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2016年12月07日

坂道 スロープを作る事。自由と現実の狭間で。

坂道 スロープを作る事。自由と現実の狭間で。  子供が生まれて、それまでマンション住まいだった僕も、自分がそうだったように、できれば子供が自由に遊べる庭があったほうがきっと良いだろう、できれば、家族三人が仲良く、たくさんの時間を一緒に過ごせる家があった方が良いだろと思うようになって、思い切って家を建てる事にした。

 正直、ある程度年齢が行っていたので、現実的に、そんなに長くローンだって組めない(組みたくない)って思っていたのだが、探せば、そうしたニーズにマッチした金融商品もあるもので、そうなると一気に実現に向けて、どんどんと夢と現実の間で家を建てる事の想像が膨らんだ。
 
 家の大きさは、家族三人が住める大きさがあれば良くて、でもクルマは二台止められるようにしたい。
そう思って、週末の時間を使って、家族で、たくさんの業者に会って、たくさんの物件を楽しむように、気付けば、あっという間に数十件の土地を見て、今の場所に巡り合って、この土地を買う事にした。

 土地が決まれば、後は家の姿を決める事になって、小さくても、できるだけ家族みんなの意見を入れて、外壁も壁紙も、色や形などを自由に選んで、街の設計事務所にお願いして、どんどんと実現に向けて最初は図面上に新しい家を形作った。


小さな家だけど、家族みんなの夢や希望であふれている。それはタイル一枚一枚の色や形、全体の姿形なのだが、玄関回りも、そうした家族の思いが込められていたのだが。

 もちろん、玄関の階段のタイルも、お気に入りのモノを、家の壁紙や部屋の形もこうだったら良いねと言う感じで決めていった。


子供が幼稚園の頃。初詣の帰りに記念に一枚。まだ、子供は歩けたし、病気の事は何も分からなかった。

 家を建てて12年目の秋。

 さすがに12年という月日は、できた時のぴかぴかとした綺麗さは無くなってしまったが、それでも汚れが付いたりしたら、水を流して、磨いて来た甲斐もあって、そこそこの綺麗さを保っていたのだが、そこにコンクリートを打ってスロープを付ける事を決意した。

 ここ数カ月は、ホントに忙しくって、家に帰るのは終電前二つめか、ひとつ前の電車が殆どで、日付が変わるか、変わってしまう時間がほとんど。

 そうなると、以前の様にブログだって書けないし、書けたとしても週末に一つか二つが精いっぱいの状況。

 その日の前日も、日付がまさに変わろうという時間に帰宅したのだが、そこには玄関の外灯に照らされた、家族一人ひとりの歴史が刻まれた階段が僕の帰りを待っていた。


工事の前の日。相変わらず日付が変わるかという時間に帰ってくると、階段がなんだか寂しそうで・・・

 淡いベージュに近い色合いの、優しい雰囲気が好きだった玄関先のタイル貼りの階段も、その日が来る事を悟っているのだろうか、なんだか寂し気に、外灯のぼんやりとした明かり照らされていた。

 そんな家族の思いが詰まったタイルたち一枚一枚を、僕は愛おしく撫でてやった。

そして運命の日がやって来た。職人さんたちは、約束の時間ちょうどにやって来て、てきぱきと作業を進めて、あっという間に型枠が作られ、スロープが接する部分は、軽く「斫って」、よいよコンクリートが流された。


日付が変わって、約束通りの時間に職人さんがやって来て、型枠を作って・・と淡々と、手際よく作業は進んでゆく。

 まったく、躊躇することなく、コンクリートは「坂道」の形になってゆき、アッという間に、


手際よく作業は進んで、家族の思いが詰まったタイルや階段は見えなくなってしまった。

家族の思いが詰まったタイルや、子供が小さなころは、一生懸命に、たった二段だけど一歩一歩踏み締めて上がった階段も冷たいコンクリートの中に埋まってしまった。

また、ひとつの家族の時間と歴史が無くなってしまった瞬間だった。

 コンクリートが固まるまで、そこを行き来しつつも、形が崩れたりしないように、コンクリートの上に、本当に絶妙にコンパネや角材を使って、職人さんが「スロープ」を作ってくれた。


コンクリートが乾くまで、玄関の出入りや、クルマ椅子でも昇り降りができるように職人さんが即席のスロープを作ってくれた。

 簡易と言っても、その造りはしっかりとしていて、大人の僕が乗ってもびくともしないモノだった。

 スロープを作った同じ日、家の中でも実は別の工事を進めていた。「手すり」を付ける工事だ。


何もなかった壁に、次々と手すりが付けられてゆく。それは僕たち大人のモノではなく・・・・

 家の中の要所要所に、しっかりとした「手すり」がどんどんつけられてゆく。

 それは、大人のモノではなく、子供のためのモノだった。


玄関にも、お風呂場にも、家を建てた頃には想定もしていなかった「手すり」を付けざる得なくなってしまったのだ。

 玄関にも、お風呂場にも「手すり」が付けられて、家の中の雰囲気が一気に変わってしまった。

 それから数日後、簡易のスロープや型枠が分解され、新しい家の姿があらわになった。


相変わらず帰宅は日付が変わりそうな時間。家の景色がずいぶんと変わってしまった。

 これで、雨の日も、玄関までギリギリまでクルマ椅子で移動できるね。

 後は脱輪防止や仕上げが少し残っているけどほぼ完成。

 ある人は言ったっけ。

「家は生き物。時間とともに姿形が変わるのは自然な事」

でも、たった半年で、歩く事も、立ち上がる事も出来なくなってしまった君の事を思うと、元気に階段を昇り降りしていた君の姿を思うと、僕はやっぱり切ない。

 さらに、それに輪をかけて、日付が変わる様な仕事の変化や、こうした身体が不自由になった子供の為に、すべてではなく、何とか参加できそうな時に、少し時間をずらすとかお願いしても、返事もなく、さらに、そうした状況をあざ笑うかのようなブログやコメントを残す連中もいて、本当に、まだまだこの国には正義というモノはないんだと思い知ってしまった。

 本当に、この半年という長くも短い時間は辛かった。

 その日が来ると知っていたが、いざ、その瞬間がやってくると、どうしようもない気持ちや、こうしようもない無力感で、毎日を過ごそうとなるとは・・・・
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Posted at 2016/12/11 07:15:24

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