西武自販の歴史はシトロエンの歴史と言っても過言ではないくらいに西武自販にとってシトロエンは外すことのできないモデル。シリーズ第15弾はZXを取り上げます。
始めにお断りしておくと、シトロエンは私がフランス車に興味を持ち始めて以降常に注目の存在ですが、他ブランドのクルマに強く興味を示す関係で記憶が所々あいまいだったり、カタログを集め損ねていたりという時期があります。
実はZXの販売期がまさにそう(^_^;) 一応カタログは集めていましたが、おそらくすべてを保有しているとは思えず、欠落している可能性が非常に高いです。なので、ZXに関する情報や知識はハッキリ言って乏しいですが、せっかくシリーズ化しているので、調べたことを記したいと思います。
ZXはAXとBXの間を埋めるモデルとして1991年にデビュー。同じPSAグループのプジョー306とプラットフォームの共有化を図るモデル。つまり、306とは兄弟の関係。1992年5月に日本国内販売開始。
日本販売開始当初は1.6L CLUB(クラブ)と1.9L SUPER(シュペール)の2グレード構成。エンジン排気量と装備が主な違い。
それでは西武自販カタログをご紹介します。
左から、1992年5月発行カタログ(初期モデル)・1994年10月発行カタログ(フェイスリフト後モデル)・1997年1月発行カタログ(フェイスリフト後モデル)
初期モデルカタログから・・・
『いま新しい感性がベールを脱ぎます。シトロエンZX。西武自販ネットワークから。』
この当時は西武自販のほかにマツダからもユーノスチャネルを通してシトロエンが販売されていました。ZXも然り。主題から逸れますが、後ほどユーノス版カタログもご紹介します。
これはZXの素性などを紹介したページ。
剛性の高さについて触れています。シトロエンの自信の表れなのでしょうね。
搭載エンジンの紹介。
ZXに触れたことは残念ながらありませんが、テンロクCLUBで十分な印象を受けます。
グレード紹介のページ。
上級グレードのSUPERが始めに出てくるので、西武自販としてはSUPER推しというのがよくわかります(笑 ちなみに当時の販売価格は、CLUBが241.5万円、SUPERが287.5万円。その差46万円とは結構な価格差だったのですね。
さて、この写真はカタログ裏表紙に掲載あったZXのラインナップ。
2グレードしかない日本仕様ですが、これはいったい。
どうやら本国のオフィシャルフォトのようで、調べてみたら、時計回りに・・・
赤:「ボルカン」 シルバー:「アバンタージュ」 白:「レフレクス」 黒:「オーラ」
というグレードのよう。なぜ西武自販がこのフォトを載せたのかは不明ですね。
と、ここで一つ気になることを思い出しました。
以前、やんぢさんが記していらしたブログ で、ZXのカタログモデルにはないグレードのことを紹介していらっしゃいました。引用させていただきます。(やんぢさん、勝手に引用すみません(^_^;))
>注目は右下に載っているZXスペシャル。
真っ黒バンパー、手回しウィンドウの廉価グレードですが、実は西武が廉価グレードを発注したわけではなく、フランスのシトロエン社が間違えて日本に送ってきてしまい急遽廉価グレードを仕立て上げたというのは、公然の秘密ですね。(笑)
ひっそりとこんな仕様のグレードが導入していたのですね。当時、ZXはおろかシトロエンについても情報入手をちょっと怠っていたためにまったく知らなかった事実です。間違えて送りつけるなんて面白いことがあるものですね。
日本仕様ZXスペシャルと同じ仕様の画像を探してみました。
樹脂製のバンパーからすると、これがZXスペシャルなのでしょうね。潔いところが萌えます♪
さて、私のシトロエンのバイブル
この本に興味深いことが書かれてありました。
赤い下線で引いた箇所です。つまり、シュペール→「ボルカン1.9i 」・クラブ→「オーラ1.6i 」・スペシアル→93年追加仕様「オーラ1.6i 」 という解釈になるでしょうか。
この後、CLUBにエンジンの小変更を受けました。
これは一枚モノのペラ紙。エンジン排気量が1.6Lから1.8Lへとアップ。14インチアルミホイールがついに標準装備に! ベーシックグレードは鉄チン+フルホイールキャップが似合うのに残念ですね。
ところで、日本販売開始当初のユーノス版カタログと並べてみます。
右がユーノス版カタログなのですが、当時のユーノス版シトロエンカタログと同じサイズです。中を見開いてみると・・・
右ハンドル仕様のZXなのですが、写真を見る限りでは日本で撮影されたのではないかと思われます。そうだとすれば、当時のマツダはシトロエン販売に力を入れていたことが言えるでしょうね。一方の西武自販カタログはマツダほどの力の入れ方が残念ながら感じられません。
さて、ここからはフェイスリフト後モデルのカタログをざっくりとご紹介。まずは1994年10月発行カタログから。
当時、シトロエンはモータースポーツに積極的に参戦していましたね。
SUPERは2Lエンジンへアップ。259万円。CLUBは229万円。
3ドアモデルとしてZXに追加。グレードはCOUPE。210万円。
西武自販はボディカラーの融通が結構利いたというのは有名な話。カタログにはこんな記載が・・・
『その他のボディカラーにつきましては営業スタッフにお尋ねください。』
そう言えば、私は変わった仕様のZXのフェイスリフト前モデルをずっと昔に見かけたことがありました。CLUB(たぶん)の左ハンドル仕様でボディカラーが淡いベージュ。(残念ながらカタログ外カラーなのかは不明)
≪画像は拝借しました。≫
たぶんこれが当時見かけたボディカラー。先代C4にあった「サーブル・ド・ラングリュヌ」のようなカラー。とてもきれいだったのが印象的で今でも鮮明に覚えています♪
1995年にはブレーク(ステーションワゴンモデル)も追加。
当時のシトロエンとしてはロアモデルのブレークとしてZXにも追加されました。
ZXは1999年にクサラが販売開始するまでの7年に亘って販売され続けました。ということで、日本でどのくらい販売されたのか、もう一つのバイブル「シトロエンの一世紀」で調べてみました。
1992年 1553台
1993年 1610台
1994年 1078台
1995年 1512台
1996年 1021台
1997年 569台
1998年 143台
1999年 4台
日本で販売された7年間の総販売台数は7,490台。ちょうどバブル景気が終焉を迎えたことと、それによってマツダがシトロエンの販売から撤退したことと重なってしまいました。思うような販売台数は得られなかったのかもしれません。
すぐ上に存在したエグザンティアの方が人気が高かったというのも事実。実際にエグザンティアがデビューした1993年を除いたすべての年で年間の販売台数がエグザンティアよりも下回っていたのは何とも皮肉です。
ZXの初期デザインがベルトーネとシトロエンとの共同作業によるもの。革新と前衛を求めるシトロエンとしてはZXのデザインは個性が薄いのかもしれませんが、普遍的でありながら美しさではやはりシトロエンそのもの。これを機にZXの良さを再認識できたらいいなと思います。
つづく
※ZXのTVCMを見つけたのでどうぞご覧ください。
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