
今回のシーマは、多くの人から 「シーマ」 たる存在感を感じない・・・・という声を多く聞く。これまで、二回に分けて、色々と新しい 「シーマ」 について書き綴って来たが、長らくの日産ファンの一人としても、正直、その声に同調せざる得ないというのが偽らざる心境なのだ。
省みて、初代シーマも、そして最後の 「シーマ」 となった、F50型もベースは何であれ、意匠からして差別化されていた。
確かに、新しい 「シーマ」 も、塗装は 「フーガ」 の 1.5 倍 厚いですよ、「匠」が水砥ぎしていますよ、最終チェックはテストコースを約一時間かけてやってますよ・・・と特別感、プレミアム加減を強調しているが、所詮クルマは見てナンボ、これが 「シーマ」 が先に出て、「フーガ」 が後に出たのなら、まだ印象的に何とかなっただろうが、現状では幾ら日産が頑張っても
「ビッグ・フーガ」
という烙印は外されることは永遠に無いだろう。
ひとつ言っておきたいのは、間違っても 「シーマ」 が悪い車だとは一言も言っていない事は御理解頂きたい。
内装の作り込み、塗装の厚み感、そしてなにより動力性能の高さ、日本仕様に徹して乗り心地に特化した足回りだって、昔の様などうしようもない曲がらない、傾くなんていうモンじゃあなく、色々なインプレッションを読む限りには、世界のプレミアムカーと比しても恥ずかしくない、イヤ、確かに日産の言うとおり 「乗り心地」 という範疇では右に出る者は無い出来栄えであることは間違いのない事実だろう。
だけど、やっぱり 「でっかいフーガ」 には違いなく。。。。
新しい 「シーマ」 を初めて見た時、僕は懐かしい 1960年4月に登場した 「初代セドリック」 を思い出したのだ。それはデザインという外観的なモンではなく、
セドリック ⇒ セドリック・カスタム ⇒ セドリック・スペシャル
という順列が、現代に蘇った・・・・と感じたからだ。
排気量1500CC、全長4410mm、全幅1680mm、ホイールベース2530mm 現代から見れば実に小さなセダンだった。
初代セドリックは、1960年3月でオースチンのライセンス契約が切れる事を見越して日産が開発した自社開発新型中型車であった。
登場した当初は、排気量1500CC、全長4410mm、全幅1680mm、ホイールベース2530mmという現代から見れば実に小さなセダンであったが、フロントスクリーンがサイドに回り込んだアメリカンなデザインと、ボディ構造もモノコックを採用していた最先端なクルマだった。
そのセドリックが、翌年の自動車規格の改正で、「小型車」が排気量2000cc以下、ホイールベース2.7m以下になる事を見越して10月には、排気量を 1900CC に上げ、ホイルベースを 100 mm 延長した 「カスタム」 を登場させた。
さらに、1962年10月にマイナーチェンジが行われ、4灯式ヘッドランプが縦から横並びに変更され、大幅にイメージが変わった。
1962年10月にマイナーチェンジが行われ、4灯式ヘッドランプが縦から横並びに変更され、大幅にイメージが変わった
そして、その後の 「プレヂデント」 へと進化する、「スペシャル」が1963年2月に登場した。
この 「スペシャル」 は、カスタムのホイールベースを205mm、全長を345mm延長し、排気量 2800cc 六気筒を搭載した。
「スペシャル」は、ホイールベースの長さと、国産初のオーヴァー2L、六気筒エンヂンを搭載して初めての 「3ナンバー」 車となった。
全長、ホイールベースの延長で、デヴュー当時より見た目の安定性が増した。
そんな、初代セドリックの変遷を思い出すに付け、僕は 新しい 「シーマ」 は、「シーマ」 とうブランドではなく、「フーガ」版の 「セドリック・カスタム」、「セドリック・スペシャル」 の再来と考えればしっくり行くのでは・・・と感じた次第なのだ。
日産は「内容で勝負」と言っている様だが、プレヂデントの悲劇の様に、いくら既存のクルマを切磋琢磨しようが、ブランドイメージにそぐわないモノは売れないという歴史の証明に、再度挑戦しようとは夢にも思わなかったと思うのだ。
まぁ、所詮年間1000台しか作られない、日本スペシャルだから、ダメだったら、日産お得意の
「無かった事に」
にで済ませようと思っているのだろうが、少しばかり儲かって、余裕が出来たからと言って、こんな無駄遣いは如何なものかと僕は思うのだがどうだろうか?
儲かった余力を、もっと真っ当な M クラス のクルマの開発に使ってくれたらと思うのは僕だけだろうか?
現代に蘇った 「フーガ・カスタム」 、 「フーガ・スペシャル」 の未来は如何に?
暖かい目で、なんて日産のファンとして言いたいのだが、どうも素直にそう言えない僕が居るというのが正直なところなのだ。。。。
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2012/06/18 06:30:38