前回のシリーズ
その13 ではXM初期型を取り上げました。記していたら細かなところまでボリュームが増えてしまったので、一旦とめたわけです。今回はその続きから。
さて、1990年販売開始のハッチバックから3年後の1992年にはブレークが追加販売されました。XMはラージクラスでありながら珍しいハッチバックを採用。
積載性の高さは十分のはずなのですが、これをさらに上回る積載量を誇るブレークを設定するのは前衛的なシトロエンらしさでしょう。
フラッグシップモデルにステーションワゴンというのは当時のライバルルノー25にもなかったので、他に類があまりなかったのではないでしょうか。
ここでご紹介するのは1992年11月発行のカタログ。
このカタログには表紙に書かれてありますが、「ブレーク」と「XM-S」が掲載されています。まずはブレークから。
『独創の脚と豊かな装備品。行動半径が一段と大きくなる。』
説明書きによると・・・
『休暇には遠出をするから。ウィークエンドには家族が揃って乗るから。だからこそセダン以上の高級エステートワゴンが欲しい。この考えから誕生したXMブレークです。(~後略~)』
ウィークデイは仕事に使い、ウィークエンドには家族の移動の相棒として使うことを想定して生まれたのがXMブレークなのですね。
カタログから。
リアシートを倒してフルフラットの状態にすると広大なスペースが出現。カタログには細かな寸法の記載はありませんが、大の大人二人がゆったりと寝られそうなスペースでしょうね。
ところで、ハッチバックとブレークの寸法ですが・・・
ハッチバック: 全長×全幅×全高=4,710×1,795×1,395mm
ブレーク: 全長×全幅×全高=4,965×1,795×1,465mm
全長はブレークの方が255mm長いですね。ホイールベースは2,850mmで共通なので、延ばされた分はそのままラゲッジスペースに充てられたということでしょう。
さて、先のカタログ。続いては、「XM-S」グレードの紹介。
『ここにも独創の美しさと技術。身近になったシトロエンXM.。』
シリーズその13でも取り上げましたが、日本販売開始時は「XM-X」、「XM」の2グレード体系。しかし、フラッグシップゆえ高額なのがネック(価格については後ほどご紹介)。
当時のXMの販売事情はわかりませんが、西武自販が想定したほどの目標台数には及ばなかったのでしょうか。さらなる第三のグレードが追加設定されました。それがこの「XM-S」というグレード。
「XM-S」は上のキャッチコピーにある
「身近になった」というのがキーワードのグレードというわけです。
カタログ写真の拡大。
カットの説明文にはあまり意味のない言葉が書かれてありますが、私がもっと注目したいことはシート生地。
最上級グレード「XM-X」はフルレザー。「XM」はベロア。そして、「XM-S」はファブリック! グレードが下がるごとにシート材質もそれなりになっていきますが、ファブリックが一番座り心地が良さそうです。
もう一つカタログ写真の拡大。
『フルホイールキャップ(日本仕様)』
このシンプルなデザインに萌え♪ XMにはこのフルホイールキャップが一番似合っている気がします。
サイドからみたフルホイールキャップ装着車の画像見つけたので貼っておきます♪ やっぱり似合うなぁ。
ここで総括。XM3グレードの装備の大まかな違いです。
■XM-XとXMの違い(以下装備が「XM」には非装着)
・ボディ同色バンパー
・ボディ同色サイドプロテクター
・ボディ同色ドアミラー
・電動ガラスサンルーフ
・フルレザーシート (→ ベロア生地に変更)
・サイドサポート
・電動ハイトアジャスト機構付フロントセンターアームレスト
・ウッドパネル
・フルオートエアコン (→ オートエアコンに変更)
・本革巻きステアリングホイール
■XMとXM-Sの違い(以下装備が「XM-S」には非装着)
・フロントフォグランプ
・ベロアシート (→ファブリック生地に変更)
・電動アジャスト機構付フロントシート
・高さ、角度調整付リアヘッドレスト
・インフォメーションディスプレイ
・ドアアームレスト内蔵ポケット(フロント・リア)
・ボンネット開閉連動エンジンルームランプ
・ステアリングリモコン
・暗証コード式盗難防止装置
・ドライブコンピューター
・ABS
・6J-15インチアルミホイール
こうして見ると、絶妙に装備が落とされているわけですね!
さて、ここに当時のシトロエンの価格表をご紹介します。モーターマガジン誌1993年5月号より。
参考として、ユーノスチャネルの価格も載せていますが、ここでは西武自販をご覧ください。
XM-X(右/左ハンドル) 4FAT 642万円
XM(右/左ハンドル) 4FAT 550万円(XM-X比マイナス92万円)
XM-S(右/左ハンドル) 4FAT 479万円(XM比マイナス71万円)
さすがはシトロエンのフラッグシップモデル。高額なのは言うまでもありませんが、装備の内容からみれば、真ん中グレードのXMが優れているのかもしれません。
テーマから逸れますが、価格表を眺めていると興味深いことがわかります。これはよく言われていたことですが、ユーノスと西武自販とでは同じグレードでも価格に開きがありますね。
XMはユーノスが540万円なのに対し、西武自販が550万円。この10万円という価格差は装備のなのでしょうけれど、いったい何だろう。また、XM-Xはユーノスではサンルーフレス仕様も選べたのですね。
最後は1993年の輸入車ガイドからシトロエン・ジャポンのカラー広告をご紹介して閉めます。
実はこれを見るまで気付きませんでしたが、この当時すでにシトロエン・ジャポン(右下に表記あり)は設立されていたのですね。
調べてみたら、1990年から1998年までの9年間、フランス・シトロエンと西武自販とマツダの3社によって設立された会社として、第一次の「シトロエン・ジャポン」が存在していたのですね。このあたりについては改めて記してみたいと思います。
実はこの後は1994年にフェイスリフトが行われ、インテリアを中心に変更されました。ネーミングはXMからXmへ。細かな違いですが、大きな違いかもしれません(^^)v
フェイスリフト後カタログは保有していますが、初期型カタログがあまりにもインパクトありすぎて見応えはないように思います。なので、特にあえてご紹介はせず、XMはこれにて2部作で終わりです。しかし、西武自販ネタはまだまだ続きますが(^_^.)
つづく