「造りたかったRとやらねばならないR」
間延びしたなどとイマヒトツの評判のR33GT-R。
しかし僕は正直R32の様な研ぎ澄まされた格好の良さとか、R34の絶対的な動力性能というファクターを置いても、ある意味でR33が バランスの取れたGT-Rだった様な気がしてならない。
R34は室内の質感がいまひとつだし、結構ワンダリングも酷くて普通の使い方では疲れてしまうのだ。
それにR32をR33並みの操縦性とかにするにはかなりの努力が必要だが、R33は少し頑張れば、「100」までとは行かなくても「92」くらいまではR34の世界に到達できそうな気がするのもR33を評価している部分なのだ。
まぁR32でも、「HKSの1994ZERO-R」くらいまで弄れば、R33はおろかR34でも驚愕できそうだが、そこまでコストをかけるのなら・・・ということになってしまう。
なんたって1994ZERO-Rは、クラッチが「ティルトン」で、ミッションはドグタイプの「ホリンジャー」なのだ!!
一度だけ1994ZERO-Rに座った事があるが、ミッションをいじった瞬間、とても扱えない・・・とえらく落胆したものだ・・・閑話休題。
ところが2005ZERO-Rになると、クラッチがNISMOのカッパーミックスで、ミッションが通常のシンクロの「ゲトラグ」になっているので、もし・・もし乗れるのなら・・と虎視眈々と機会を伺っているのだが、どうもその機会は巡って来そうに無い・・・閑話休題2
R33は狭い狭いと販売側から言われ続けた反動でボディサイズを拡大してしまい、R31同様に「迷走」のスカイラインと言われているが、僕には正直この性能で大人が4人乗れて、それなりの荷物が積めて高性能・・となると非常に魅力的に映るのだ。
しかしスカイラインの主とも言えよう「櫻井眞一郎氏」に言わせれば、
「周りの人のいう事をイチイチ聞いていたらスカイラインなんてマトモな物になりはしない。」
「渡邉君(R33、R34主管)は真面目過ぎるから、あれもコレも聞いて(居住性を上げて)、必要以上の努力をしてGT-Rまでも造ってしまった。」
とあまりR33の事を評価していない。
だが従来のボディサイズをデカクしてさらにホイールベースを伸ばしたら、操縦性は成立しない・・・という不文律を打ち破ったのだからR33GT-Rの凄さはハンパじゃないのだ。
R33の凄さの秘密は、一言で言えば「剛性」。
実際にR33のボディ剛性は最初に乗った時には痛く感心したものだ。
そうそう、日産が操縦性に関わる剛性で「リヤピラー」が重要・・・な~んていう発見をしたのもR33なのだ!!
ただR33では、まだリヤのサスの左右を補強するに終わってしまったが、R33でのこのノウハウがR34になって、リヤのピラーに「ウレタン充填」をするという究極の補強までに発展させたのだ。
開発時のR33のニュル詣出は、R32の「マイナス21秒」で走るという目標をたて、その為にニュルでの毎日が「補強」「補強」で明け暮れたというが、その「補強」のノウハウが、最終的にある意味での「日産901運動」の究極の姿を導く貴重な体験の基になったともいえるのだ。
エクステリアだって、ちょっと弄ればR34に負けないくらいの迫力がでるし、逆にさり気なく高性能・・という感じでまとめられるR33。
R33Rの操縦性や快適性で、これはかなりある世界では有名な裏ワザなのだが・・・・
R33のVスペを買って、足回りをR33のGT-Rのサス・ショックに代え、NISMOの「N1」リンクをフロントに噛ませると・・・
(ダンパ) フロント リヤ
Vスペ 275/85 175/67
GT-R 242/69 150/55
(バネ)
Vスペ 4.0 3.2
GT-R 3.2 3.2
ワンダリングも皆無になって、首都高の凸凹もフラットにいなす、それでいてコーナーではほとんどニュートラル!という乗りやすくてコーナーも早いR33GT-Rができるのだ。
これは、まず、Vスペのリヤに採用された「アクティブLSD」の恩恵で、コーナーの途中での、路面の摩擦係数の変化があっても機械式とは違って、過渡特性が穏やかになると言う点と、ノーマルGTーRの固め過ぎないサスとダンパーの移植効果が大きいと言う。
つまり、GT-RとVスペの違いは、タイアとバネと、ダンパーとデフ形式しか違いが無いのに組合せで、大きな差が出たのは、一重にデフの違いが大きいのだと言われている。
確かにノーマルのGT-Rだと、低ミュー路で、速度も速くないのにコーナーで唐突な挙動がでてヒヤリ・・とした経験があるので、このLSDの存在はホント大きいのだと思う。
そのGT-Rバネ・ダンパーを移植したVスペを指して、上手い事を言うジャーナリストも居て、かのCGの塚原氏は
「1/2 Vスペック」と評していたが、彼も大絶賛していた裏チューニングである。
さてさて、前出の
「造りたかったRとやらねばならないR」
の意味だが。。。
これは現代の名匠に選ばれた日産の 「加藤博義 氏」の言葉であるが、
匠技 テストドライヴァーの言葉に日産の息吹を感じた。。
https://minkara.carview.co.jp/userid/124785/blog/1718520/
R33のVスペを 「造りたかったGT-R」と称し、ノーマルGT-Rは「やらねばならないGT-R」と称していた。
ここで 加藤氏の手がけたクルマを思い出してみると・・
「S130Z」、「910ブル」、「C31ローレル」、「C32ローレル」、「Y32セドグロ。グランツゥーリスモアルティマ」そして意外や意外、初代プレーリー「M10」なのだが。。。
彼の手がけたクルマたちは、どれも「穏やかな特性」を持ったクルマが多い事に気付くだろう。。。
そう考えるとR33GT-Rのキャラクターの住み分けた言葉も深みを増してくる。
不人気という言葉で片付けられてしまうR33GT-Rだが、僕は日常性と高性能の両立・・という点では、良心的なGT-Rだったと思うのだが。。。
もう少ししたら、性能が絶対重視のGT-Rが出てくるが、深みという点ではどうなのだろうか?
中途半端だとか芳しくないR33GT-Rの存在だが、好き嫌いをせずに、よく噛み締めると、そこから日産の思いや、これまでの、そしてこれからのGT-Rの存在意義を問うひとつの指針が出てくるように思うのだが、皆さんはどう感じただろうか?
.
ブログ一覧 |
スカイライン | クルマ
Posted at
2007/05/04 21:35:07