米自動運転法案、安全性を重視する専門家から批判の声
(NEWSWEEK日本版記事より)
「米議会で審議されている自動運転車の普及促進を目指した法案を巡って、自動車の安全性を重視する専門家らから批判の声が上がっている。」
「現行法では人間に制御されていない車両は禁じられている。審議中の法案は、人間が運転に関与しない自動運転車について、現行車と同様の安全性を確保していると見なされれば、既存の安全基準の達成を免除するほか、各州政府が性能基準を設定することを禁止するなどの内容。」
ほらきた。
これまでの記事の中でちょくちょく触れてきたように、自動運転車が出現すると、それは従来の自動車が単に自動で走るというものとはまったく異なるものになる可能性が高い。それは例えば、この記事にあるように衝突安全性の考え方を根本から変えることになる。衝突事故のほとんどは運転者のエラーによって起こる。一方、自動運転車はエラーを起こさない。だから、衝突事故は起こりえない。したがって、衝突安全基準を満たす必要はない、という考え方である。
衝突安全基準を満たさなくてもよいなら、自動車の設計の自由度が大幅に上がり、とても軽量で安価な車体で済むようになる。エアバッグもしっかりしたシートベルトも不要だ。軽量化は燃費に直接影響するし、軽い車体なら自動運転装置も小型化でき、より安価に製作できる。想像するに、自動運転車はシャシーフレーム部分だけを強度のある材質で作り、ボディは用途に応じて強化プラスチック製のものを乗っけるだけ、というような作り方になるのではないだろうか。
衝突安全性を考慮しない自動運転車が走り出すと、従来の人間運転の自動車は「危険な存在」と見なされるはずだ。衝突安全性を考慮した強固なボディを持っているので、ペラペラなボディの自動運転車には脅威になる。おそらく、自動運転でない自動車は早晩使用を禁止されるか、使用を禁止するに等しい過酷な税金や高額の保険料が課されるだろう。そのような規制は5年後になるのか10年後になるのかわからないが、おそらく実施されるだろう。
そう考えると、新車を購入する意欲がますます萎んでしまう。今買うのは安い中古車で十分、近い将来使用できなくなる車に300万、400万を払う気にならないのである。ドブに捨てるつもりで400万円を新車に払えるような心境になれば話は別だが、なかなかそういう心境になる機会がない。そうこうするうち、時間が経てば経つほど今の人間運転の車の「寿命」は短くなっていく。ますます、新車を買う気はしなくなるのである。
Posted at 2017/10/05 00:09:37 | |
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