
先日のブログで、ちょっぴり触れてみた「ムルティプラ」。
皆さんはご存知だろうか?日本でも知名度の高い「フィアット」にあって、その超個性的な外観に似合わず!?影の薄いクルマが「ムルティプラ」だ。
とにかく、その外観は強烈で、始めて見た人は間違いなく驚くデザインに間違いない!
ヘッドランプの構成は、ハイ・ビイムがフロント・グラスの直下にあり、ロゥビイムは通常!?の位置にあるというデザインは、パッと見 「コブダイ」 を思い出した事は内緒だ。。。。
1998年に、この二代目の「ムルティプラ」が登場したのだが、さすがに個性的過ぎたのか!?2004年のマイナーチェンジで、
どこでもある様な「普通」のルックスになってしまい、これでは
「普通過ぎる」 と、ますます人気が無くなってしまった
「薄幸」 のクルマであった。。。
(この様を見ていて
T11スタンザ、オースター、ヴァイオレット・リヴェルタ を思い出してしまった。。閑話休題)
「二代目」 ・・・・・そう、何を隠そう1998年に発売された「ムルティプラ」は
「二代目」 を襲名した、由緒正しいクルマだったのだ。
それでは初代はと言うと、
1956年に生まれた名車であった!この初代「ムルティプラ」は
クルマの歴史を変えたと言われている、世紀の二大巨頭のひとり、FWDの英国のイシゴニス作 ミニ と対極を為す、RRの伊太利亜のダンテ・ジアコーザ作 フィアット600 がベースになっている。
そう日本ではフィアット500の方が有名かもしれないが、この600も世界中に輸出され、さらにOEMでも各国で生産され戦後の伊太利亜の自動車産業を支えたクルマなのだ。
ハナシを戻すが、初代ムルティプラは、フィアット600のリヤセクションをそのまま使用し、居住空間を確保する為にフロントエンドをほぼ垂直に切り立てたデザインが個性を醸し出している。
サイズは 全長3535×全幅1450×全高1580mm というコンパクトなものであったが、このサイズの中で何と「三列シート」を実現していたのだ、まさに現代のコンパクト・三列シート・ミニヴァンの先駆者とも言えるのではないだろうか。
よく、初代ムルティプラを見て、どちらが「前」か「後ろ」か分からない!?というハナシを聞くが、まず「フィアット600」をベースにした事、そしてコンパクトなサイズで三列シートを成立させた事を考えれば、自ずと答えは出てくるハズだ。賢明な皆さんは、もうお気づきだろうが、
傾斜の緩い方が「フロント」で、キツイ方が「リヤ」という次第だ。
つまり、居住性と積載性を最大限にする為に、それに余計なエンヂンとフェールタンクをリヤに置く為に、フィアット600、ムルティプラのリヤの緩やかな流麗なデザインが生まれたという事なのだ。
この初代ムルティプラは、当初の三列シートの他に、4人乗り、5人乗りも造られ、さらに個性的でありながらコケティッシュなデザインが受け、10年もの長きに渡って造られたのだった。
それから30年の月日が過ぎて登場した二代目は、確かに理屈で考えられた室内空間を持っていたが、理論とデザインが噛み合わなかったクルマだったのかもしれないと想うのだ。
確かに個性は必要だろう。しかしY12でもコメントしたが、それをユーザーに押し付けてはいけないのではないだろうか?
デザイナーの想いと、機能によって生み出されたデザイン、そしてそれが理解できる「機能性」と「美的感覚」がバランスされたデザインというモノが大事だと僕は想うのだが如何だろうか?
しかし50年以上も前に、デザインと機能を両立させた初代ムルティプラを企画し商品化したフィアット、ダンテ・ジアコーザという人物の先見性と商品化の発想は驚くべくモノがある。
現代の我々も、大いに見習わなくてはならないと深く反省するのであった。
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Posted at
2009/04/05 03:11:15