり、この点に関しては自己責任でご使用いただいたものと思われます。しかし、ピアノブラック塗装の色写りが止まらないこと、またカバーの着脱自体にもスムーズさを得られないため、使用においてもイメージとは異なるような記載がされておりました。
カバーを受領いただいてから10日以上経過していたのですが、弊社も塗装の色写りについて確認させていただきたく、相談したところ、お客さまも落胆されておられご不安も抱かれていましたので、返品いただくことになりました。
(お客さま、お手数をお掛け致しました)
お返しいただいたカバー。早速、現物確認致します。
大切に、きれいにご使用いただいたようで、2、3回の装着といえどほとんど汚れはありませんでした。
問題はミラーのピアノブラック塗装でしたので、ミラー袋を重点的にチェック致します。
右側のドアミラー袋。
チョーカーで掻いたような黒い筋が見受けられます。
次に左側のドアミラー袋。
こちらがもっとも酷いのですが、絵の具が転移したような跡でした。爪を立てると黒の成分がこそげ、爪に付着します。
お客さまもコーティングの施工会社さまへお尋ねされたようで、「施工後1週間以内であれば別だが、1ヶ月もすれば完全に硬化するため、そうした事はありえない。ガラスコーティングが影響してそうなったとは考えられない。」とのこと。ただ、「ピアノブラック塗装に関しては国産車とは違って弱いのは確か。国産車ではそうした事はまず起こらないが、輸入車の場合はあり得るかも知れない」というお返事だったようです。
永年このような塗装の問題を目にしてきた私の個人的な印象・推測では、「まだ乾ききっていないピアノブラック塗装がガラスコーティング施工により覆われ、先に硬化したガラスコーティングによって揮発できず、完全硬化したガラスコーティング層の下でぶよぶよとした状態で残っていた」のではないか、というものです。
また、お客さまはこのドアミラー袋部分を風で煽られるからと縛っておられました(ミラー部分の縛りは弊社は推奨しておらず、あくまで自己責任でお願いしています)。
とはいえ、およそ半年近くも経過した状態で、このようなことがあり得るのか、、、?
また、同じピアノブラック塗装をされているお客さまで、同様の症状が発生してしまっている方はおられませんか?
ちなみに今回のお客さまが仰るには、カバーを使用してからコーナー部分が黒くなったとのこと。カバー生地から黒い成分は出ませんので、私としては、これもピアノブラック塗装が散っているのでは、、、と感じています。
コーティング施工から半年経たずにカバーを利用される方は意外と多くおられ、艶がなくなったり細かな傷がついたという報告を受けることはあります。しかしそれ自体も稀で、また完全硬化している塗装であれば、ガラスやプラスチックの小片、粉的な固形物となりますため、はたけば落ちる形になり、例え剥がれたとしても起毛に色写りすることはありません。
色写り(転移)するということは、粘り気がある=水分があるのではと考えています。
20年近く携わってきた私自身、これまで拝見した塗装のなかでももっとも酷い状態に見受けられ、とても困ってしまいました。同時に、同様の症状が発生している方がおられないか心配になり、お尋ねさせていただきました。
ピアノブラック塗装についてもご存知の方がおられましたらコメントいただけましたらうれしいです。メッセージやメールでもかまいません。
場合によっては今後の注意喚起にさせていただきたく、どうぞよろしくお願い致します。
2021年5月20日 14:53 追記 内容的にコメントしづらいようで(申し訳ございません)、メッセージにておふたりからお声を頂戴致しました。
どちらも共通して仰られるのは、「(弊社の起毛生地で傷むなど)塗装面が明らかに弱い」というものでした。部分的に抜粋致しますと、「ガラスコーティングが薄い」「コーティング被膜と母材(ボディー等の塗装面)との密着力が弱い」というものです。
もちろん推察ですので、今回の原因がそうという確定ではありません。
「引き続き、良い製品を提供いただければ」という応援のお気持ちのお言葉も合わせて頂戴致しました。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。
コメントをくださったY’sさまも、誠にありがとうございます。
なお、私が携わったカバーの台数は20年間で約72,000台となります(契約量販店さまへの台数は除外)。
カバー装着後にボディ塗装面に擦れではない影響が出たという報告を受け確認の取れたものは、20年間で今回を含め5件。4件はいずれもコーティングや再塗装間もなくのご使用であること(原因)がわかっています。今回はガラスコーティング後5ヶ月以上が経過していて、コーティング施工会社さまは「完全硬化している」と申されています。
また今回の呼びかけに関しまして、ボディ塗装に関して同様の症状や悪影響のご報告は現時点でありません。
今後も原因調査を進めていきたく考えていますので、塗装につきましてもし同様の症状、また悪影響が発生しているオーナーさまがおられましたら、ご遠慮なくご連絡いただけますでしょうか。
どうぞよろしくお願い致します。
Posted at 2021/05/12 15:54:24 | |
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