ご存じiQといえば、個性的デザインでかなり凝ったパッケージングのクルマ。発売当初はその斬新なパッケージングにかなり驚かされたものです。
iQの開発にあたってはそれ相応のコストが掛かっていることは容易に想像できます。世に送り出すことができたのはトヨタだからこそできたのでしょうね。
発売は2008年11月のこと。発売からすでに7年余り経っているとは思いも寄りませんでした。今でも古さを感じさせないのはデザイン力の成せる技と言えるでしょう。
さて、発売当時のニュースリリースからおさらいです。一部引用抜粋。
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TOYOTA 、新型車「iQ」を発売 2008.10.15 News Release
TOYOTAは、新型車iQを開発し、全国のネッツ店を通じて、11月20日より発売する。
iQは、従来のサイズの概念を打破することを目指し「超小型ボディに、卓越した性能を凝縮し高い質感を備えた“ マイクロプレミアム ”カー」である。
具体的には、プラットフォームを新開発し、全長2,985mm×全幅1,680mm×全高1,500mmのボディに4人乗車可能な超高効率パッケージを実現するとともに、サイズを感じさせないiQ独自のデザインにより存在感と上質感を創出。 (引用終了)
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全長は3メートルにも満たないサイズ。常識で考えれば、そのサイズに4名が乗ることはほぼ不可能に近いですが、見事なパッケージングで完遂させたことは驚きに値します。
また、効率良いパッケージングを実現させた手法としてメーカー自身が掲げていることとして・・・
1.トランスミッション構造を変更しエンジンに対してタイヤ一を前に出すことで、フロントオーバーハングを短縮
2・ステアリングギヤボックスの上方配置により部品の最適配置が可能となり、エンジンルームのコンパクト化を実現
3.燃料タンクをフラット化し床下に搭載することで、リヤオーバーハングを短縮
4.運転席・助手席シートバックのホールド感と乗り心地を確保しながら薄型化し、後部座席の足元スペースを拡大
5.エアコンを大幅に小型化しインストルメントパネル中央部に納めることで、助手席側足元スペースを拡大
6.エアコンユニットの一部を納めていた助手席側インストルメントパネルを運転席側より前方に出すことで助手席スライド量を拡大し、後部座席にゆとりのスペースを確保
なんだそうです。特に居住性を確保するために、おそらくミリ単位の短縮や切削などによって実現させたのでしょうね。並々ならぬ努力による賜物と言えるでしょう。
また、4つのタイヤをボディの四隅に配置したことによって安定感がもたらされました。この演出はiQにとって大きなメリットでしょうね。
さて、iQ開発にあたって、チーフエンジニアの中嶋裕樹氏は
≪中嶋裕樹チーフエンジニア≫
「性能や内外装の質感など、あらゆる点において一切の妥協をしていない。小さなボディを活かした街中でのキビキビとした走りと、高速での安定した走りを両立させた。」
とコメント。コンパクトなサイズにしたがために犠牲にしなければならないこともありそうですが、妥協がなくつくりあげることができたのは見事なパッケージングに他ならないでしょう。
また、iQは初代スマート(fortwo)を意識してつくられたのは明らかですね。
デザインはもちろんパッケージングも似通っています。(写真のサイズは合っていません。)
ところで、iQはさまざまな取組みもしました。
GAZOO Racingが開発し2009年11月に発売した「GAZOO Racing tuned by MN」は足廻りに手が加えられ、2012年9月に発売した第二弾の「GRMN Supercharger」はさらにエンジンにまで手が加えられました。
≪写真はいずれも GRMN Supercharger≫
いずれも100台限定で即完売したそうで、潜在的にこうしたモデルを欲していた顧客がいたことを物語っていますね。第二弾はプライスが355万円と破格でした!
話は逸れますが、iQといえば忘れてならないのがこちらのモデル。
アストンマーティン・シグネット。
iQをベースにあのイギリス名門ブランドのアストンマーティンが仕立てたのがシグネットと呼ばれるモデル。同じモデルでありながら、iQとはまた異なった世界観をつくりあげることができるのはさすがアストンマーティン。
レザーを多用して質感がiQとは比べ物にならないくらいに明らかに高いですね。コンパクトアストンマーティンでも一切妥協はないですよね。
さて、昨年のことですが、トヨタは2016年に販売を終了予定しているモデルとして次のとおり挙げています。
FJクルーザー・アイシス・ラクティス・カローラルミオン・イスト・bB・ウィッシュ・iQ
単独モデルとして次期型を開発販売したとしても売れないだろうとトヨタが判断したのでしょうね。FJクルーザーを除いた他のモデルは製造からかなりの年月が経つモデルばかり。その中にiQがリストとして挙がっていました。
iQは当初の月販目標台数を2,500台と掲げていました。発売後翌月には8,000台もの受注があったそうですが、新車効果は長くは続かなかったようです。
考え方や発想は面白いのですが、そもそもパッケージングがなかなか理解されにくかったのでしょう。結果、広く万人には受け入れられず販売には繋がらなかったと言えるでしょう。
トヨタがiQを世に送り出したことはトヨタの技術を知らしめる意味でも大きな意義があったと思います。トヨタがこのようなモデルを今後販売することはおそらくなさそうですが、iQという存在を示すことができたでしょうね。
なお、昨年暮れ時点で受注はすでに終了し、あとは在庫がなくなり次第販売は終了するそうです。
※チーフエンジニア中嶋裕樹氏のインタビュー動画を見つけたのでどうぞご覧ください。
Posted at 2016/02/14 00:39:01 | |
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