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2006年07月03日

鉄鎖 チェーンを巻いて優勝した日本車とは。。

鉄鎖 チェーンを巻いて優勝した日本車とは。。







サファリといえば、それこそ拳大の大きさの瓦礫が続くラフロードから、細かい砂塵が舞い、一度その砂塵が舞うと視界が遮られてまともに走れないコースなどなど・・その過酷さを表現する言葉で埋め尽くされているが・・・

何よりも、それまで何事も無かったラフロードが、一度のスコールで、人の膝まで沈むような泥濘路に激変するコースが何箇所もあり、それがこれまでのサファリで何度も勝敗を分けた事でも有名だ。。。

そんな泥濘路にハマルと、一度止まってしまうと二度と出れない・・そんな状況になるのだ。

DATSUNは、1969年のサファリラリーで、それを逆手に取った、欧州勢にはやりたくても出来ない空前絶後の作戦で優勝をかっさらったのだった。。

その作戦とは・・・「タイヤ・チェーン作戦」であった。

ナクールからナイロビへのラリーコースは、一度雨に見舞われると、ケニヤ山の山岳コースと、雨によって変わった粘土質の泥濘路が重なって、サファリでも最大の難コースと言われていた。

果たせるかな、ラリーに合わせた様な大雨となって、瞬く間に路面は酷いマッドロードに激変した。

DATSUNはケニヤ山の入り口で、ブルーバードのタイアを四輪とも交換する作戦に打って出た!
交換されたタイヤというのは・・・フロントにピンの大きな特注のスパイクタイヤ、リヤにはなんとチェーンを巻いたマッドタイヤをあてがったのだ。



チェーンなんて巻いたタイヤでは速度が出なくて・・・いやいやDATSUNのチェーンの巻き方は一風変わっていた。。

まずタイヤの空気を全て抜き、そこへタイヤの外径よりチェーンの内径が若干小さくなるように巻くのだ。そして、空気を規定の圧力入れると・・・外径より小さく巻かれたチェーンは、タイヤに適度に食い込み、外す事もずらす事も出来なくなる・・というものだ。。。

これで、どんなに高速で走ろうと、チェーンがたるんで切れるとか車体やサスへ干渉するといった現象は無くなった訳だ!!

しかし現場では、ドライヴァーとメカたちの想像を絶する葛藤があった。

四輪全てのタイヤを交換する事をドライヴァーに告げると、誰もが激しく拒否反応を示した。

「ダメダ!タイヤチェンジのロスタイムを縮められない!ヤメロ」
「俺達を信じろ!」
「また抜かれたぞ!滑りながら走った方がマシだ!」

激しく降り続くサファリの豪雨の中、懸命にスパナを回すメカ。その横をフォードがポルシェが次々と追い抜いてゆく・・・

タイヤチェンジを終えてケニヤ山へと次々にコースインするブルーバードを見ながら難波たちは祈った・・・

そして、ケニヤ山を超えたサーヴィスポイントに先回りをした難波たちが見たものは・・・抜かれたハズのライヴァルより早く、四台のブルーバードがサーヴィスポイントになだれ込んで来たのだ!!

「Mr.難波!こんな愉快なラリーは初めてだ!何たって前を走るクルマは、必ず抜けるだんだからな。最高だよ!!」

欧州車は、スパイクを履く事が当たり前で、チェーンを巻く余裕がホイールハウスに無く、チェーンを巻くという発想どころか、やりたくても構造的にできないのであった。。

(後年、日本車がチェーンを巻く余裕が無いといけない・・という規制の為に、ホイールハウスの大きさに比べて大きなタイヤが履けないというジレンマに陥ったが・・・閑話休題)

それまで、モノマネしか出来なかった日本人のラリーが、初めて日本人のオリヂナリティ溢れる作戦で欧州勢に勝った瞬間でもあった・・・

翌年からは、チェーンを巻く行為は日本車しか出来ない・・・という理由から、禁止されてしまった。

スキーのジャンプにしろ、日本にとって欧州の壁は厚く厳しいという現実は昔から変わっていない様だ。。。

ヨンク全盛の今、チェーンを巻いたタイヤなんて、それこそ想像できないだろうが、この作戦でダイナミックな走りをしたブルーバードは、今をもっても泥濘路に強くタフなマシーンとして記憶される事になったのだ。

チェーンを巻いたタイヤで高速走行なんて・・という既成概念をふっ飛ばし、栄光へ導いた日本人の感性とアイディア。
すでに40年近くの時が経ち忘れ去られそうだが、今一度思い出してみてはどうだろうか・・・
ブログ一覧 | ブルーバード | クルマ
Posted at 2006/07/03 16:26:20

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この記事へのコメント

2006年7月3日 19:15
大変勉強になりました。
いろいろな経験に基く「ひらめき」があったのでしょうか?
でも、それは「確信」があったからこそ、実行できたのでしょう。
コメントへの返答
2006年7月4日 9:47
まさに「ひらめき」と現場を知っているから生まれた作戦だと思います。
チェーンを巻けば・・・でも、たるんでまともに走れない・・・で終わらなく、じゃあどうしたらいいか??
と一歩も二歩も突っ込んだ発想が、このアイディアを産んだのだと思います。
それには「感性」という、日頃からの鋭い観察力と「知性」という応用力が遺憾なく発揮できた賜物だと僕は思っています。
2006年7月3日 19:32
発想ですよね、日本人の知恵、

日本人だから出るアイディア、日本には四季が有り、色々か環境が有りますし、
 
 今何でも、マニアル化され、個人、企業共に、知恵や奇抜な発想が無い気がしますよね、日本ならではの、発想が無くなってきていますよね、横並びに成っていますよね。

コメントへの返答
2006年7月4日 9:52
どうしたら勝てるか・・・単純な事なんですが、そこへ至るまでの過程が現代とは、言われる様に違うんだなぁ・・ってつくづく思います。
現代は、ラリーに参加するメンバー全てがシステマティックになてしまって、なかなか個性を発揮できないのでは?と僕も感じています。
あっ驚く様なアイディアや、奇想天外・・という様な発想が現代のラリーなどでは見られない事からもそう思いますね。
手作り感、チームの面々の顔が見えるような運営・・・これだけ巨大になると難しいんでしょうねぇ。。。
2006年7月4日 11:17
こんにちは!
こういうの僕は大好きです!

こんな奇想天外な発想で敵を駆逐した日本車があったなんて・・・、オドロキです!ハッキリ言ってカッコよすぎます!(笑)

40年も前のお話とのことですが、今さらながら、胸がワクワクしてしまいました!

コメントへの返答
2006年7月4日 14:07
ehudeeさんに共感して頂いて嬉しいですねぇ。

メカニズムや馬鹿馬力でライヴァルを、バッサバッサと切り捨てるダイナミックな戦法も確かに面白いですが、こういった意外な「ハッ!」とする簡単なアイディアで勝利をモノにするっていうのもホント、参った!!っていう感じでドキドキします。

確かに510ブルのポテンシャルも、当時として優れていたのでしょうが、それをさらに確実にする人間の知恵も、もっとクローズアップするべきだと僕は思っています。

また、なにか見つけたらブログしますね!!!

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「後視 いやぁこんなに簡単なバックカメラがあったなんて!! http://cvw.jp/b/124785/23876370/
何シテル?   01/04 14:54
無類のクルマ好きで、日産車を愛してやみません。 徳小寺 無恒のHNを引っさげ、かつての愛車、ワインレッド・パール・ツゥートンのU14ブルーバードの話題を軸...

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